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「魔姫様、はじめまして !!」

 勇者召喚が行われてたから数ヶ月が過ぎた。

 勇者になれなかった僕、灯は王国の町の料理屋で働いていた。

「アカシくん~。これお願いね~」

 この人はこの店の店長エリザベスさん(本名エレキ・ゴンザレス)見た目は屈強なマッチョにメイド服の魔人、もとい漢だが、中身は血を見ただけで発狂してしまう乙女?な人だ。

「はい。店長」

「のんのん~ここではママと呼びなさいっていつも言ってるでしょ?」

「・・・はい、ママ」

 僕は他のみんなが旅に出てからこの店で働くことになった。一応は勇者として召喚されたので、僕もお城でそれなりの待遇で過ごすことができたのだが、勇者になれないただの人間の僕には肩身が狭くとても居心地が悪かった。

 それで僕は城を出て城下の町の空き家に住み、今のこの店に働かせてもらっている。

 勇者になった他のみんなは勇者としての訓練を終え魔王討伐の旅に出て、今はみんなどこにいるのやらわからない。

 ただわかっていることはある。モンスターの数が圧倒的に減っていることだ。僕たちがこの席に勇者召喚されてきた時には地平線を埋め尽くすくらいの大群が町や村々を襲っていた。それが今じゃこの王国、近隣の町にもモンスターが出現せず平和に過ごしていた。おそらくみんながモンスター倒していったんだろうと思う。

みんなは勇者として僕は店員としてこの異世界を過ごしていた。

「お待たせいたしました」

「おう。来たなありがとよ」

 僕が料理をお客に運んでいると

 カランカラン

 お店に取り付けてあるベルが鳴り響いた。

「あっ。いらっしゃいませ・・・あれ?騎士団長じゃないですか。今日は早いですね」

 この国の騎士団長が店内に入店し僕に近づき言った。

「うむ、アカシ殿。今日は店に食べにきたわけではないのだよ」

 騎士団長は姿勢を正し

「勇者補佐 アカシ・タダノ殿 王国にて姫殿下がお呼びになっております。勇者アカシ殿。直ちに城に来ていただきたい」

「え?王国ですか?別にかまいませんが、あと僕は勇者では・・・」

 僕が訂正しようとすると団長が割って言葉をはさむ。

「いやぁかたじけない、何分早急なことですゆえ迅速に判断していただき感謝いたします。では早速」

「・・・は、はぁ」

 そういわれ僕は店の前に止められて馬車に乗りこみ城に向かう。

 その道中、団長が僕に話しかけた。

「いや済まない、アカシ殿。急に連れ出してしまって、実際、迅速に対応しなければいけないのでな」

「いえ、それは別にいいんですけど、でも勇者って僕は」

「加えてすまないが今から君は6人目の勇者として居てほしい」

 っ!6人目の勇者?勇者って武器に選ばれた5人だけのはずなのに、いったい何が・・・

「詳しい話は姫からお話になるそうだ。とにかく勇者アカシ。くれぐれも気を付けてくれ」

 僕は訳も分からないまま馬車は城に到着した。

 あれ?でも城は城でもここは・・・

「あの団長。ここは城の別館ではないですか、たしか機密の会議なんかがここで行われていたと思いますが」

「ええ。今回は機密中の機密。ですので別館にてお待ちになっております」

 てことは機密中の機密を僕は関係していくってことかな。

 城の廊下を歩いていく扉の前で団長が止まり扉をノックする。

「姫様。勇者様をお連れしました」

 すると扉越しから声が返ってきた。

「はい、ありがとうございます。どうぞお入りください」

 そういわれ団長は扉を開ける。

「失礼致します」

 僕は団長の後に続き部屋に入ると金髪セミロングで白いドレスのような服を着ている僕達を召喚した姫様とその向かいに顔を黒いローブのフードで隠れているたぶん初対面の人が丸いテーブルの向かいあって座っていた。

 姫が僕のほうに顔を向け笑顔でむかえてくれた。

「勇者アカシ。お待ちしておりました。急にお呼び立てして申し訳ありません」

「いえ、大丈夫です。ちょうど仕事のシフトが午前まででしたので」

 その近くで控えていたメイドさんが僕を席まで椅子を引いてくれた。

「ありがとうございます」

 僕は席に着き、出された紅茶を口に含む

「ふう、それで姫さま、ご要件をお伺いしたいのですが」

 僕がそう言うと姫様が顔をうつむかせていた。するとローブの人が口を開いた。

「・・・すみません、その前に私の自己紹介をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

 とローブの人が言う。やはり初対面だったのか。

「・・・あー!そうですね。勇者アカシ、彼女を紹介します」

 と姫が言うとローブの人はフードをとり素顔が現れ僕は驚いた。髪は銀髪のロング、瞳は赤く、耳は・・・とがっていた。この人まさか。

「・・・ま、魔族」

 僕の言葉に姫はうなずき、紹介を続けた。

「彼女はアクメリア・D・サタン。魔王ゴルド・D・サタンの娘。つまり魔界のお姫様です」

「気軽にアクアとお呼びください」

 ・・・え?アクアさん。まぁ可愛い名前・・・いやそうじゃなくって

「魔王の娘!?」

これが僕と彼女の出会いだった。

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