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六話 片方のプレイヤーが変わる化かし合い?

今回は短めで冒険者ギルドのお話

「あのさ、冒険者ギルドに行くってどういうこと?」


 咲の疑問ももっともだろう、空は冒険者じゃなく商業ギルドに行ったのだから。そんな風に疑問を投げかける咲に空は苦笑しつつも答えていく。


「んー、桜井さん僕は冒険者ギルドに行かないなんて一言も言ってないよ? 言ったのは〝後回し〟だ」


 空の発言に、今思い出したと言わんばかりの顔をする咲。確かに空は後回しにすると言った。但し冒険者ギルドに何時行かないとも行くとも言ってないだけである。


「じゃぁなんで商業ギルドに先にいったの? どうせ行くなら近い冒険者ギルドからでもよかったんじゃ?」


「まぁ其処も色々と考えてるから、とりあえず桜井さんはフード絶対取らないようにね? 色々思うところはあるけど、桜井さん顔はかわいいから鴨にされるよ?」


「ちょっと! 思うところってなに!?」


「さぁてね? なんだろうねっとギルドに着いたよ此処からは静かにね?」


「むぅ……後で問いただしますからね!」


 そんな三文芝居をしながらギルドに到着する。咲は判ってないのだろうか、少しでも心を許した相手だと残念というか小動物臭がひょっこりと顔を出す事に気がついてないのだろう。そうして、ギルドの扉を開く空。


 冒険者ギルド。夢を追いかけるものや一攫千金を狙うもの、他に出切る事が無い腕っ節だけのならず者の救済処置と様々な顔を持つギルドであるが、ラノベみたいに街のお手伝いで子守や家の修繕の手伝いなんてものは無い。一般人が足を向けれない魔鏡などに足を運び魔物を狩ったり其処に生える植物の採取、ダンジョンアタックなどが彼等のやる事。ただの森であれば狩人の領域であり、その狩人も魔鏡に入るために冒険者登録をしていたりもするが……何でも屋でなく〝冒険〟をする者達のギルドである。

 空達はギルドにはいるや否や、先ず周囲を確認しギルドの依頼ボードをちら見する。


「少し見た感じ、ラノベ的な街中の依頼は無いね。ドレも外だ草むしりはあるみたいだけど」


「そうだね、とりあえずカウンター?」


「ギルドのお姉さんに少し突撃インタビューと行こうか」


 ギルドの中は、入り口からみて右側には、依頼ボートがありその直ぐ近くにカウンターが配置されお姉さん達が窓口に立ち、奥ではおっさんやおb……お姉さま方が書類仕事をしている。入り口の左側にはバーカウンターや食堂といった感じになっており、お昼から酒を浴びているやつらが居る。OYAKUSOKUが置きそうな予感しかしない空。


「ちょっとギルドについて聞きたい事g……」


「おいおい! ガキが冒険者になんの用だよ! 此処はお前らみたいな乳離れできてないヤツが来る場所じゃねーぞ」


「ぎゃははははははは」


 実にテンプレな行動をする酔った冒険者達である。顔色を悪くする咲に、頭を抱える受付嬢のお姉さん、そして心の中でニヤつくのは空。当然予防線を張るのは空にとって当たり前の行動。そして始まる空の演劇。


「はぁ……冒険者ってこんな質が低いの? コレ信用問題になると思うんだけど?」


「あぁん! このガキが粋がってんじゃねーぞ!」


「なぁサキ、コレって取引したいか?」


「え、あぁ、うんそうだね、したいとは思わない……かな」


 いきなり話を振られる咲。しかも呼び捨てだ、今まで桜井さんと言っていたのに。そんな思考がぐるぐるまわりつつ返事をするから、見た感じ多少おびえての対応のようにみえる。


「ポールさんその辺でやめてください! 一般の方への攻撃的な行為は罰則が厳しいんですよ!」


「はぁ? 俺は親切にガキが来る場所じゃねーって教えてやってんだよ! なぁ?」


「あはははは、ポールの兄貴の言うとおりだぜ、レミーちゃんよー」


 受付嬢(レミーと言うらしい)の静止も聞かずに、如何に自分達が正しいんだという振る舞いをするポールとその取り巻き。酔っているからまったく説得力が皆無である。

 ちなみにこの受付嬢のレミー、獣人でぴょこっと可愛らしい耳が頭の上に……もふもふである。きっと後ろに回ったら可愛らしい尻尾があるに違いない。耳を見た感じお犬様やお猫様の獣人ではなくお狐様かと思われる。


