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十一話 技術チート? で武器を試そう?

 技術は通常何年もかけて手に入れるものである。ではあるが異世界からの来訪者には、管理者等からのボーナスがとんでもない様で……成長率が桁外れに多い。

 空達も書物から様々な知識を手に入れ、工房に教えを請い、変りにちょっとした知識を交換して(異世界内政技術チートまではしない様に気をつけながら)様々な技術を手にしていく。


「ふむ……まさか、魔法の杖が魔力伝導率が良い素材に魔石を嵌めただけだったとは……」


「何かやりようが一杯ありそうだね」


「鍛冶の技術も、鋳造品が多いミタイダネ。名工はやっぱり鍛造みたいだけど」


「機械が無いからねー、ギューーって圧縮したり、均一にしたりとか難しいんだろうね」


「魔法で何とかなりそうなのになぁ……錬金術的な?」


「錬金術もなんだか発展してないみたいだよ? 術としては存在してるみたいだけど」


「過去の転移者が作ったのかな? 魔法陣じゃなくて、魔法でごちゃごちゃやってるって感じだけど」


「四属性魔法を上手い具合に使いこなせないと出来ないみたいだね」


「多属性持ちが少ない以上発展しようがないってことかな?」


「そんな感じだね」


 よくある魔法陣を使ったり、分解や結合といった術式でない様で、鍛冶の工程を魔法を使って行う。火の魔法で鉄を溶かして、土の魔法でガンガンと打ち込んで、水の魔法で冷やす。完全に分解等できたらいいのだけど……難しそうである。


「何か進展は?」


「とりあえず、ミスリルは無理だから魔鉄を使った武器防具の作成と特殊なアクセサリーを作ったよ」


「それじゃ試し切り?」


「そうだね、魔熊狩りも慣れてきたし。奴で試そうか」


「はーい!」


 そんな訳で魔熊を狩りに魔鏡の浅い部分へ行く二人。新装備の魔鉄シリーズは魔鉄の色が黒ベースなので黒色装備である。実に中ニ臭いだろう。

 防具関連はお互い機動性重視で、魔鉄と魔熊の皮を利用して作った防具の上からコートを被っている。フード(頭防御用の鉄板入り部分がある)付きだ。武器は空は前衛と言う事で、身体能力ブーストもあるから持てると言うのもあり、厚みの有る大身槍と腰に忍者刀を二本。咲は魔法と弓の遠距離型ということで、弓以外にもバトルスタッフ。全て魔鉄製で真っ黒武器であり、きっと右目か左腕が疼く人が居るだろう。

 大身槍を選んだ理由は単純、前衛を一人でやるからだ。といっても実在した大身槍ベースではなく、どこぞのドラゴンを殺せる剣の穂を短くして、柄を槍のソレにした物がイメージに近いだろうか? サイズは穂が六十五センチで柄は百八十センチ程、斬り、突き、払いに対応した造りである。まぁパーティー運用なんて出来ないだろう。間違いなく巻き込む。空はもっと改造できないかと、柄の部分をアタッチメント式にして剣と杖から槍の変更が出来るように使用と企んでいる様だ。まぁ短く持てば良いとも言えるが。忍者刀? ソレは狭い空間で戦う為のサブウエポンとして用意してある。




 魔熊と出会う。即座に構えてから咲が魔法で牽制する。


「さて……新武器の性能を試させてもらうか!」


 空が魔熊に駆け……突きを放つ! 作った本人すら想像していなかったのか、プリンにスプーンを入れるような柔らかさで槍が魔熊に刺さっていく。一撃で心臓を貫いたようだ。


「あ……あーコレはなんとも……」


「試す相手間違えたかな?」


「えっと……まぁ割と慣れたとは言え苦労した熊が、簡単に倒せたと思えば一応は成功?」


「何匹か武器を変えて戦ってみようよ。其の槍はきっと強力すぎたんだよ」


「そうだな……色々ためそうか」


 試した結果は、槍程じゃないがかなりの成果を上げた。今までの戦闘が阿呆みたいに感じるレベルで。

 何ともいえない空気になる二人。ハグベアよりは一ランク劣る魔熊とは言え、ソレでも魔鏡のモンスターではある。強いはずなのだが……


「と……兎に角検証は出来たって事で!」


「そうだな……想像を超える結果とはいえ、まぁ対応魔物図鑑を見てここら辺で難易度の高い敵を見繕って少しづつ検証すすめようか」


「そうだね、ソレがいいよ。行き成りとんでもない敵にあたって通じません! じゃ何だからね。後、折角だからその槍に銘でもつけたら?」


「銘か……折角の大身槍だし、弦担ぎって事で、〝魔熊斬〟にでもしようか?」


「どんな戦場でも、傷を負わずに帰還したってアレ?」


「そうそうソレ、日本に二人とも戻れるよう祈願って事で」


「そっか、うんそうだね」


 そんなこんなで、新武器検証は思わぬ成果を挙げ二人は次の目標を決める。

 ダンジョンにもぐってお宝を探る。ダンジョンには不思議アイテムが一杯出ることで有名である。しかも割りと望んだ物が手に入るらしいと。であれば、日本に戻る方法及びクラスメイトと連絡を取ったりできる物があるかもしれないからと、二人は期待を胸にするのであった。


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