17
すったもんだの挙句、どうにかメンバー達と合流することができた渚と瑠璃子だった。
最初はすぐわかるだろうとタカをくくっていたのだが、周りを見渡すとあちらさんもこちらさんもグループのようでで、自分たちのグループを見つけるのに苦労したのだ。
「は、はじめましてー」
そうやって瑠璃子が声をかけていく。
正直に言うとメンバーたちを見つけたのも瑠璃子の力が大きかったりする。
普段はおどおどして頼りない感じなのだが、意外と度胸が座っている。
怖いもの知らずといってもいいかもしれない。知らない人達に声をかけるのは思った以上に勇気がいるのだ。
実際、最初の出会いも瑠璃子が声をかけてきたことから始まった。
「えっと、メンバーの誰だろう……?」
いきなり美少女に声をかけられたからだろうか、相手のほうも少しおどおどした雰囲気で返してくる。
瑠璃子が自分の名前を伝えると、「おおー!」とちょっとした歓声があがる。
「まじかーラリちゃんがこんな可愛い子だったとは驚き! 俺はヒマワリだよ!」
そう言いながらヒマワリがにっこりと笑う。
渚自身、人の美醜で態度を変えるわけではないが、コイツはイケメンの部類に入る顔だと思った。
身長も瑠璃子より少し高いくらい、年齢は二十代後半あたりだろうか。
多少遊んでる印象を受けるが、それがマイナスイメージというよりは、どこか人の良さを感じさせる。
「じゃあこっちの子はだれだろう……? 今日来るって言ってたメンツで女の子って誰だったっけ?」
「……試しに聞くが、誰だと思う?」
本当に試しに聞いてみた。
「そう言われると……むずかしいね……」
「オフィーさんいるしマリアさんいるし……フレアさんかな?」
「いやフレアさん今日はこないってあの人関西側の人だから」
「あーそうなんだ。そうなると余計わからんぞ……」
やはり誰もnegiだとは分からないようだ。
「ネギだよ」
「…………え?」
「オレはネギ。いつも雇われで総指揮やってるネギだ」
「ええっ!?」
「うっそでしょう!?」
ネギと名乗ったら誰もが茫然自失となってしまった。
あまりにも印象が違うのだろう、というかまさか女だとは思ってなかったはずだ。
「まさか総指揮殿がこんな美少女だったとは……」
「おい、リアルでもそれかよ。普通にネギって呼べよ」
「いやいや、これはちょっと簡単に呼べないでアリマス!」
「お前なぁ。別になんも変わんねーだろうオレはオレだぜ?」
「そういわれても……なあ?」
最後の言葉は渚に対してではなく、後ろを向いて他のメンバーに確認するように言った。
それに呼応する形でみんな返事していく。
相手が男だと思っていたから気軽に話せたのだろうが、女であればそうも行かないということらしい。
今回のオフ会はどうやら主要メンバーが揃っているようだった。
ヒマワリを始め、オフィーリア、マリアベルといった実質《DT連》を動かしているメンバーだ。
さっちやぷちこなど中間指揮や軍勢の要がいないのが非常に残念ではあるが、それでもこのメンバーに話ができれば大きな戦力アップになるだろう。
だが、そこで気づいた。
今日居なければならない人物が居ないのだ。
「あれ? マスターは?」
みんな簡単に自己紹介を終えたのだが、マスターの姿だけ見えなかったのだ。
ヒマワリが「それなんだけどさ……」そう前置きして喋りだす。
「マスターが急遽仕事が入ったらしくてこれないんだって」
「…………」
「ネギさんに申し訳ないって、めっちゃ謝ってたんだよ。もちろん皆に対してもね。『本当に申し訳ない』って言ってたんだけど、その中でももしネギさんがきたら特別謝っておいてって言われてたんだ」
「…………」
「どんな約束してたかわからないけど、許してあげて?」
「……そうか、来ないのか」
一言言うだけに止めたのだった。
それ以上口を開こうものなら盛大に文句を言ってしまっただろう。
自分で誘っておいて、その張本人がいないとは何事だと思った。
あくまでこれはゲームであってリアルの仕事は優先しなければならない。
それはわかる。わかるのだが、今回のコレは酷い。
さて、どうしたものか、マジで帰ろうかな。
そこまで考えたのだが、それを見透かされたように瑠璃子がパーカーの袖を引っ張ってきたのだった。
要約すれば、「私を残して帰んないでください」といったところだろう。
一人で不安だったらくるんじゃねーよと突き放してしまおうか悩んだが、友達が変な事件に巻き込まれたら目覚めが悪くなりそうなので一次会だけ付き合うことにした。
二次会まで参加するようだったらそこまでは面倒見切れない。
この繁華街に来るまでゆうに二時間は電車に乗る必要がある。
メンバーと同じ感覚で参加していたら、終電を逃してしまうのだ。
そんなこんなで、立ち話もなんだしと誰かが言い、予約した店へぞろぞろ移動するのだった。
今回の店は連合御用達の店らしい。
一応集合したここは繁華街のエリアになるわけだが、そこから少し歩き、路地の奥まったところを進んでいく。
先程までの喧騒が嘘のように、騒がしい気配が消え、どことなくムーディーな雰囲気が漂っている。
その一角にある店にみんなで入る。
チェーン店というわけでは無いようで、一軒家の個人店で内装も落ち着いていて中々良い店だ。
