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無名の剣士  作者: むー
第一章
25/31

24

 『ウルフ隊』と合流し、一気に大手連合とランクアップした『新風連』は、初の実戦へと準備を進めていた。


negi:今日は連携重視でいくぞ!

negi:いきなり人数膨れ上がったからな、どこまでできるか挑戦だ!

kamo:りょーかい!

LuLi:はい!

ヴォルフ:了解した

さっち:了解です

くろす:・・・!


 若干一名不安のある返事ではあったが、渚は非常に頼もしく思えた。

 新規参入でギルドを作り、早半年でここまできたのだ。

 このメンツであれば、あの首に届く。そんな予感を感じさせるものだった。


 本日の領地戦は仮想『DT連』を想定して、D連と戦う予定だ。

 D連の規模は50人。

 立派に大手と呼べるほどの人数を抱えていて、その質も悪くない。

 どんな状況でも力を発揮し、その抜群の安定感によって現国家ランク3位になっている。

 ランク2の『DT連』の前座には丁度良いわけだ。


negi:さーて開始だ気合いれていくぜええええ!!


 こうして領地戦が開始されたのである。



 開始5分でD連の守る砦を発見。即在に展開する。


negi:先方を新風で突っ込むぜ、ウルフ隊はその後を続け

ヴォルフ:先駆けなら俺たちのほうが得意だぞ?

negi:ああわかってる。まぁ見とけ

kamo:せっかく情報隠したんだから有効活用しないとね!

ヴォルフ:わかった


 展開の構成を『新風連』のみにし『ウルフ隊』は隠したのだった。

 そのままカウントを取り、突撃を開始する。

 

 その動きを察知したD連は弾幕の量を濃くし、迎え撃つ構えを見せた。両者激突する。


 初期戦力は『新風連』30vsD連50といった形になり、数の優位性は圧倒的にD連だった。

 さすがに『新風連』の突撃を受け、乱れたものの決定打になるほどの打撃は与えられない。抜群の安定感だ。

 だが、渚がすぐさま采配を振る。


negi:ヴぉるふうううううう

ヴォルフ:もうカウントしてる!


 D連が乱れたのを見やって、新戦力『ウルフ隊』を投入したのだった。


 これにはD連も浮き足立った。

 新風連だけを相手にするつもりが、まさか他にも戦力がいるとは思ってなかったのだ。


 乱れたところを突くように『ウルフ隊』が食らいつく。

 さすがのD連もこれには堪えかねた。

 その防衛に穴が空いたのだ。


 渚の予定通りに進んだ。

 ここでさらなる指示を出すのだが、異変が起きる。


negi:きたああチャンス!新風突っ込めええええ

negi:っておいこら!!残党追っかけなくていい!!前えええええ

negi:押せ押せ押せ!!


 通常であれば、相手の陣系を崩すことに成功したら、スペースを即詰める。

 そうすることで相手の再展開を阻止することができるのだ。


 だが、残党を追うということは、せっかく陣系を崩したのに、整えさせる時間を与えることになってしまう。

 そうなってはこの1ターンが無駄になってしまうのだ。


negi:ちいいい間に合わない!ウルフいけるか?

ヴォルフ:さすがに無理だ、こちらも再展開しなくては!!

negi:くっそおおおおおおおお

 

 いきなりの連携ミスだった。

 相手は数人を囮にして、本陣を展開することに成功するのだった。

 あれだけ見事な連続突撃をしながら先手を取れなかったのは非常に痛い。


「カナああああ!」

「あいあいさー!」


 作戦失敗を悟り、渚がリアルで香奈の名前を叫ぶのだった。

 心得たとばかりに香奈が動き出す。


kamo:敵陣に侵入します!援護おねがい


 それだけ言って自身は隠密スキルを使うのだった。香奈の真骨頂はここである。

 

 敵が展開を終わらせ、完全防衛に移った瞬間を狙う。敵陣の奥深くにいるであろう要職を潰すのだ。

 そうすれば、お互いが必殺の陣形を組み、ぶつかった瞬間、要職の居ない相手など消し飛ばすことができるからだ。

 この場合だと指揮官を狙うのが定石になる。


 当然、相手も一番警戒している部分である。

 普通であれば味方の援護があろうと、侵入すること自体が不可能だ。


 だが、ほんの一瞬。

 たった一瞬の隙を見つけては、相手の懐に入るのだった。

 意識の裏をかくような、絶妙なタイミングだった。


(もーらいっ!)


