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imagic  作者: みげるん
第二章 魔法国家vs軍国編
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第二十七話 魔術師の戦い方

次話です



心地いい。

杖から発された魔力が、確かな感覚とともに俺に伝わる。

ゼギさんに説明を受けて、色々試したいことがある。



「悪いな、待ってもらって」


「…構わん」



俺の新しい杖は黒鋼鉄を素材にした、真っ黒の杖だ。先端の方には凝った造形がしてあり、真っ青な魔石が埋め込まれている。

杖は、名付けることでその持ち主であるという証になるらしい。だから、もらってすぐに名付けることにした。

俺の愛杖、その名も…“蒼き光の奔流(クリスタルエデン)”。

俺が名付けた瞬間、一瞬杖が光を発し、俺への力の供給が始まった。

…かっこいい。

思わず口元が緩む。

だが今は戦闘中だ。俺は愛杖クリスタルを握りしめ、その先端をドルマへと向ける。



「『氷槍(アイスランス)』」



俺はあえて敵を取り逃がした魔術を使った。その差をより正確に確かめるために。

俺の紡いだ言葉と共に氷の槍がドルマに飛んでゆく。

ダリエラへと放たれたそれよりも。

はるかに迅く。

はるかに強く。

獲物を確実に貫き、葬るという確固たる意思をその内へと秘めて。

それは飛んでゆき、そして砕け散った。


確かに俺の魔術は強くなっていた。十分すぎるほどに。

だが、ドルマの大剣の一撃はいともたやすくその魔術を粉砕したのだ。

たが、確かに強敵ではあるが、これは結果的にみれば僥倖だった。

なぜなら、さっきまでの脅威ではない攻撃は弾いたりもせず受けていた(・・・・・)。と、いうことは弾いたという事実はその魔術は当たればダメージを与えられるということを裏付けるということだ。

俺はそこに一縷の望みを見た。

勝てない勝負ではない、と。


本来魔術とは剣と違って実力差が勝敗に直結しにくいものだ。

剣士は強さ、すなわち剣の熟練度というものが勝負において顕著に現れる。だが魔術師の場合は、工夫や組み合わせ、つまり戦い方次第で劣る者が勝る者に勝つことも可能だ。

魔術師の戦い方を見せてやる。



「『氷砲(アイスキャノン)』」



まずは小手調べだ。

俺の杖先から巨大な氷の大砲が放たれる。

それを先刻と同じように大剣で粉砕しようとするドルマ。

だがしかし、それはかなわない。

なぜなら俺は少し遅れてより速い大きな火魔法を放っていた。

その特大の火球はドルマへと当たる前に氷砲と接触する。

すると氷はとけ、氷砲は水砲へと変化する。

これが戦い方だ。

変速的な水砲。水は砕くことはできない。



「…『破壊の鉄槌(デストライク)』!」



だが、ドルマの判断も早かった。氷が溶けてゆくのを見るや否や、先刻ルナを吹き飛ばしたであろう技を放ち、水砲をかき消したのだ。

否、かき消すだけにとどまらず、その勢いのまま俺に向かってきやがった。



「威力は凄いが…こんなもん当たらな…!?」



ずいぶんと距離的に余裕のあったはずの俺の体は、ドルマの一撃をなんとかかわすことはできたが、ぎりぎりだった。

やつの『破壊の鉄槌』は、回転を加えることにより小規模な気流を生み、周りのものを引き込む仕組みになっていたのだ。

辛うじて俺がかわせたのは、直前の水砲が気流の形が丸分かりになるように引き込まれていたからだ。

相手の攻撃は一撃級、こっちの攻撃は防がれる。八方ふさがりにも見えるこの状況だが、何故か俺には不安など無かった。

今俺が持っているのが初級杖だったらと思うとぞっとする。だが、幸運なことに今俺の手に握られているのは最高の杖だ。

何を臆する事があるだろう。

俺は足にお馴染みの風魔法を纏わせ、高速移動をしながら砕けない水魔法を乱射してゆく。

俺が放ち、ドルマが防ぐ。

ドルマが放ち、俺がかわす。

そんな攻防がいくらか続いた。



「…勝負がつかんな…お前の魔力も…限界だろう…?」


「いや、終わりだよ。お前の負けでな」


「…何?」



そう。布石は整った。

あとは、詰め将棋だ。



「『氷槍(アイスランス)』」



俺は先ほどと同じ氷槍を放つ。

するとドルマも先ほどと同じように大剣を振り下ろす。

俺の狙い通りに。

振り下ろされたドルマの大剣が地に触れると同時に、俺は魔術を発動させる。



「水と土の混合魔術…『泥沼(マッドフィールド)』!」



これが俺の狙いだった。

頑なに水魔法を使い続けていたのはこのためだ。

そこら中に水を撒き散らし、泥沼を発動させる。

すると、かなりの勢いで振り下ろされた大剣は深々と沼地へ沈み込む。抜こうとしても支える体が沼にはまっているため体が沈む。

剣か体か。

勿論体を選ぶしかない。そうするためには、剣を支えにする必要がある。

つまり、武器を失う。

しかもそれ以前に脱出するのをむざむざと見ている程俺は甘くない。

最大限に溜めた雷魔法を遠慮なくぶっ放すとしよう。



「楽しかったぜ…貫け、『雷槍(サンダーランス)』!」


「ぬぅ…あああああああああ!」



雷の槍がドルマを貫く。

凄まじい電流が流れ、やがてドルマは動きを止めた。

そして俺は背を向け、地に手を置く。

泥沼を解除したのだ。


その時。俺の視界を外れたドルマが顔をあげていた。

固まった地面から大剣を引き抜き、そしてそれを槍の如く投擲する。

それは俺へと一直線に向かいそしてーーー



「『土壁(アースウォール)』」



突如現れた土の壁に突き刺さった。



「…何…?」


「随分と演技派なんだな。残念ながら俺の攻撃が効かない可能性(・・・・・・・)も考慮してたよ。…俺は臆病なんでな。泥沼を解除したのはお前の攻撃を防ぐためだ。泥じゃ盾にならないだろ?」



これでドルマは無防備だ。本当に詰みだな。



「…だがお前の攻撃は…」


「そのためにこれがある」



俺は指輪を突き出す。

そう、ドルーさんに貰った指輪だ。あの後もう一度同じ魔術をいれて貰った。

土壁の後ろから指輪に込められた魔術を放つ。



解除(リリース)



大爆発が起こった。



戦闘シーンって書くの楽しいですね!


あと杖の名前とか厨二心満載でテンション上がりますよね!杖の名前とか!ね!(うるせえ

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