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?月△日
目が覚めた
たったそれだけの事に大喜びされた
周りの大人たちがバタバタと動き回る
その中に紛れていた【親】が
「もう2週間以上眠っていたから、もう起きないかと思った。」
そう言いながら涙を流して喜んでいた
実感は全くない
根本的に眠っている期間など自分に分かる訳がない
それよりも【あの子】が居ない
呼ぼうとして声を出してみた
それはただの呼吸でしかなくなっていた
自分から発せられるはずの音がなくなった
声を出そうとしても息を吐くだけで何も起きない
近くにいた医者が
「君の喉は焼けただれてしまっていて、もう二度と声は出せないだろう」
その声には哀れみと悔しさが混じっていた
その声で忘れかけた【あの日】を思い出させた
赤と黄色。黒と白。何か焦げる匂いと誰かの声。
それが誰の声か思い出せなくて
ただただジッとしていた
「やっと…目を覚ましてくれたんだね」
優しく暖かい声が聞こえる
「_のせいで…_のせいで…ごめんなさい」
自分自身も所々に包帯を巻いて酷いケガだったはずなのに
なぜこんなにも謝るのかが不思議だった
不思議で仕方なかった。そう何であんなことになったか不思議で。
そう…自分が不思議で仕方なかった
【あの日の原因】が生きてることに
「もう…‘僕’を置いてどこにもいかないでね【冬兄ぃ】」
「‘俺’は二度と置いてったりしないよ【ハル】」
『記憶と心失った俺の兄を守るために、俺は【冬兄ぃ】を演じ切るから』
『だから俺は忘れない。【アイツ】がやったことは絶対に許せないことだから』