 そう心の中で呟き、思わずにやけてしまうくらい気持ちよかった。

 あとは相手を選びたい放題だ。ゆっくりと査定する。

 お目当ての相手を探すのに、それほどの時間は掛からなかった。

 見つけた瞬間、カーソルを合わせ、自身のフルバーストコンボを叩き込むのだった。


 この時の相手の慌てようは、このシーンだけ動画で投稿したくなるほどだった。


 いきなり自陣の奥深くでド派手なエフェクトが立て続けに発生するのだ。

 これで驚くなというのが無理だろう。

 ましてや打ち取られたのが指揮官である。

 完全に浮き足立った。


 香奈はそれを感じ取ると、さらに暴れだす。

 そこから自分が死ぬまで、片っ端から敵を倒していくのだった。

 フルコンボは技後硬直のせいで使えないが、発生の早いスキルを叩き込めるだけ叩き込み、耐久力の低いユニットを次々落としていく。


 自身がやられるまで、指揮官を含む7人も落としたのだった。

 単独潜入でそんな戦果をあげられたら、たまったものでは無い。


 そして、この時には『新風連』も再編を完了させていた。


negi:全軍突撃いいいいいいい!!


 本陣を作るのに数人を囮に使い、なおかつ香奈の手によって指揮官を落とされガタガタなD連と、再編を済ませ、今度は同じ手は喰らわんと闘士をみなぎらせている『新風連』とでは勢いが違った。

 この後の展開は『新風連』のワンサイドゲームになるのだった。

 序盤に躓きはしたが『新生新風連』の完勝、初勝利だった。



negi:――ってわけで反省会いいい!!

LuLi:わーぱちぱちぃ・・・

kamo:いぇーいえーい・・・


 本来であれば国家ランク3位を相手に勝てたのだ。喜ばしいものである。

 だが、この連合に誰一人として喜ぶ者などいなかった。

 勝ったというのに、葬式のような静けさだった。


negi:まずわかってると思うが序盤のあれは何だ!?

kamo:えー分析をしますと、相手の策に引っかかったと思われます!

negi:おぉう、その策とは如何に!?

kamo:それは、囮による誘導にハマったものと思われます!

negi:もういいわその話し方! とまぁそんな感じなんだがどうおもう?

さっち:確かにそのとおりなんですが・・・これってぼくたちのせいですか?

negi:どういうことだ?


 思わず顔を見合わせた双子だった。

 |また(、、)この手の話か? と思ったからだ。

 だがここで否定せずに話を訊く。


さっち:今回の作戦という本来の目的は、新風とウルフの連携を図るということだったと思います

さっち:そのために班編成を従来の、前衛・後衛、と分けるのではなく

さっち:新風とウルフでわけたんですよね?

negi:ああ、その通りだぜ


 さすがのさっちだった。

 こちらが言わずして狙いを正確に理解しているのだ。


さっち:それだったら事前にファーストアタックについて作戦書書いても良かったのではないですか?

negi:ん?

さっち:もうネギさんの中で先方新風、次鋒ウルフって筋書きはできていたんですよね?

negi:あ、ああ

さっち:その作戦事態はものの見事に決まってました。ただ次が問題です

さっち:せっかく穴を開けたのに、どっちが詰めるの?ってあの一瞬でなったんです。


 この言葉で渚は完全に理解した、


negi:それは状況次第になるだろう

さっち:そうですね確かに状況次第です。

negi:詰めるのは余力の残ってるチームが行くのが合理的だぜ

negi:だからこそ、どちらに余力があるのかその時になってみないと分からない。作戦書には書けないだろう

さっち:確かに、確かにそのとおりなんですよ。


 つもりだった……。

 さっちがこう続けたのだった。


さっち:ただぼくらはネギさんが思っている以上に強いみたいです・・・w

negi:はあ?