「とりあえず、身分は準だけど商業ギルドのメンバーで、今日は素材についての値段やら聞きに着たんだけど……どうも信用できない人たちがいるみたいだね? コレは商業ギルドに報告かなぁ」


 空の場を切裂く一言。青ざめる職員達に天を仰ぐ受付嬢のレミーさん、ポールと呼ばれた冒険者を睨む他の受付嬢の方々。此処に来てポールと取り巻きは手を出していけない人物に手を出した事に気がつく。

 ソレもそうだろう、領都アルキアでは冒険者ギルドより商業ギルドのほうが力関係では上である。厳しい貿易では余り物が入ってくる事が無く、全ての物や価値を握っているのは国と商業ギルド、逆に冒険者は土地柄放置しても幾らでも来る。離れたければ離れればいいを素でいける環境で冒険者hoihoiと言えるだろう。寧ろ強いやつから初心者がこぞって来るからギルドのやる事は冒険者の管理が一番大きい。素材の売買は商業ギルドに依存しっぱなしといえる。そしてそんな商業ギルドの正規ではないとはいえメンバーの空相手に暴言を吐いたのだから。


「ポールさん! 何度も言ってるじゃないですか! 来る人来る人絡まないでくださいって!」


 叫ぶレミー嬢、当然だろう商業ギルドにそっぽ向かれたら素材が腐っていくだけで冒険者への報酬等が払えなくなる。冒険者ギルドが無ければ商業ギルドに素材が売られないかも知れないと思う人もいるが、個人で魔鏡やダンジョンに入り売りに行く人もいるのだから多少素材の量が減るとはいえ其処まで商業ギルドが頭を抱える事は無いだろう。なら何故冒険者ギルドがあるのかというと、適正なランクを与える事で冒険者の生存率を上げつつ、冒険者が阿漕な商人に騙されないようにし、自由に街の出入りができる様にする為である。


「だって、しかしよう……ソイツ等が、そんな武器みたいなの持ってくるからいけないんだろ! 俺の行為は問題ねぇ!」


「いやいや、物騒な場所もありますからね? 商人見習いとは言え武装はしますよ? 特に絡まれそうな年齢と容姿ですしね?」


 自分は悪くないと責任を転化するポールと、武装するのは当たり前だと言う空。咲に至っては着いていけずにあわあわとしている様だ。


「まぁコレで僕等は失礼しますね? 時は金なりといいますし、不毛な争いはしたくないので、サキいくよ?」


「すみませんが少々お時間をもらえませんか?」


 出ようとする空に奥から声をかける人物がいる。三……げふんげふん歳前後のカッコイイ感じのお姉さまだ。


「あ、サリアリーダー!」


 どうやらこのかっこいいお姉さまは、サリアという名で受付嬢のリーダー。きっと十年ぐらい前だったら受付に居てお食事やデートの誘いを大量に受けていただろう容姿をしている。

 サリアが出てきたことによって、此処からが本番であると意識を切り替える空。


「まずは……ポールさん、先日も同じような問題を起こしてますよね? その時は厳重注意と迷惑料で相手にも納得してもらいましたが、余り日も立っておらず反省の色も無いのでは流石に今回はギルドとしても許容できません。追って罰則に関して連絡させてもらいますが、違う街にいってもギルド同士で連絡ができるので逃げれると思わないでください。まぁ……カードの剥奪までは行かないとは思いますが、多少は重い罰を覚悟して置いてくださいね」


 二度目なのかそれ以上なのかは分からないが前にも同じ様な事をして、手痛い罰を受けたばかりの様で、ポール達は顔を青どころか白くしている。ギルドとしても信用問題に係わる事なので処罰するという事を多数の目があるところで公言。此処までされたのであれば、サリナ氏の話を空は聞くべきだろうという流れが生まれる。……空は最初から話を聞かずにギルドを去るつもりはないのだが。


「さて、私はギルドの受付の指揮を任されてるリーダーのサリアと言います。今後についてお話をさせてもらいたいので、お手数ですが会議室までお願いいたします」


「話……ですか、判りました。私はソラでこっちはサキ、いい商談を期待させてもらいますね」


 心の中でガッツポーズをとりながらも顔に出さないようにする空。最初からあえて話でなく商談と言ったりと、色々交渉すると匂わせる辺り当たり前だがズルイ行動であるがサリアも理解しているのだろう、笑顔を絶やさずに会議室に先導する。

