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imagic  作者: みげるん
第一章 魔術師学校編
3/73

第三話 運命の出会い(?)

次話です

ーーー衝撃。


試験官はその言葉にぴったりの表情をしていた。

勿論、俺も似たような表情になっていたのは言うまでもない。


そこに煌めいているのは紛れもなく炎。

赤々とした炎はその球体の中を燃え盛り、しばらくの間試験場を照らしていた。

しばらくすると、呆然としている俺たちの前で徐々に炎が収まっていく。



「ご……合格!」



試験官は茫然自失のままそう言った。

俺にその言葉が実感として届くことはなく、俺が気づいたのはもう少したってからだった。



「は…はは…ランク4…」



そこから試験官に合格証をもらい、おぼつかない足取りで自室へと戻った。

結構な距離があったはずなのだが、試験場から自室前までの道のりが記憶にない。

ただ、多少あやふやなところもあるが、ケンタが茶々をいれて来たところで我に帰ったのを覚えている。


ていうかむしろそれしか覚えていない。



「ソウくーん?今回はー?」


「…かった」


「は?」


「…受かった」



その時のケンタの顔は試験官を超えるものであり、なかなか見ものだった。

何て言えばいいのか、失敗した福笑いみたいな。


その日は喜びが大きすぎて、剣術の修練も忘れて合格証を抱いて眠った。

あとで考えてみればそれだけのことで喜びすぎだとは思ったが。

当時の俺にはそれほどまでに嬉しかったのだ。



しかし喜びのつかの間、俺はすぐに壁にぶち当たる事になる。

無事ランク4へ昇級した俺は授業を受けていくのだが、授業内容についていけない。

いや、勿論頭ではついて行っている。

だが、実技になると何もできなくなってしまう。

実際に魔法を使う授業が増えてゆくランク4では、あの時に出せた炎、もとい魔術が使えなくなってしまったのだ。

俺はまた試験前の状態へと逆戻りしてしまった。


やはりあれはまぐれだったのか。

そんな不安が俺の中を支配してゆく。



「魔術にまぐれなんてものはない…筈だ…」



そう自分に言い聞かせてなんとか心を保って授業にのぞんでいた。

だが、そんなチープな言い訳でいつまでも俺のメンタルがもつはずがないことも分かっていた。

だが、その不安は杞憂に終わることになるのだった。



ある日、マギロデリアの街へ買い出しに出かけ、その先で予想外の事件に遭遇することになる。

いや、事件というより人物に。



ランク4になった俺は生活必需品などの他に、あるものを買わなくてはならなかった。



「あとは…アクセサリーか…」



そう、アクセサリーだ。

アクセサリーには魔術などに対する護身となるお守りや、魔力を貯めておける物などがあり、種類は実に多種多様だ。

アクセサリーは高額だったりなかなか手に入らなかったりするので持っている人はそう多くはないのだが、ランク4以上の魔術師は特別に入手できる店がある。

あまり効果の高いものは期待できないが。



その店に行こうとした時、街がざわついた。

不審に思い辺りを見渡すと、次々に人々が跪き始めた。

何事かと思って見ると道の先に高貴な服を着た偉そうな人が従者に囲まれて若干急いで歩いていた。

それもただの高貴な服ではない。

胸に王家の紋章のエンブレムが見える。



「なっ…あれは…『皇族』?貴族ならまだしもなんで皇族がこんな下の方の街に!?」



皇族はマギロデリアの最上層に住む人々のことだ。

貴族ならばすれ違う時に一礼ですむのだが、皇族は跪いていなければ何をされるか分からない…らしい。

実際にそんな現場は見たことないのだが、話を聞くところによると理不尽に攻撃を受けたり仕事をなくされたりえげつないものもあるようだ。

確かめるリスクを負うほど俺は馬鹿ではないので、やり過ごそうと跪いていた。

だが俺がふと視線を上げるとそこには皇族が近づいて来ているにも関わらず立っている人物がいた。


皇族に気づいていないのかそれともただの馬鹿なのか、「このりんご美味しそう〜」などと呟いている。

あれか、馬鹿なのか。

失礼にも勝手に後者だと決めつけた俺がいた。


だがそれは笑いごとではなく、このままじゃ巻き添いを食う恐れもあるので俺は覚悟を決めてあわててそいつを跪かせた。



「皇族がいる、早く跪け!」


「え?」



小声でいう俺にとぼけた顔を向けるそいつは、よく見ると女だった。

きれいな薄い緑色の髪を短めに揃えており、活発な印象を醸し出しているがそれとは対照に眠そうな眼をしている。



これが俺とフィオの出会いだった。

そしてこの出会いが俺の運命を大きく変えることになる。



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