さっち:ヴォルフさん、ぼくの気のせいかもしれないんですけど、あの時目合いましたよね?w

ヴォルフ:ああ。勿論、画面越しだからな、目が合うなんてことはありえないんだが・・・ヴォルフ:あの感覚は俺だけではなかったかようだな

negi:おいお前らちゃんと説明しろよ

さっち:つまりですね、あの瞬間お互いのチームに余力はあったんですよ

さっち:ヴォルフさんと一瞬ですね、迷ったんです。どっちがいく?って

ヴォルフ:そういうことだな。それでお互いに引いた

negi:・・・


 つまり、あっちが詰めるだろうと思って、両方ともフォローに回ってしまった。ということが言いたいらしい。


さっち:本来であれば、人数の多いぼくらが行くべきだったんでしょうが・・・

ヴォルフ:いやいや、相手に食い込み一番近いところにいた、こちらが行くべきだったはずだ


 これには頭を抱えてしまった渚だった。

 そんな渚を横目に香奈が言う。


「あちゃー……嬉しい誤算ってやつだよね、これって」

「こんなの誰が想像するかよ……もし今後これが起きたらどうすればいいんだ」

「まず間違いなく起きると思うよ? うーん困ったね」


negi:そんな状況になってるとは思いもしなかった。すまん

さっち:いえ、まさかぼくらもこんなことになるなんて・・・

ヴォルフ:面白いものだな。だが今後どうする

LuLi:あのー・・・

negi:それを今悩んでる

negi:ん?


 この問題点をどうやって改善するか悩んでいると、瑠璃子が控えめに発言したのだった。


LuLi:どちらも能力が高いのはいいことですよね

negi:ああ、本来うれしいことだな

LuLi:だったらこういうのはどうですかね?


 そう前置きして語りだした。


LuLi:もう今日でウルフ隊が新風にいるのはばれましたよね

negi:ああまず間違いない。

LuLi:でしたら、やはり突破力のあるウルフ隊を先方に置いたほうがいいんではないでしょうか

LuLi:先方ウルフ、次鋒新風の二段階攻撃のあと、詰めるのは絶対に新風ってことにしませんか?

negi:それだと、新風に余力が残ってなければ破綻するぞ

LuLi:普通だとそうなんですけど・・・もしそうなったときヴォルフさんだったら何とかなりません?

negi:・・・

kamo:・・・

さっち・・・


 それはもはや作戦でも何でもない。行き当たりばったりというやつだ! と誰もが思った。


ヴォルフ:・・・あ、ああ確かに何とかするな

LuLi:それは指揮官の指示を待たずして、ですよね?

ヴォルフ:ネギがそれを許可してくれるならできるぞ

nagi:あー・・・当然だが許可するぜ。ヴォルフの指揮も大したもんだからな

LuLi:実際これでやってみてまた問題でたら修正するとしても、多分なんとかなるんじゃないですか?


 本当に何とかなりそうな連合だから怖い。

 これでゲームが成立してしまったら指揮官など必要なくなってしまう。


negi:実際にやってみるしかないな

LuLi:おー!うれしいです

negi:さすが、うん、マスターだな


 一応、褒めておくことにした。

 『DT連』の時にはまともに反省会などできなかったにも関わらず、ここではこうやって進めている。


 ここからは来週の動きを決める会議になったのだった。


negi:来週の領地戦の話をしようとおもう


 この瞬間メンバーが盛り上がる。

 皆、次の予定が何なのかある程度予想が付いている証拠だった。


negi:今回、ランク3位のD連を相手に完勝した。

negi:もちろん事前情報を与えなかったというのもあるが・・・

negi:それでもあれだけ一方的な試合になってしまっては、もう一度やっても同じだろう。

kamo:つまり?もったいぶりすぎだよ!

negi:あぁ、すまんw

kamo:もう!!早くしてよ!

negi:次はDT連と戦おう!!!!


