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六十二話

今回は少し短めです



 彼等は朝食を食べ終えると彼等は守孝とソフィアは王都の外へと繰り出した。王都内で仕事以外で実銃を自由に撃つなどできないからだ。


 空気はまだ朝だからかヒンヤリとしていて気持ちが良い。だが、前よりも確実に気温が低い。冬を間近に控えた秋そんな感じ。


 彼等は鋪装……と言っても何度も何度も馬の蹄鉄や人の足で踏み固められた物だが、この世界では上等な部類な道路だ。


 道の両脇にはまるで黄金を敷いたように黄金色の麦穂が風に揺らめいている。


「うーんこう言う牧歌的な景色は良いものだ。お前もそう思うだろう?」


 しみじみと彼はその光景をみる。麦畑では間もなく収穫を迎えるのだろうか、向こうの方で収穫の準備をしているのだろう農夫達の姿もチラホラと見えた。


「そ、そんなことより……ちょ、ちょっとまって……」


 事も無げに歩く守孝に対してソフィアはフラフラと彼の後ろを歩く。


「そんなに疲れてどうした?」


 とぼける彼に対して彼女はキッと睨むが、それがなんだと言わんばかりに彼は歩き続ける。たった


「どうした……じゃないよ!何この重い荷物と銃!」


 そう、彼女の背中には大量の荷物が入ったバックパックとを背負い体にはチェストリグを巻いている。胸の前にはスリングでAKMが吊られ、彼女が歩く度にガチャガチャと金属音を奏でていた。


「安心しろ。俺の方が重い荷物を持ってる」


 見ると彼の背と同様に大量の荷物を持ちチェストリグとAKMも同様に担いでいる。


 その量は明らかに彼女の持つ量よりも多い。


 兵士が運ぶバックパックの重さはある程度に留めている。大抵の一般兵士はある程度要らない物。食料や寝具など直ぐには使わない物をバックパックに閉まっておくのだが、バックパックは時にして一日数十キロを歩く時がある兵士達が行軍中に瞬時に戦闘が出来るように重量にしておきたい。


 荷物を運んで疲れて戦えません。なんてお笑いが起こさない為だ。


 それで第一次大戦後に各国で研究や経験則などから導きだされた答えが『兵士の体重の三分の一以上にすべきではない』だそうだ。


 現代ではザックの重量を約20㎏に抑えることが目安になっているが、銃や予備弾倉等の弾薬を加えると約30㎏が平均であり、分隊支援火器(軽機関銃)や対戦車火器を持つと約40㎏を越えると言われる。


 さて少し話がずれたが話を戻すとしよう。


 現在ソフィアが持つ装備の総重量は約25㎏(バックパックが約10㎏)。彼が計算した彼女がなんとか長時間運べる荷物の量だ。と言っても運べるだけなのだが。


 荷物の重さに慣れるのも重要。


 因みに彼の装備の総重量は約60㎏に達していた。元々装備約30㎏に合わせて()()()()()の重量。彼自身も辛くない訳がない。だが一度手元に置くと決めた以上彼もやる義務があった。


「ほら頑張れあと三十分行軍したら休憩だ。」


 彼は立ち止まり励ましの言葉はかける。しかし手は貸そうとしない。何故ならば彼女自身がこの道を選んだのだから。


 それを彼女自身気づいているのか頑張って後ろをついて行いった。


「わ、分かった……もう少しだね。頑張るよ」


 彼等の場所は黄金色の麦畑を過ぎ既に草原が広がっていた。三十分歩き続けると道の側に一本の木が生えており、丁度良いと彼等は其処で休息をとることとなった。


「ゴクゴク……プハァ!」


 朝から歩き疲れた彼女はバックパックを下ろすと携帯していた水筒の水を飲む。


 朝入れた水はまだ冷たく彼女の火照った体を冷やしてくれる。


「あまり飲み過ぎるなよ一口ずつ確りと飲むんだ。水の消費管理も兵士の務めの一つだぞ」

 

 そう言う彼は水を一口飲むとタオル二つを取り出し一つを自分でもう一つは彼女に使用するために手渡す。


「汗を拭いとけ汗をほっとくと直ぐに熱を奪われる。それと靴を脱いで足をマッサージしとけよ。それと靴下を変えとけ。此処での休憩は一時間だ」


 矢継ぎ早に指示する守孝は既に靴を脱ぎゆったりとした格好で寝転がっていた。


「……休憩ってのんびりするものじゃないの?」


 素朴な疑問を彼にぶつける。


「休憩はな次の行動までの準備時間だ。早く準備すればそれだけ長く休める」


 彼は事も無げに言った。一般的な会社で言えばブラックと言われそうな言葉だが、こと軍事では間違いでは無い。


 休憩後はまた延々と歩くのだ。体を万全にしとくのは兵士としては当たり前と言えるのだった。



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