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Guns Smoke Raven [傭兵は異世界でも武器をとるようです]  作者: 神無月 郁
第二部 第一章 傭兵と勇者として招ばれた少年
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7回目 新しい朝日

大変長らくお待たせしました!

生暖かい目で見て下ささると幸いです!

 


 三人で夜が明けるまで交代しながら見張りをしてみたが更なる敵は来なかった。


 スラウには毛布を被せパンと干し肉をとりあえず渡してみたらあっという間に食べてしまった。どうやら粗末で、僅かな量しか与えられていなかった様である。食べ終えたら直ぐに眠ってしまった。


 朝になった先ずは始末した死体を林の方に持っていった。こちらに話しかけてきた男以外は全員みすぼらしい格好をしていた。彼等の死体は森の動物達が食べてくれるだろう。あの1,5mぐらいのカエルとか。


 実際に死体を森に運んでいる時に出くわしたがあれはもうカエルの皮を被った別のナニカだ。幸いにもこちらに手出しはこず近くにいた蛇を丸呑みしていた。その際、蛇は動く事ができてなかった蛇に睨まれた蛙ではなく、蛙に睨まれた蛇だ。カエルなんて呼び捨てではなくカエルさんとさん付けして呼ばないといけないレベル。


 とまぁカエルさんの話は置いといて馬車の中を改めて見ると明らかに旅商人の貨物ではなかった。野盗兼密売業者と言ったところだろうか彼女もその商品の一つだった様だ。


 馬車の処理は面倒どうだったので馬は放し、馬車は車軸を折って使えなくした。インはガソリンをぶっかけて、更にテルミット投げ込んで燃やそうと言ったが多分そんなことしたら森や草原に延焼して大火事になりそうだったから止めた。


 中の荷物は貴金属類は貰っていくもう彼等には必要がないものだからだ。他の物は食料は鮮度が悪そうだったから森に放り込み、武器類は嵩張るので刀剣類はへし折り鎧は埋めた。因みに刀剣類は腹から掛かる圧力に弱く意外と簡単に折ったりへし曲げたりできる。


 みんなも刀剣類で斬らたり刺されたりした機会があったら試してみよう。


 そんな事はさておき朝を通り越しブランチに良い時間になったとき彼女の目は覚めた。一瞬ここがどこかわからない様子で辺りを見渡し、今まさにぶっ潰されそうになっている馬車を見て昨夜の出来事を思い出した。


「起きたか飯でも食べるか?」


「ひっ……!?」


 起き上がらせようと手を伸ばすと彼女は悲鳴を上げて体を縮こまる。


「そりゃ昨日の今日で慣れるわけないか。まぁおはようスラウ」


 こんな事で傷つくほど軟な生き方をしてない。半ば強引に手を握ると食卓まで連れて行った。意外な事に手を掴むまでは怯えて震えは掴むと同時に止まっていた。


「とりあえずここに座りな、飯を用意してやろう」


 彼女を座らせると今朝作ったスープを器に盛ると保存食の硬いパンと干し肉と共に手渡す。彼女は昨夜とは打って変わって受け取ったは良いが此方の目線が気になるのか中々口にしない。


「……私も食べて良いの?」


 君の分だよと言っても中々てをつけず、スープが冷え始めた。なのでそよ少し冷め始めていた彼女のスープを、盛り付けられたばっかりで暖かい自分のスープと交換した。


「気にしなくて良いんだぞたんと食べなさい」


 彼女はおずおずと一口スープを啜るとガツガツと朝食を食べ始めそして朝食が始まった。一度食べ始めればよく食べたスープも何杯かおかわりしたしパンや干し肉もあっという間に食べてしまった。そんな姿を見て守孝は自分のパンと干し肉を半分あげると彼女は喜んで食べた。


「マスターあの子をスラウちゃんをどうするんですか?」


 インが話を切り出したのは朝食を食べ終えた後だった。現在、二人は朝食の後片付けをしていた。ソフィアはスラウを連れて着れる服を見繕っている。


「どうするってとりあえず王都に連れてくしかない」


 彼女の出自や住んでいた場所などに繋がる様な品物は馬車には一つもなかった。というよりも彼女は服すら満足に与えられていなかったのだ。ボロボロのなんとか服と呼べるぐらいのボロ布が彼女の持ち物全てだ。


