friendship
1000文字ちょっとの短編。
ほんの一瞬で、私の世界は壊れた。夢と希望で満ち溢れていた未来も。幸せで楽しかった過去や記憶も。全部、全部…色褪せてグチャグチャに壊れてしまった。
いつの日だっただろうか。君が言っていた言葉を思い出す。
『永遠なんてものは、さ。ない、って俺は思ってたんだ。でも…お前とさ、出会って。初めて、思ったんだよね。永遠が、あるといいなぁ…って。こんな幸せがずっと続けばいいなぁ…って』
その時は私も「あるよ!きっと」なぁんて暢気に笑っていたけれど。やっぱ、永遠なんてものは、無かったんだね。今となっては、そんな些細な記憶を思い出すだけで泣けてくる…
「いや、もういい加減にしてよ」
パッと顔を上げると、目にうつるのは苛立った表情の親友。いつも通りの冷たさで、投げやりな言葉を放ち、私の言葉を遮る。その冷たさを何かに例えるならば、氷点下の中でバナナが…
「ねぇ。今、アホなこと考えてない?」
マイフレンドはエスパーな能力を持っている。私の考えなど、まるっとお見通しなのだ。
「はぁ。あんたは分かり易すぎるのよ。よっぽどのバカじゃなきゃあんたの考えなんてね、見通せちゃうのよ」
そんなことはないだろう。私は超複雑な思考回路の持ちぬ…
「だから顔に出てるんだって」
「ちょっ、痛いよ! リィちゃん」
リィちゃんが私の頬をぐにぐにと抓る。本当に痛い。リィちゃんは手加減というものを知らない。でも、そんなところも私は好きだ。
「気持ち悪い顔で見ないでよ」
やはりバレるのか。でもリィちゃんは私の頬から手を離して照れた様子で、そっぽを向く。可愛すぎる。
「メグ」
私の名前が彼女の口から紡がれる。リィちゃんの声はとても綺麗だ。でも、その綺麗な声はいつも毒を含んでいる。
「私もいつまでもあんたに付き合えないのよ。だから、もう終わりにして」
面倒そうに放たれる言葉はいつもと同じだ。でも、彼女の表情はいつもと違っていた。そこには少しの焦りが見えた。それに終わりって何を?
「結婚することになった」
感情の見えない表情と淡々とした声で彼女は言う。普通、おめでたいことのはずなのに彼女はちっとも嬉しくなさそうだ。だから、なんて返せばいいのか。分からなかった。
何も言えずにいた私の頭をリィちゃんは、ぐちゃぐちゃと荒々しく撫でる。そして笑った。
「何で、あんたがそんな顔してるのよ。大丈夫よ、私は」
笑う彼女の言葉に嘘はないだろう。でもその後に続いた言葉が私を突き落とす。
「あんたとこうやって無駄な話とかするのは、多分…出来なくなる。だから、ごめん」
あんたとの時間は、嫌いじゃなかった。
そう言ったリィちゃんの顔は今にも泣きそうで。無理して笑顔を作っているのがバカな私にも分かって…
「リィちゃん! 会えなくても、リィちゃんと私は親友だから! 会えなくても、忘れたりしないから……だから……」
言葉が詰まる。でもちゃんと伝えなきゃダメなこと。
「リィちゃんも、忘れないでね? 私という、親友がいるってこと。」
リィちゃんは笑った。潤んだ目で「ほんっと、バカ、ね」と言って笑った。その笑顔は今までにみたリィちゃんの表情の中で一番、優しくて美しい笑顔だった。
登場人物メモ
メグミ(芽)
アホの子。感情が顔に出やすい。
リィちゃん(凛々子)
冷静沈着。クールビューティー。




