第一話 落ちこぼれ
題名の⇔は書くときだけで読む時は何とも読まなくていいです。
一話なので少し短め。
※追記
タイトルを変更したため、⇔の話はスルーして下さい。
魔法都市国家マギロデリア。
王都からは遥か西方へ位置し、都市というだけありその面積、国土はそう広くはない。
だが、国を大きく囲う堀の内部には幾つもの陸地が浮遊しており、ある陸地には森が広がっていたり、またある陸地には街が広がっていたり、その上それらはいつでも行き来できるように道がつながっている、といった不思議な構造をしている。
とはいえ、浮遊していると一概にいっても陸地自体に高さがあるわけではない。
陸地が空高く浮かんでいる、という構造なわけではなく、地下深くまで続いているとてつもなく広く大きな穴に、陸地が浮かんでいる、といった具合である。
そして勿論だが他の街と行き来することも可能である。誰がこの構造を作ったのか、それは不明だ。
俗説では、この地に訪れた神とその従者がこれを作り、天へ梯子で帰っていった、という逸話もあるが。
この国では有名なおとぎ話である。
そして大きな特徴は構造だけではなく、国の中心にそびえ立つ大き塔である。
国ができた当時から存在し、限られたものしか入ることを許されていないのだとか。
そんなこの不思議な国から、一つの物語が動き出す。
「……不合格。」
「またか……」
目の前に突きつけられた六回目の言葉にうなだれる。
俺はため息をつくと元来た道を引き返した。
その足取りは重く、綺麗に掃除された清潔感のある廊下さえ今の俺には濁って見える。
俺の名前は皇蒼。
ここではソウ・スメラギで通っている。
魔法都市マギロデリアに住む18歳で、大魔術師を目指して勉強中の身だ。
その未来もそう遠くない。
……と、信じたいものだ。
「おい!また落ちたのか〜?」
「うるせえ」
笑いながら馬鹿にして来たこいつはケンタ・ヒカクシ。
髪は長めの茶髪で、常にへらへらしていることから真面目な人間からの評価は良くないようだ。
わかりやすく言えばチャラい、ということだろう。
小さい頃からの親友で、何度となく助けられてきたが、すぐ馬鹿にしてくる態度だけは誠に腹立たしい。
本当にいつ見ても口元を緩ませてるんだよな、こいつ。
昔おれが本当にイライラしている時にまで煽ってきたことがあって、その時に本気で殴ったことがある。
だが、殴られた時ですら笑顔を崩さなかったため、軽く恐怖したことを覚えている。若干引いた。
それ以来こいつの態度はこういうものなのだと諦めた。
筋金入りのアホなのだ、ケンタという男は。
「昇格試験6回目の落第お疲れ様でー……うごっ!」
おっと手が滑った。
この日も例外なく煽ってくるケンタに、おれもいつも通りの反応を返す。
諦めたというのは黙って煽られてやるということではないのだよ。
握った拳に確かな感触を感じながら、鳩尾を押さえてうずくまっているケンタを置き捨てて俺は部屋へ戻る。
ケンタが待てよぉ〜といいながら扉を開けようとしてくるので、俺は無言で鍵を閉めた。
その後も扉を叩く音は消えなかったが、俺は無視してベッドに寝転んだ。
戸締りは大事だよな、うん。
俺は今マギロデリアの魔術師養成学校、通称アカデリアへ通っている。
その規模はとても大きく、世にいる大魔術師は皆ここの出だというお墨付きだ。
その上施設、環境共に申し分ない。
そもそもマギロデリアという都市自体が魔術に精通しており、大陸が浮かんでいる上に都市が成り立っている。
そして、そのアカデリアには階級──学年のようなものだ──があり、建物の階を上がるごとにランクが上がってゆく。
昇級するには試験に合格しなくてはならない。
試験に特に制限はないと言えばないのだが…
そう、俺は六回目の昇級試験に落ちたことになる。
普通の生徒ならば試験は一回二回で通るはずなのだ。
それも俺のような低いランクならなおさら。
だが、事実俺はつまずいている。
「どうしてこうなった……」
ケンタとは同時に入学した筈なのに今ではあいつはランク7。
俺は未だにランク3。ランク3までは同じように試験をクリアしていった。
……が、そこから俺は合格できなくなった。
なぜか?答えは簡単だ。
そもそも俺には魔術の才能がなかった、それだけのことだ。
なぜなら、ランク3までは魔術の才能にほとんど関係がないからだ。
ランク2へ上がる試験は基礎体力があるかどうか。
ランク3へ上がる試験は筆記。
そしてこの次から実技へと移ることになる。
内容自体は至って簡単なのだが、それすらできない。
では実技だと何故できなくなるのか?
そもそも魔術とは、その個人が持っている魔力を魔術に変換するのだが、その魔術の大きさは魔力の固有量に比例する。
それは生まれつき決まっているもので、あとから変えることはできない。
基本ができているのに俺が合格にならないわけがこれだ。
そう、魔力の器がとてつもなく小さいのだ。
だからいくら正しく魔術を使っても小規模にしかならない。
正直手詰まりなのだ。
正しくできているかではない。
大きくできるかどうかの問題なのだ。
「あー……悩んでも仕方ねえ!いつものあれやるか!」
ようやく扉を叩く音が鳴り止んだのを確認すると、部屋に反響するほど叫ぶ。
問題の先送りとは分かってはいるのだが、どうすることも出来ず諦めるしかなくなるという状況になるのが怖いのだ。
自分を元気付けるようにわざと大きな声を出して、俺はあるものを握るのだった。
更新はできるだけ早くしていくつもりですがおそらく遅くなっていくと思います(^^;;
がんばりまーす^ ^
どうぞよろしくm(_ _)m
追)最初の方はこの位短いですが後々徐々に長くなってゆくので、よろしくお願いしますm(_ _)m
(ちなみに序盤は文章がより拙いですw)