第十二話 ロリエンカウント
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そこにいたロイを見て、俺はこいつの言っていたことを思い出した。俺が嫌味で言ったどうせ違うクラスになる、に対しての対応も納得がいく。迂闊だった。
それから1週間程俺はずっと不機嫌だった。ロイもかもしれないが。
同じクラスになったというだけでなく、編入生2人だったせいかペアを組む実習では全てロイとのペアだったのだ。
いや、まあ別にロイがそこまで大嫌いというわけじゃないけれど。面倒ごとはあまり好きではないのだ。
「ロイ、この前のことは水に流して仲良くしようぜ」
「えっ、あ…ああ」
意を決してそう言った俺は勇気ある青年だと思う。
ちなみに、決闘で勝ったのでタメ語でしゃべっている。ん?水に流してないじゃないかって?ははは。まさか。
しばらくして。
俺とロイは最初ほどの仲の悪さはなくなっていた。
っていうか仲良しだった。ケンタなみに仲がいい。こんなことを言ったらケンタはギャーギャー言うだろうが。
暇な時は模擬戦をしてお互いのレベルアップに努めるという徹底っぷりだ。今度ケンタに紹介してやろう。
ある日、アカデリアにて。
「あ、ソウ」
「ん?」
ロイと教室に向かっていると後ろから声をかけられた。振り向いてみると、そこには久しぶりな顔があった。久しぶりというにはいささか最近すぎるか。まあ、いろいろあったから言葉の綾というやつだ。
「おうフィオ。アカデリアで会うのは初めてだな」
「ちょちょちょ、ちょっと待て!フィオ・テオーリアと知り合いなのか!?」
「俺の師匠だ」
「!?…なるほど…あの発言は地雷だったわけだ…」
「どうした?」
「いや、別に」
妙に納得した顔でロイが頷いていた。
まあ隠すことでもないんだが、目立ちそうで怖いというのはあった。だがまあ会ってしまったものは仕方がない。
「何か用か?」
「あの、ドルーが早く腕輪取りにこないかって…」
あ。完全に忘れてた。召喚石のやつ預けてたの忘れてた。どうにかしていい言い訳をしようとしたのだが。
「わ、わざとだし…」
我ながらなんだその言い訳。焦らすとか恋心か。意味が分からん。流石に苦し紛れすぎたようで、
「うわあ…ソウ性格悪いんだね…」
「嘘ですごめんなさい」
冗談はさておき。フィオにすぐにでも取りに行くと伝え、教室に向かう。
「まったく…魔術が急にうまくなるわけだ」
ロイがあきれたようにつぶやく。
まさかそんな有名人に教わったとは思ってなかったんだろう。
「まあな…あ、忘れ物した。先行っててくれ」
忘れ物に気づいた俺は、ロイに先を促し自分は部屋へ引き返した。何度も通った道。今更道に迷うはずもない。…にもかかわらず、俺が部屋のドアを開けると小さな女の子がいた。
バタン。
えーっと、ここは俺の部屋だな?間違いない、よし。もう一度開けよう。
やはり見間違いではなかった。誰かが部屋で幼女を拉致監禁とか危ない現場かと思ったがそうじゃなかったようで一安心。だが、俺の部屋というならこれはこれで問題だ。知らない娘だもん。…面倒ごとの予感だ。
「お主は誰じゃ!?」
こっちが聞きたい。




