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プロローグ



 地平線の彼方まで広がる青い空、まさに晴天と言えるだろう。そんな蒼天の中を数羽の烏が力強く羽を広げ飛んで行く。


 そんな美しい景色の目線を下げると……そこはこの世の地獄、いや地獄がこの世に出現したかの様な風景が広がっている。


 此処はほんの少し前まで集落があった場所だった。温かな家族が何件か住んでいる小さな集落。しかし今は建物が破壊され燃やされている。


 そして人が死んでいる。まさに死屍累々といって良いだろう。


 精悍な顔つきの男性は胸に槍が貫通し引き抜こうと藻掻くうちに事切れ、まだ年若い女性は肩から腹を袈裟斬りされ臓物がこぼれ落ちている。


 仲の良さそうな老夫婦は老夫が老婦を庇っていたが両者に幾つもの矢が針鼠の様に刺さっていた。


 その光景に幼子も当然含まれる。腹を斬られ首を絶たれ……人間の死体がそこら中に転がっているのだ。


 しかし彼等には関係が無い彼等は空の住人、誰の束縛を受ける事もなく誰からも強制される事もない。完全な自由。


 彼等はソレを一瞥したかと思うと、その黒き羽を羽ばたかせ何処かに飛んでいった。


 そしてそんな凄惨な光景の中には二つの動く影があった。一人は二十代後半の黒髪の男。もう一人が何故かメイド服を着た銀髪の十代後半の女。二人は燃え盛る建物の横を通り死骸が転がる道を通る。


 彼等が殺ったのか?


 いや違う。彼等が通った道の後方を見ると十数人の男が血を流し倒れている。その手には血がベットリと付いた剣やら槍を持ち、その身には粗末ながらも鎧を纏っている。


「……ここも駄目か」


 男はポツリと呟いた。その手には剣や槍ではなく黒い筒状の変わった武器、しかしその彼が持つと、歴戦の戦士が持つ長く戦いの中で連れ添った剣に見え、無機質な材質だが黄昏の中を翔ぶ烏の翼にも見えるそんな武器だった。それはある世界でHK416()()()()()()()()と呼ばれていた。


 Hk416……そうそれは俗に呼ばれる()()だ。


「分かりません……でも生きてる方はいると思いますよ」


  男に寄り添う様に立つメイド服を着た少女。その手には少女には似合わない六つの筒が円の様に連なってる大型の銃器を持つ。名をM61バルカン砲と言う。


 ならばと彼は前に進む。いまだ何処かにいるかもしらない生存者を見つけるために。


 何故彼等が此処にいるのか?何故彼等はこうしているのか?何故彼等が銃器を使用してるのか?


 それを知るためには我々は彼等の身に起きた出来事と騒動を一つ一つ知る必要がある……











 正義なんて存在しない。正義とは己のエゴと相手のエゴの押し付け合いなのだから。



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