 一度馬車に積まれていた物で自分の物はあるか聞いたら小さく首を横に振っただけだった。そのために今ソフィアが装甲車に積んでいた荷物の中で着れそうな物を見繕っている。流石にそんな格好を何時までもさせとくのは衛生的にも彼女自身の精神的にも良くないのは目を見るよりも明らかだった。


「連れてくって彼女は……いえ、マスターのご指示には従います」


「インが心配するのも分かる。なんせ魔族はほぼ全ての国で抹殺対象になっているからな」


 それは高々と掲げられた法律ではないし国がそう誘導している訳ではなかったが民衆の中では一般常識になっていた。それはまるで魔女狩りの様に目に見えて若しくは目に見えずとも異質な存在を恐れた。


 魔族に対してはそれが顕著に出ていた。中々死なず強大な力を持つ。そしてなにより大昔のことではあるが魔族達が軍勢をつくり、人類国家と戦争が行われていた時代もあったのだ。


 結局それはなんとか撃退するに至ったそうだが、血で血を洗う戦場の憎しみは何世代後にも付き纏っている。魔族側が戦闘員ではない女子供を虐殺した事もそれに拍車をかけていた。


「だが俺達の友人には実際に魔族領へ入った事がある者がいる。行動を起こすに前に何かしらの助言の一言ぐらいはくれるだろうさ」


 王都にはこの世界で友人となったマルクスという商人がいる。彼は中々に大きな商会の主であり、色々と世話になりまた彼等も商会やマルクス個人の頼みを受けたことがあった。


 そしてなにより彼は一度魔族領に行ったことがあると雑談中に漏らしていた。若い頃に魔族領で採れる良質な鉱石や材木を求めて訪れた事があり魔族の民とも交流したことがあるそうだ。


 生きた経験は百の言葉に勝り、また又聞きでは主観や他者のレッテルで歪んでしまう。


「確かにその通りですねならこのまま王都に向かいましょう入都の際のチェックは……辺境伯様を頼りましょうか」


「まぁそんな所だが王都に行く前に辺境伯領に向かおう。事前準備が必要だ」


 辺境伯……ヴィトゲンシュタイン辺境伯家と彼等は私的な交友があった。最初は嫡男……王族からの降嫁予定者の護衛依頼だった。王城で開かれた結婚パーティーの際に王家転覆を狙う狂信者達の乱入があり、その際に彼等がその解決に大きく関わった。


 そのせいか依頼が終わった後も交友が続いている。時々依頼を受けて調査や討伐依頼等を受け持つ事があったのだった。


「師匠〜スラウちゃんこんな感じで良いですか?」


 装甲車の後部座席から出てきたスラウの姿は白いワンピース姿だった。これで麦わら帽子を被せればリゾート地に居そうな美少女そのものだ。


「あれ、それって前に欲しいていうから俺がソフィアに買ってやった奴だよな」


「そうだけど僕より彼女の方が似合うから良いよ。それにこっち(野戦服)の方ばっかりだし着るの」


 そう言う彼女の目は何処か遠くを見ている様だった。


「……そうえば吸血鬼って日の光は大丈夫なのか?」


 吸血鬼と言えば日の光を浴びると灰になったり燃え上がったりするという弱点があるのが有名な話だ。そして今は日が照った真っ昼間、現状目の前に居るから死にはしないだろうが果たして大丈夫なのだろうか?


「大丈夫……お日様は苦手なだけ」


「……それなら良いんだが」


 確かに見たところ問題は見えない。彼女が大丈夫というのだから今の所は大丈夫なのだろう。


「なにか体調が悪くなったら直ぐに言うんだぞ」


 その言葉に彼女は小さく頷いた。そして彼等はその場から離れ一路サンマリア王国の辺境伯領へ向かうのだった。


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