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11月17日 /
痛い。全身に激痛が走る。
目が開けられない。
いや、開けられないじゃなくて
開けても真っ暗な闇だけしか見えないだけだ。
何処かで声がする。
冬十の声。誰かと会話してるのか?
よく聞き取れなくて耳を澄ます。
それでもはっきり聞こえない。
その事ばかりに意識していたせいで気付かなかった。
「起きたんだね」
俺の寝ているベッドが軋む。
「また寝ないでよ?話したいことがあるんだ」
この声は間違えなく冬十の声。
だけど、異様な違和感に襲われた。
「ねぇ。僕の話聞いてる?」
そう言った瞬間に新たな痛みに襲われた。
腕に強く刺されたような痛み。それと一緒に生ぬるい液体の感覚。
「返事ぐらいしてよ。…って声でないんだっけ」
声を殺して笑ってた。
数分間笑いきった後、少しだけ痛みが感じなくなった腕を掴んだ。
「ねぇ…ボクのことスキ?」
その言葉で違和感の理由に気づいた。
声の雰囲気が【春一】と【冬十】が混ざってる。
最初は【春一】だったのが、今の言い方は【冬十】だ。
「…今更だけど離せないのは不便だよね」
そう言われた瞬間に、目の前が急に明るくなった。
久しぶりの光に瞳が追いつけない。
「これも外そうか」
そう言うと腕に付いていた手枷が外れた感覚。
光に慣れてきた目に見えた光景は
【夢】が【現実】だと証明するかのごとく変わらなかった。
だけど、1つだけ俺の前に不思議なものがあった。
台の部分が斜めになっていて、寝ながら使えるであろうテーブル。
それに固定されたホワイトボードと黒いペン。
「本当は前みたいにやりたかったんだけど…ノートだといろいろ大変だからやめた」
そう言った冬十はニッコリと笑ってみせた。
不気味じゃない、いつも見せる幸せそうな顔。
「ボクのコト…スキ?」
なんの脈絡もなく紡がれた言葉は
暖かいと思った空気を一瞬にして凍りつかせた。
『【現実】なんて思いたくもない。【夢】でもいいから…昔に戻ってくれ。』