 それを聞いたメンバーたちの雄叫びが合唱となるのだった。



 こうして迎えた『DT連』との決戦当日。

 砦前は大変な人数がひしめき合っていた。

 

 先週、D連を倒した『新風連』が次に狙うのは『DT連』であるのはわかりきっていた。

 当然のように『DT連』は待ち構える様子を見せる。

 

 『新風連』も自分たちの行動がわかりやすかろうが、攻めると決めたのだ。

 こちらも当然のように砦前に集合し、突撃陣形を取り待機する。


 さらにだ。

 この決戦見たさに、やじうま達が集まっているのだった。もはやお祭り状態である。


 開始のアナウンスが流れる。


その瞬間『新風連』一気に動いた。

 スタートダッシュと呼ばれる戦法だった。

 警戒されていたとしても、開始の一瞬が弾幕の薄い瞬間になる。

 それは一秒にも満たないものだが、その時だけ唯一のチャンスがあるのだ。


 派手なエフェクトと効果音が、双方のぶつかった衝撃の大きさを物語る。


 スタートダッシュ戦法を取っただけあり、ウルフ隊がしっかりと食い込む。

 前回の反省会がしっかりと生きている、追撃する新風組である。

 開始一分、早くも第一ラインを突破する。


 まだ始まったばかりにも関わらず、ギャラリーたちは大盛り上りだ。


 そのままの勢いを利用したいところであったが、簡単には進ませてもらえない。

 なんと、ここで罠防衛を敷かれてしまったのだった。

 『新風連』がスタートダッシュの陣系をみて、突破されたあとの保険を作っていたのだろう。これにはさすがに足が止まる。


 高速で罠を除去しつつ、陣形が乱れないよう進む。

 第二ラインに着く頃には、10分経過していた。しっかり巻かれてしまったことになる。


 『DT連』も以前戦ったままではないらしい。

 しっかり練度が上がっている。


 そして第二ラインで膠着状態になるのだった。


 ここからの押し引き、心理戦は熾烈を極める。

 だが、何を思ったか、指揮官である渚が前線に出るのだった。


 『DT連』からしてみればチャンスである。

 negiが指揮官であるのは疑いようがない、今この瞬間に落とすことが出来れば、指揮系統が乱れるのは明白である。


 だが『DT連』は知らなかったのだ。

 もはや『新風連』は指揮官がいなくても動ける連合なのだ。

 そして、渚はただ自殺しにいったのではない。


 相手が自分に向かってきていることはすぐに分かった。

 あえて自分だけ浮き駒として前にでたのだ。釣られてくれなければ困る。

 二人、三人と張り付いてくる。

 それでも倒れない渚。

 耐久力の高い職をさらに耐久特化にカスタマイズした自キャラは、早々落ちない。

 その数が五人、七人となったとき、さすがにダメージ量が回復量を上回る。

 そして、八人目が張り付いた時だった。


「カナああああああ!!」

「わかってるってぇ!」


 前回のD連と同じようにリアルで叫んだのだった。

 自分にターゲットが集まれば他のキャラが自由に動ける。

 そしてそれは香奈も例外ではない。

 隠密行動から、一気に敵陣の中へ侵入し、敵の有名ユニットを撃破していく。


 negiに注目していた分、kamoの発見に遅れたのだった。前回の比ではないほどの大暴れを見せるのだった。

 その間に『新風連』本陣も突撃を開始する。

 一体誰がを指示を出したのか分からない、もしくは指示など無かったのかもしれない。


 渚、香奈共に打ち取られはしたが、戦場の大勢は決していた。

 そのまま第二ラインを突破する。


ヴォルフ:これが、これが、カモネギコンビの力か・・・!

さっち:こんなことが毎回起きてしまったら、人数差なんて無いようなものですね・・・

LuLi:すごい・・・

negi:まだだ!油断すんじゃねぇ罠がくるぞ

ぷちこ:了解!除去します

kamo:全体へ@@@ぷちこのフォローを最優先!!

