十三話 ダンジョン突入の前に
「そういえば、付与魔法があるのに何で魔法陣とか無いんだろうか」
「たしかにそうだよね。うーん一つ一つの魔法を使うのに魔石を使い捨てにするのがもったいないからとか?」
「あー……付与に使うと魔石を一個必ず使い捨てるからなぁ。普通に魔法の触媒にするより、道具につけてただのブースト素材にしたほうが良いって事か」
そんな会話をしながら、今日も今日とて熊を狩る二人。武器を一新した事により、狩りが更に安定し安全面と収入面の大幅改善が出来たようだ。
「で、魔法の改良のほうはどうなの? 詠唱しなくてもよくなった?」
「んー……魔法は発動するようになったんだけど……威力がまったくね? 今何が悪いのか調べてる最中」
「威力が無ければ使えないかぁ……」
「まぁ威力出す方法はあるんだけど……其れこそ使い捨て。魔法型手榴弾みたいなものかな?」
「まぁ其れでも、無いよりは良いんじゃない? 緊急用のアイテムになりそうだし」
「そう思って、幾つかストックはしてある」
まだまだ、契約書式魔法の作成は煮詰まってないようだ。付与魔法を習った事により、使い捨てで威力を保ったまま使うという方法は見つけたようだが。
「それにしても、地球に無い素材があって色々と面白いけど、地球に有る素材でない物ってあるのかな?」
「あー……こっちに無いのだと、最初に思いつくのは火薬とか? 何かどうしても作成出来ないみたいだよ?」
「ほえー……火薬が作れないのかぁ、別に問題ないよね?」
「まぁ爆弾だったり銃だったり、後は科学的な工作物が作れないとか?」
「んー……数名がっかりしてそうな気がするよ!」
「うん同じ事を思ったよ、寧ろそのシーンが流れたよ」
火薬を作る材料が無いのか、魔力もしくは管理者的な作用で爆破しないのか、謎ではあるが火薬の存在がこの世界には無い。まぁ魔法があるから何とかなるのだろうが。
「契約書式魔法は間に合わなかったけど、武器の試し切りも問題なかったし資金もある。ダンジョンに潜る準備してから突入だな」
「そうだね! ダンジョンかー何が居るかな?」
「オークには気をつけてね?」
「それは……くっころさんの敵討ちをしないと?」
「其のネタ知ってるの?」
「ん? 良く皆が言ってたから。元ネタなにかあるの?」
「いや……知らないなら知らないで良いんじゃないかな?」
まぁ、大元なんていえるはずが無い。知らないならそれで良い其れのほうが幸せだろうから。
そんな会話をしつつ、ダンジョン探索の準備を進める二人だった。




