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1月10日/
買い物にいったはずの冬十が帰ってこない。
出て行く前に
「外、すっごい雨…」
って言っていたから大丈夫か心配。
ここ数ヶ月一緒に住んだ部屋は未だ殺風景なまま。
最近は縛られるなんてことも無くなって
昔みたいな生活が戻ってきた。
唯一違うと言ったら
外に出る機会が無くなった。
ただそれだけ。
でも俺はそんな事どうでもいい。
俺には冬十がいる。冬十が傍にいてくれるだけでいい。
「ただいまハル兄ぃ…」
部屋の入り口にずぶ濡れの姿の冬十の姿があった。
「…ねぇ。僕たち何か大事なこと忘れてない?」
帰ってきた途端に意味不明な事を言い出した。
忘れた事?忘れたことなんて何もない。
[どういう…]
そう綴る途中で止められた手を握る冬十。
雨で濡れた手を震わせて…怯える様に瞳を潤ませて…。
「僕らは仕組まれてたんだ」
意味が分からない。何を言って…
「ハル兄ぃ?あの火事の時…僕らは【あの人】を殺したんだよね?」
【あの人】?…誰だっけ?
ふと少し前に思い出した記憶を思い出す。
【親】の紹介で知り合った【あの人】。
冬十の事をそそのかした。
そういやそんな事あった…。
あの火事の時。
冬十を犯罪者に仕立て上げようとした【あの人】が憎かった。
それ以上に【あの人】が俺以上に信頼されてるのを見てられなかった。
だから殺そうと思った。
【あの人】の考えてることは理解できた。
火事を起こして俺を逃げられないようして殺すつもりだろう。
冬十を巻き込んだのは人質も兼ねてるんだろ。
ゲスい考えとバカみたいな作戦に尚更腹が立った。
…ただ動機がわからない。
俺を殺したところで何か意味があるのだろうか?
それとも冬十に俺を殺させすことに意味があるのだろうか?
後者なら止めなければならない。
燃え盛る部屋が時間が無い事に気づき、決断を決めた。
「お前が…冬十を犯罪者にしたのか。」
そう言って冬十が持っていた包丁を取り上げ
…【あの人】を殺した。
そして【あの人】の血で濡れた包丁を冬十に向けた。
『俺らは一緒。罪も罰も。生きるも死ぬも。春も冬も。ずっと一緒だから。』