さっち:了解、ネギさんカモさん復帰予定時間を教えて!

negi:わるい、五分は掛かる!

ヴォルフ:この勢いだと相手がギルドスキル使ってくるぞ!

negi:いい情報だ!一旦攻略ストップ


 こうしていきなり作戦行動を停止したのだった。

 今ここでギルドスキルを使われたら、こちらも使わなくてはいけない。

 その戦いで負けた場合、盛り返すことが難しくなる。

 カモネギが復帰したあとに使わせれば、こちらはギルドスキル一回分、チャンスが残る。


 この計算が、中間指揮全員が合致したのだった。


 そして予定通り、カモネギが復帰し行動開始する。

 相手の防衛陣と衝突する。

 その動きは、あからさまに「ギルドスキルを使います」と言っているものだった。


 だが、ここで香奈がさらなる無双を見せた。

 戦場を共有している全ての意識がギルドスキルに向いたのだ。

 ”意識の裏をかく”のが真骨頂の香奈だ。

 この瞬間隠密スキルから敵マスターを捕捉、ギルドスキルを詠唱し始めたのを確認した瞬間、


「じゃじゃじゃじゃーーーーーん!!」


 口で変な効果音を喚き散らしながら、敵のマスターを屠ったのだった。

 当然ギルドスキルは不発に終わる。


 ――なんだそれはっ!!


