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8月〇日
梅雨も明けて、太陽が照りつける夏の午後
いつもなら冬兄ぃと一緒に居るはずなんだけど
今日は用事があるって1人で出て行った
この間の親父の電話から様子がおかしいのは気づいてた
明るい表情で笑ったり、暗い顔で俯いたり
「何かあったの?」
そう尋ねたら笑って誤魔化された
いつもの事だけど、今回だけは許せなかった
ここまで隠される事があるってことは、それだけ辛い話だって分かってる
原因は両親と暮らして頃にあるとは思うけど
もう6年も経ってるせいか、はっきり思い出す気にもならない
離れて暮らす理由になったのは両親の単身赴任がキッカケだった
海外に行かなきゃいけないって言われて
でも冬兄ぃは海外には行けないってなって
だったら俺も行かないって言って
そう言うならって、必要なお金を置いて出て行った
俺は全然気にもとめなかったけど
冬兄ぃにとってそれは良かったことなのか
…今、玄関の開く音がした
帰ってきたみたい
空はいつの間にか黒い雲に覆われてた
それは冬兄ぃの心を写したかのようで
『オカエリ。この一言が、アナタを縛る楔になればいい。』




