年末年始ポスカ用SSの残骸二つ目
年末年始のスペシャル番組の流れるテレビを横目に、蜜柑を剥いている幼馴染みに右手を差し出した。
先程まで炬燵布団の中に入れていた手が、外気に晒されると肌が粟立つ。
しかし、幼馴染みは差し出した手を見て、眉を寄せる。
眼鏡もその表情筋の動きに合わせて、微妙にズレた。
「自分で剥きなさい」
「いや、そうじゃなくて」
ピシャリと言われてしまい、眉が下がってしまう。
そうこうしている間にも、テレビの中からバラバラな「ハッピーニューイヤー!」が聞こえてくる。
「今年も生きてる限り宜しくね」
「どうせ今年も死ねないのが分かりきってるから、宜しくするに決まってるじゃない」
なかなかに手厳しい去年と同じお言葉を頂けば、渋々と言った様子で手を握ってくれた。
ついでに手を離した後は、剥き終わった蜜柑を半分くれた。