1回目 目が覚めれば異世界だった⁉︎
お待たせしました
やぁ俺の名前は御剣 星矢!十七歳、どこにでもいる普通の高校生二年生だ。
友達はいるし勉強はまぁ普通、スポーツもまぁ無難にこなせる普通の高校生なんだけど。強いて言うなら所謂オタク趣味があるのが変わった所かな。
と言ってもだ。そんな萌〜とか長門守は俺の嫁とかそんな重度なオタクではなくもっとライトなオタクだ。
「うーんどこだここ?」
だけど目を覚ますとなんだか知らない所に居たんだ!不思議な事があるもんだ……嫌々そんな馬鹿な話はあるまいて。
その場はまるでどこかの画家の絵から取り出したかの様な光景、荘厳にして絢爛そんな場所だった。白と金。そのニ色で彩られた大きな大聖堂まるで某宗教の総本山の様な豪華さだ。
「勇者様来られましたね」
その美しさに目を奪わていると後ろから声が聞こえた。そこには一人の少女が居た。その少女は教会に暮らす修道女の様な格好をしていた。
「勇者様?誰が俺が?そもそもここ何処?」
至極真っ当なまくし立てる様な言葉に彼女は微笑む。
「ここは教皇国と呼ばれる国です勇者様。そうですね貴方は所謂、異世界にきたのですよ」
「本当に!?」
「そうです。貴方様は主がこの地に遣わした勇者様なのです」
……やれやれ何だか凄い事になってしまった。どうやら俺は俗に言う異世界転生をしてしまった様だ。
まさか本当にあるとは思ってなかった。いざあると不安よりも興奮が勝る。しかし良くある転生トラックとか無かったけど……まぁ良いか。
「勇者様には強大な力が備わっております。ご自身でお分かりになりますか?」
そんな事を言われても此方はこの世界に来たばかり力と言われてどうやって使うのかそもそも力とは何なのかすら分かっていない。
「己の心を手に思い描き具現化するのです。そうすれば自ずと顕われます」
と言われたので俺は何となく右手を前に掲げ左手を添える。
これが異世界で俺が勇者と呼ばれているならチート能力があると相場は決まっている。よく読んでる小説類もそうだった。
この修道服の女の人が言ってた『強大な力』は恐らくそれの筈。
勇者の強大な力とは言ったら剣に決まっている。
だから思い描くのはこの世で一番強い剣だ。全てを薙ぎ倒し、どんな強烈な攻撃を受けても刃毀れ無く。その刃は金剛石すらまるでバターの様に切り裂くそんな剣だ。
ポンッとまるで何処からか祝福の声が上がるかの様にそれは俺の手の内に収まった。
「……綺麗だ」
それは俺の想像以上のの剣だった。
遍くどの剣よりも鋭く。遍くどの宝石よりも美しい。刀身は真の銀を鍛えたかの様に輝き、柄には星の煌きがそのまま施されているかの様である。
「それは正しく勇者の証。剣の名を『泉の剣』と名付けましょう」
泉の剣、カリヴァーン。いい名前だ。
「さて勇者様。色々と知りたいことがある事でしょう。私が話せる範囲でご説明しますどうぞ此方に」
勇者と呼ばれた少年と修道服の女は消え。ガランとした聖堂に鈴の様な声が響く。
「あれが勇者……ね」
影から出てきた緑斑柄の服を着た金髪の女性は据え付けられている長椅子に座ると腰のポーチからフラスクボトルを取り出し一口飲む。
濃い酒精の匂いの匂いと琥珀色の液体は緑……迷彩服を着込む彼女の喉を通り過ぎ、ふぅっ息が漏れる。所詮は無垢な子供。これから己がアレに何をやらされるのか分かっていない。
「まぁ良いわ私には関係ないもの」
彼女は立ち上がるとその場を立ち去った。
世界に散らばる信者やいまだ国交を結んでない…いや全ての国々に対して文書を送られる事になるだろう。内容は一言。
『勇者来たれり』と……
どうでしたか?面白かったなら幸いです!




