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1月9日 / アメ

1週間に1度の買い出しの日。

外は本降りの雨で、人なんて歩ってない。

そんな中だからこそいいんだけどねぇ。

車がそばを通るたびにずぶ濡れになる。

荷物が濡れて、服も髪もずぶ濡れで。

帰る頃には海で溺れてすぐみたいなカッコで。

ハル兄ぃが見たら心配してくれて、でも大笑いするんだろうなぁ。

でも…もう笑ってくれない。

年明け前からハル兄ぃがおかしくなった。

ボクの事をずっと離してくれない。

離れたくないってワガママ言ってくるぐらい。

理想としていた現実なのに…僕を必要としてくれてるのに…。

物足りなくて仕方ない。

優しく笑ってくれるハル兄ぃじゃなきゃダメだって今更気づいて。

その笑顔を奪ったのはボクなんだって。

また…昔のキオクがヨギッテ…

「冬十君。君は春一君を独占するべきなんだ。」

アァ…大事な【約束】思い出せた。

「君がやることを誰も止めはしない。君自身がやるべきなんだ。」

ソウダ。アノ日。ボクは。



【あの人】は当時、クズな父親の友人の一人だった。

たまに父親と会うという建前で僕たちに会いに来てくれていた。

専門は精神科らしく、人の深層心理についていつも話してくれた。

それ以上に楽しそうに話していたのは【依存性】について。

「人の依存心ほどワクワクするものは無いからね」

そう笑って話す姿に憧れて

【あの人】にいつの間にか引き込まれていた。

そんなある日に学校の帰り道に【その人】に出会った。

「君は春一君の事が好きなようだね?…依存するほどに。」

そう言われた時に気づけばよかったと今なら思う。

【あの人】にとって共依存状態にあった僕たちを【実験体】としか見てなかったことに。

その後、【あの人】はどうやればハル兄ぃを独占できるか教えてくれた。

「彼に一生君から離れられなくなる傷を付ければいい。足でも腕でも…なんだっていいんだよ?」

その時僕はハル兄ぃを手に入れるためならって躍起になってたんだ。

そして僕が選択した答えは【ハル兄ぃの声】を傷つけることだった。

声さえ無くなれば、誰とも喋らなくなる。

イコール、僕と一緒にいなければ日常生活が不便になるって思ったんだ。

だから僕は…隣の部屋に火を放った。

用意や後始末は【あの人】が全部やってくれた。

全てが上手くいった。そのはずだった。

「お前が…冬十を犯罪者にしたのか。」

燃える部屋の中で…【あの人】に包丁を突き刺して…

傷から出た血液で手を汚し…僕に優しい笑顔を向けてくれた人…

『あぁ…ボクはコロサレル。優しい兄が…他人で染まった包丁を…ボクにツキタテタ。』

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