表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短し夏の夢  作者: なつむらしいか
2/7

friendship

1000文字ちょっとの短編。

 ほんの一瞬で、私の世界は壊れた。夢と希望で満ち溢れていた未来も。幸せで楽しかった過去や記憶も。全部、全部…色褪せてグチャグチャに壊れてしまった。


 いつの日だっただろうか。君が言っていた言葉を思い出す。


『永遠なんてものは、さ。ない、って俺は思ってたんだ。でも…お前とさ、出会って。初めて、思ったんだよね。永遠が、あるといいなぁ…って。こんな幸せがずっと続けばいいなぁ…って』


 その時は私も「あるよ!きっと」なぁんて暢気に笑っていたけれど。やっぱ、永遠なんてものは、無かったんだね。今となっては、そんな些細な記憶を思い出すだけで泣けてくる…


「いや、もういい加減にしてよ」


 パッと顔を上げると、目にうつるのは苛立った表情の親友。いつも通りの冷たさで、投げやりな言葉を放ち、私の言葉を遮る。その冷たさを何かに例えるならば、氷点下の中でバナナが…


「ねぇ。今、アホなこと考えてない?」


 マイフレンドはエスパーな能力を持っている。私の考えなど、まるっとお見通しなのだ。


「はぁ。あんたは分かり易すぎるのよ。よっぽどのバカじゃなきゃあんたの考えなんてね、見通せちゃうのよ」


 そんなことはないだろう。私は超複雑な思考回路の持ちぬ…


「だから顔に出てるんだって」

「ちょっ、痛いよ! リィちゃん」


 リィちゃんが私の頬をぐにぐにと抓る。本当に痛い。リィちゃんは手加減というものを知らない。でも、そんなところも私は好きだ。


「気持ち悪い顔で見ないでよ」


 やはりバレるのか。でもリィちゃんは私の頬から手を離して照れた様子で、そっぽを向く。可愛すぎる。


「メグ」


 私の名前が彼女の口から紡がれる。リィちゃんの声はとても綺麗だ。でも、その綺麗な声はいつも毒を含んでいる。


「私もいつまでもあんたに付き合えないのよ。だから、もう終わりにして」


 面倒そうに放たれる言葉はいつもと同じだ。でも、彼女の表情はいつもと違っていた。そこには少しの焦りが見えた。それに終わりって何を?


「結婚することになった」


 感情の見えない表情と淡々とした声で彼女は言う。普通、おめでたいことのはずなのに彼女はちっとも嬉しくなさそうだ。だから、なんて返せばいいのか。分からなかった。


 何も言えずにいた私の頭をリィちゃんは、ぐちゃぐちゃと荒々しく撫でる。そして笑った。


「何で、あんたがそんな顔してるのよ。大丈夫よ、私は」


 笑う彼女の言葉に嘘はないだろう。でもその後に続いた言葉が私を突き落とす。


「あんたとこうやって無駄な話とかするのは、多分…出来なくなる。だから、ごめん」


 あんたとの時間は、嫌いじゃなかった。


 そう言ったリィちゃんの顔は今にも泣きそうで。無理して笑顔を作っているのがバカな私にも分かって…


「リィちゃん! 会えなくても、リィちゃんと私は親友だから! 会えなくても、忘れたりしないから……だから……」


 言葉が詰まる。でもちゃんと伝えなきゃダメなこと。


「リィちゃんも、忘れないでね? 私という、親友がいるってこと。」


 リィちゃんは笑った。潤んだ目で「ほんっと、バカ、ね」と言って笑った。その笑顔は今までにみたリィちゃんの表情の中で一番、優しくて美しい笑顔だった。


登場人物メモ


メグミ(芽)

アホの子。感情が顔に出やすい。


リィちゃん(凛々子)

冷静沈着。クールビューティー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