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二話 そういえば

 空の目の前で泣きそうになっている女子生徒、名前は桜井 咲(さくらい さき)。身長百六十センチ台と空より高く、背中の中心ぐらいまで伸びてる髪は濡烏と言われるレベルのソレ、学校では弓道部に所属し男女問わずお姉さま扱いされているが……実は特定の条件(幼馴染の女子生徒の前)だと小動物ぽいというか抜けてるドジッ娘属性を発揮し現状がまさにと言った状態、後輩達がみれば悶絶するだろう。

 今は突然の自然の中に二人きり状況とその相手の空にスルーされていると言った合わせ技で余裕が無いので発動していると思われる。


「お願いだから気がついてよぅ……」


 クイっと引っ張られる袖と共に聞こえてきた言葉に、なんだか悪いことしたなぁと感じつつもこのままだと何があるかわからないので空は話を進めることにする。


「あぁ、悪い少々考え事してて、問題なければ現状と今後について話をしたいんだけど?」


 今までのスルーを棚に上げ、さっさと話を進めようとする空の行動に多少呆けるが何も進まないよりもマシと咲も話を進める事を了承。


「とりあえず現状周囲を見回しても二人きりで自然の中だと言うのは判ると思う、だから此処が何処で学校や級友達はというのは一先ず横においてほしい」


「うん……でもやっぱり皆の事は心配だよ?」


「別に心配するなとは言わないけど今一番気にしなきゃいけない事は自分の事だから、幾つか気になることはあるけどね、まず遣るべき事は今後の方針を決めることだと思う」


 多少引っかかるも空の言うことも判るので問題点を洗い出す二人。

 さすがサブカル好きと言うだけあって空の出した問題点の多さに多少引きながらも方針を決めて行く、そして出てきた問題点がコレ。


 人が住んでいるところが何処にあるのか、遭遇できたとして言葉が通じるのか、周囲に危険な動物が居るかどうか、水や食料の問題、自分達の服装、武器の必要性等細かく言えばまだあるのだろうが緊急性が高い物といえばこの様な内容。


「まずは荷物の確認だけど一緒に飛ばされたバックパックにパンが六個とペットボトル五百ミリリットルが四本、飴の袋が三袋にチョコが二枚とポテチ四袋と小型PCとソーラー充電器とカッターナイフと鋏と言ったところかな」


「ねぇ……学校になんでそんなにお菓子とか入れてきてるの? 教科書やノートは?」


「全部小型PCで代用してますがなにか? 食料については食べるからとしか? とりあえず節約行動すれば二人なら数日はもたせれるかな?」


「いや……食べるとかソレはそう何だけど、って何してるの?」


「軽く柔軟、問題点洗い出したんだから出来ることも確認しないと……ねっ!」


 言いつつも空が軽く垂直飛びをする、男子高校生の平均といえば約六十センチなのだが今飛んだ高さは軽く二メートルを超えていた。


「っと、うわぁ! あぶな!」


 予想以上に飛んでしまい危なげに着地する。普通に考えて道具無しでの二メートルジャンプは有り得ないだろう、ソレも軽く飛んだだけコレで本気を出して飛んだらどんなことになったか想像するのが怖い話である。


「ちょっとコレは予想以上だな、お互い色々確認したほうが良いみたいだ」


「私はチョット怖いなぁ……とりあえず垂直飛びしてみればいいかな?」


 咲も飛んでみる、女子生徒であれば平均四十五センチと言ったところ、ソレを軽く超え一メートル五十センチほど飛び着地にいたっては予測できていたので実に綺麗、大会であれば9点台だろう。