 見事に全員の大合唱になったのだった。


 戦っている、新風・DT、両連合は唖然。

 観戦しているギャラリーたちも言葉を失うのだった。

 それは渚も例外ではなかったが、こちらには思い至ることがあった。


「おいカナ。今、リミッター解除しただろ?」

「えー? なんのことかなぁー?」


 こんなにも白々しい話があってたまるだろうか。

 それも、今や誰も使わないだろう「てへぺろー」とでも言いたそうな顔だった。


「しらばっくれんじゃねぇ! あんな乱戦でマスターだけ補足するって、どんな集中力と動体視力してんだ! 不可能だろうが!」

「まあまあ、そんな硬いこと言わないで。これはゲームなんだから大丈夫だよ」

「ったく人のこと言えねーじゃねぇか」


 こうなっては、もはや『DT連』に手は残されていなかった。そのまま落城する。

 カウンターと言わんばかりに攻めてくるが、お互いにギルドスキルを相殺しあって、そのまま終了の時間になったのだった。


 誰がどう見ても『新風連』の勝利だった。


 その夜はメンバー全員で騒ぎ通した。

 ギルド作成当初からの目標であった『DT連』の首を取ったのだ。

 しかも、完全勝利でだ。

 まさに完膚無き、めっためたのギッタギタのコテンパンに伸してしまったのだ。

 もはや『DT連』は今の力を維持し続けるのは不可能だろう。

 下手をすれば解散するかもしれない。


 だが、そんなことは知ったこっちゃないと渚は考える。

ただ一つ気がかりなのは……。


「オフィーリアにぎゃふんと言わせてねぇ……!」


 と、言うことだった。

それを聞いた香奈は、


「大丈夫だよナギ姉。指揮官が指揮してなかったって誰が思う? あんなに翻弄したんだもん。総指揮がナギ姉だって勝手に勘違いしてギャフンって言ってるよ」


 そう言って慰めるのだった。


「そういうもんかー?」

「そういうもんだよ。ウチもナギ姉の仇うてたし、大満足!!」


 そう言ってにっこり笑う香奈は最高に可愛かった。


「っておい、オレ死んでねーし」


 この夜のドンチャン騒ぎはいつまでも続くように思われたが、そんな時意外な来客に一気に静になるのだった。


Lyra:こんばんはー


 まさかの人物だった。

 渚と『DT連』を別れさせる原因を作った存在。

 現在は歴代最強と呼ばれる『AFG連』を率い、その強さは、先日ついに渚が作った記録『単一連合による4砦確保』を達成した。

 そして今度は最長防衛記録の更新をすると発表し、3ヶ月目に突入した。

 最強の指揮官の異名を持つ、リラだった。


negi:おやおや、これは以外な奴がきたな。よくここがわかったな。

Lyra:さすがに新風連さんのたまり場くらいわかりますよ・・・

Lyra:今日はおめでとうございます

negi:そいつぁどうも

Lyra:まさかこんなに早くネギさんが復活するなんて思ってなかったですよw

negi:実を言うとオレもだよ

Lyra:あははwそうなんですかー

negi:ああ、いいメンバーに恵まれた

Lyra:それだけじゃないでしょう。見事な指揮でしたよ

negi:本当にそう思うか?

Lyra:はいwここに来たのもそれを言いに来たということが大きです

negi:ホントかよw誰に褒められるよりも嬉しいぜーあんがとな

Lyra:大げさすぎますよwあの指揮はすごいですねー。まるで誰も指揮を取ってないよな錯覚がしたくらい・・・

negi:くっくw


 このセリフを聞いて香奈が反応したのだ。



「この人は本物だね……」

「ああ、本物だな。唯一のライバルって言ってもいい存在だぜ。例えゲームだが、オレを負かしたのはコイツが初めてなんだからな」

「なるほどね。これは苦労しそうだね」


negi:それで、本当にそれだけを言いに来たのか?

Lyra:んー。一応、連合代表として言わないといけないらしくてですね・・・

Lyra:新風連さん、今度私たちAFGと勝負しませんか?


 その瞬間、辺りはざわつき始める。

 さすがにおおっぴらに、堂々と宣戦布告をしてくるのは珍しい。

 ましてや防衛記録を作っている最中にも関わらずだ。


negi:こんなに丁寧な宣戦布告を受けたのは初めてだ

negi:奇襲とかスタートダッシュだとかで優位に立とうとするもんなのにな

negi:それは王者の余裕ってやつかい?

Lyra:それは深読みしすぎですww

Lyra:私たちは単純に戦いたいだけですよw対等な条件でw

negi:なるほどな

negi:とりあえず、今この場で返事することはできない。後日連絡するってことでいいか?

Lyra:はい、それでもちろん構いません。

Lyra:お話聞いていただいてありがとうございます。

negi:こちらこそさんきゅーな

Lyra:それではこれにて失礼します。

negi:ああ


 以外な人物は、来たときと同様、静けさ与えて帰っていった。


 お祭り騒ぎが一転、誰も喋らない。

 だが、この静寂を破るのはいつもの指揮官であった。


negi:さて、ぶっちゃけ選択肢はねぇぞ!w

kamo:そうだよねー!やるしかないじゃん!!

LuLi:た、たしかに・・・w

negi:だがいつやるか、だな

ヴォルフ:相手は70規模か

negi:ああ、25人差ははっきり言ってどうにもならん

ヴォルフ:・・・本当か?

さっち:カモネギのお二人がいれば、70人でも勝てるんじゃ・・・

negi:バカいえ、んなもん無理だぜ

kamo:そうそう。結局、戦は数だよー

ヴォルフ:その数の差を埋めたのは一体だれだ・・・

kamo:あれはたまたま、見たところにマスターがいただけであってですね・・・

negi:とにかく、いずれは戦う相手だ。今はやるべきことをやっていくしかねーな

さっち:そうですねー。ぼくはメンバー募集を強化します

negi:ああ頼むぜ。つってもDT連が解散したら難民が多く出るからな注意しろよ

さっち:了解です

negi:みんなも、少しでもレベルを上げたり装備を強化したりしてくれ、よろしく頼む


 全員から頼もしい返事が返ってくるのだった。

 指揮官冥利に尽きるというものだ。


「いい連合だね」

「だな。こんな気分、中々味わえねーよな」

「うん。復帰して良かったって思う」


 次の目標は打倒『AFG連』だ。

 こうしてギルド一丸となって、上を目指すのだった。

 しかし、こうした良いムードをぶち壊す出来事が起きたのだった。




 瑠璃子が交通事故に遭ってしまったのだ。

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