 お話し合いという名の交渉は、何故かすんなりと終わった。お互い腹の探りあいをしつつドレだけ有利に話をするかを考えつつも、お互いの終着点が全く同じだった。

 冒険者ギルドに登録とその後の保障、言葉にすればコレだけだが、冒険者は基本的に自己責任であり、ソレにはパーティを組むなども含まれている。空達としては他の人と組む事は現状ありえない、故にギルド側で勧誘等の戯事を排除してもらう。サリアとしては商業ギルドと事を起こして欲しくない為、問題が起こりそうな対人関係をディフェンスする口実の確保等。他にも幾つかあるが敵対しない為に囲ってしまおう(空から見たら中に入り込む)という腹である。


「そういう事でギルド登録をしてもらい、此方でも色々と目を光らせてもらうっという事で」


「はい、ソレでお願いします。いやぁよかった上手く話がまとまって……絡まれたときはどうしようかと思いましたよ」


 お互い色々と含んだものの言い方をしつつ笑ってない笑みを浮かべながら話をしていく。


「あぁついでにギルドについて色々と聞いてもいいですか?」


「そうですね、登録してもらう時必ず聞いてもらう事項がありますから、説明させてもらいますね。まず、ギルドカードについてですが、コレは木札から始まり鉄・銅・銀・金・白金と上がっていきます。ランクによって受けれるクエストが変わって行きますが、クエストボードがランクによって別れているので直ぐわかるかと思います。」


 どうやらランクはよくあるアルファベットのアレではないらしい。


「次に禁止事項や罰則ですが、レミーは一般の方への攻撃は罰則がと言ってましたが、ギルドメンバー同士でも罰則はあります。ただ色々あったりもするのでその辺は……というやつです。犯罪者等への攻撃は認められてますので、そこ等辺の匙加減は自己責任でお願いします。罰則は一番厳しいので犯罪奴隷として鉱山送り等、次にギルドカードの停止ですね、後は罰金などですが行った行動によって変動します」


 防衛であるなら、殺害すら認められている実に日本で育った子供には厳しい環境だ。あと奴隷制度が存在している。ただし奴隷ハーレムは作れないようだ、犯罪奴隷以外は居ないとの事。


「ギルドは基本的に全国共通で、国に左右されない組織となってます。ですので、カードの特典である金銭は何処でも預ける事ができますし降ろす事も可能です。ランクも固定ですので違う国でも銅になれば銅として扱われます、まぁその際色々と誤差もありますので情報の収集は怠らないでください」


 実に便利な預金システムがあるようだ、地球と違って手数料とかもない。

 この預金システムだが冒険者ギルドだけじゃなく商人ギルドとも微妙な互換性がある。そして商人側のカードならお店でもお買い物にも使える便利なカードとなっている。なぜか冒険者の方だとギルドで降ろしたりしないといけない、お金に関しての信用度の問題だろうか?


「戦時については、国や領やギルドからの要請で特殊クエストになります。戦時については、魔物が群れを成して街に来る場合や国家間での戦争も含まれます。前者は銅以上が強制となり、後者は強制は有りませんが受けれるランクとして銅以上になります」


 対人が強制でなくてほっとする空達。例え殺す覚悟ができても避けれるのなら避けたい行為である。


「ランクアップについては、ランクアップポイントがたまり次第説明させてもらいますのでがんばって金を目指してください。金になれば貴族の方々から指名依頼等も着ますので、名誉や報酬はすごい事になります」


 空達は心に決める、金以上にはならないと。貴族との付き合いなど面倒なのは避けるべきだろう、今後のやって行くべき事を考えれば。


「説明は以上ですね、記入して頂くものも漏れがない様なので、後はカード作成ですね」


 サリアがカード作成の為に使う機材を出す。四角い台座に丸い水晶の様な物が乗っている道具。


「これは、ギルドができた頃には既にあった道具で、この水晶の部分に手で触れるとカードが生み出されます。……正直謎すぎる道具で、一切の解析すらできてませんが普通に使えるので重宝してます。その神秘性から神からの贈り物等いわれてますね。ではこの水晶部分を触れてください」


 何があるか分からないから触れたくないけど触れるしかないのだろう、嫌々ながらも水晶部分に手を当てる空達。

 触れた瞬間に瞬きすらできないほどの光が周囲を埋め、空達は真っ白い空間へ。









「やっと会話ができるね」


 訳の判らない真っ白な空間で、空を飛んでる? 子供? に声をかけられる空達。一体何なのか頭が回らず呆けるしかない二人だった。

空君は、ギルドの力関係とかをこっそり調査済みでした。

どんな事でも情報って大切ですよね。負けない戦いをする為にはー相手の土俵とかよりも、相手が土俵に上がる前に潰すべきだと思います。

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