「そっちも結構な高さだったか、コレは身体能力が上がっているのかソレとも物理法則が違う? 重力が軽いだけなら着地までの時間がこんなに短くないだろうし」


「なんだか違う法則でも働いていそうだよね、見た感じ筋肉がムキムキになってるってわけでもないし」


「次は木に向かって石でも投げてみようか、有史以来石は優秀な武器でもあったからね」


 思いつく投げ方を試す空、木の距離までは大体二十メートルほど、オーバースローで投げてみるも当たらないのでアンダースローで投げてみるも木に当たりはするがどうも威力不足、サイドスローならばと投げてみると相性が良かったのか木の幹にめり込む用に石が突き刺さる。


「特訓したら大変なことになりそうだね……私は試すの怖いなぁ」


 などと言いつつも石投げを試す、咲もどうやらサイドが合うようだが、武器が石だけというのは問題だろう早急な改善が必要そうだ。


「とりあえず投擲に合う石を幾つかポケットとかに入れておくとして、移動するとしても道か川でも探さないとな、どっちがいいと思う?」


「んー……人が住んでる所があるかどうかも分からないから、川かなぁ? ただ動物とか川に水を飲みに行ったりするよね」


「となると川を視界にいれつつ下流に移動できる場所って所かな」


「移動してたら道も見つかるかもしれないしねって何採ってるの」


「頑丈そうな蔦があったから、ロープ代わりとかにも使えるしこうして石をっと」


「なにそれ? 武器だってのは分かるけど」


 空が造った物、ボーラと言われる物でロープの先端に錘を着けた狩猟や投擲武器に使われていた物である、日本でコレと類似する物と言えば、鉄製で鎖が使われた鎖分銅系のものだろう。

 そんなボーラをせっせと五本ほど作り軽く振り回す。


「まぁ何も無いより良いかな、振り回してぶち当てたり投げて引っ掛けたりと十分つかえるか、とりあえず二本ほど持っておいて」


 そういって渡してくる空、咲も多少びくびくしながらも振り回してみる。

 くるくる回す、ヒュンヒュンと音が鳴る、くるくる回す、ブンブンと唸る、グルグル回して……ポイっと投げる、勢いよく飛んでいったボーラが兎もどきにぶち当たり絡まる。


「……なんだろう、兎みたいなのが捕れちゃったよ」


「なんだか途中から楽しんでなかったか? まさか投げるのまで試すとは思わなかったよ」


「途中から何だか楽しくなっちゃって、とりあえずアレどうしよう」


 兎っぽい何かを見てみると、頭から一本のツノが生えており目が鋭く口には牙がある、草食ではなく肉食なのだろうか。

 

「此の侭って訳にもいかないし、解体するか!」


「えぇ! 処理できるの!?」


「出来るよ? 田舎の爺ちゃんに兎から熊まで解体方法教わったから、まぁ見てて気持ち良いものじゃないし周囲の警戒しててもらえる?」


 言うが早いか行動するが早いか、バックパックからカッターナイフと鋏を取り出しさくさくと処理していく、聞こえてくる音が実に生々しい。


「水場も無いし、道具が道具だから出来が良いと言えないけどこれぐらいかな、角と出てきた石っぽいものはとっておくかゲームの世界なら素材とかになるし、内蔵と皮は勿体無いけど埋めておこう」


 さすがサブカル好きである、素材っぽいものは取っておくもしくは採っておくその法則に従い先ほどからもこっそり草やら石やらをもてるだけ採っている。


「とりあえず、処理はしたからそろそろ移動しようか、此処からは余計なことはせず進もう」


 一番余計なことをしているであろう空が言う、咲も少々お前が言うなという目で見てくるが彼には一切関係ないようだ、そんな視線を完全にスルーしている。

 ただ余計な事というのは本人が望まずとも遣ってくる事もあるようで、彼等が道を発見するまでに熊っぽいものや狼っぽいものに遭遇して戦う事になり、空に関しては沢山の素材を泣く泣く捨てざるえなかった。素材と見れば回収しなければいけないゲーマーの業である。













「そういえば大事な事聞き忘れてた……」


「ん? なにかあった? 私には……「君の名前なに?」……えっ?」

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