普段から家族で外食に出ることが多い渚なので、そういうところにも目が行ってしまう。
こうしてみんなで予約席に付き、改めて自己紹介していくのだった。
「改めて……か。さっきも言ったように一応総指揮やってるネギだ。生物学上、女に分類されるみたいだな。まあ自己紹介と言われても特別言うことはないんだが、どうしようか?」
「先生質問いいですか?」
「なんだよヒマワリ君」
「何歳ですか!?」
「今、十六だな」
「うおお、現役ジェーケーですか……」
「いちいち卑猥に言うんじゃねーよ。まぁ、そうなるな。総指揮が十六の女だったら不満か?」
「総指揮官殿、滅相もないっす! こんな美少女が指揮飛ばしてると思うと……ハアハア……」
「お前はキャラを定着させろ! もういちいち訂正すんのもめんどくさくなったわ」
「前向きに善処するでアリマス!」
「……もういいわ。っとまぁこんな感じで普段からこういう言葉使いだからな。ゲームの中とそんな変わんないはずだ。今まで通り接してくれるとうれしい」
と言いつつ、普段の言葉使いよりほんの少し。
本当に少しだけ畏まった言い方をしたのだった。
だがこのヒマワリとのやり取りで周りが和んだようだ。
ここら辺はさすがは場慣れしているヒマワリと言っておこう。
こうして次は瑠璃子の番になるわけだが、こちらもいつも通りの感じで自己紹介していくのだった。
簡単に言えば、おどおどした感じである。
逆にそれがいじりやすいのか、瑠璃子が一言発せば茶々が入り、どんどん脱線していくのだった。
好きなタイプは?
彼氏いるの?
彼氏に立候補していいですか!?
バナナ食べてよバナナ!
と、まあこんな感じである。
「は? あ、あのえっと……彼氏はいないんですけど、えっバナナですか? ちょっと今手元にないんですけど……どうしましょう?」
「よしそれなら俺のバナナを食べてく……」
そう言いかけたヒマワリに総ツッコミが入る。
というよりも物理的な突っ込みでボコボコにされるのであった。
「おいラリ! いいんだよいちいちそんなの間に受けなくて! お前らももういいだろう!?」
「ネギさんも! 彼氏いるんですか!? 好きなタイプこの中だったら誰ですか!!」
「お前ねぇ……彼氏はいねーし、タイプなやつもいない。これでいいだろ次いけ次!」
渚にも聞いてくる勇者がいた。
普段の渚であればこんなやつ歯牙にも掛けないが、さすがにメンバーとの軋轢は作りたくないので適度にあしらって終わらせる。
こうやって自己紹介をしていくうちに頼んでおいたドリンクや料理がやってくるのだった。
そうなるともう他のことはそっちのけで腹を満たす作業に入るのだった。
渚や瑠璃子はまだ未成年であるためアルコールは頼ませてもらえなかった。
だが、他のメンバーたちは全員成人しているようで、どんどんアルコールを入れていく。
瑠璃子は知らないが、渚は普段から呑むので物凄く残念がっている。
しょうがないので出てきた料理を片っ端から平らげていくのであった。
こうしてほどよくお腹が満たされると、お喋りに夢中になる。
本当であればマスターがこういう時に渚に話を振って、戦術論についての議論が始まるのだろうが、今回は不在で、なおかつあまりそういうの論議が好きじゃないヒマワリが幹事をやっているので話が一切できないのであった。
しかも話される内容がどんどん下ネタな感じになっていく。
今回15人中、女子は一応渚と瑠璃子だけだったので徐々にこの二人が中心になっていく。
端々に女子高生の渚や瑠璃子を困らせてニヤニヤしようという悪意を感じるが、あいにく渚は耐性を持っているので適当に答える。
だが瑠璃子はそうもいかないようだった。
うまく捌けず、あわあわしている。
同じ女子というくくりで渚にも振ってくるのだが、渚はなんのその。へっちゃらだ。
渚の反応が面白くないのだろう、メンバーの意識がどんどん瑠璃子へ向かっていくのだった。
さらに捌けなくなる瑠璃子に、それを面白がって無茶振りしまくるメンバーたちと、変な悪循環が出来上がってしまった。
瑠璃子は助けてくださいと渚を見るのだが、渚はそれを一瞥するだけで知らんぷりするのだった。
あえてこの行動を言葉に表すなら、
『本来だったら自分とお前は他人のはずなんだからいちいちこっちに助けを求めるんじゃねぇ』
『自分でこの場に来ると決めたのだから自分で何とかしろ』
で、ある。
何故といっても、渚は渚でイラついているのだ。
お酒が呑めないから……。ではなく、案の定、戦術論を話す機会がないからだ。
瑠璃子のおかげで盛り上がっている今のこの場を、自分のせいで盛り下げるわけにもいかず、一人ぽつんと飯を食っているのだ。
何のためにマスターに請われ来たのだろう?
何のために二時間も掛けてこんなところに来たのだろう?
自問していくのだった。
こうして悶々としているうちに時間が経ち、渚にとって苦痛の一次会は幕を閉じたのだった。
瑠璃子もヘトヘトになっているようだ。
「これから二次会行く人ー!?」
そうやって今回の幹事であるヒマワリが声を掛けていく。
当然のようにほとんどのメンバーが二次会も参加するようだった。
渚は二次会なんて冗談じゃないと、当然のように不参加を伝える。
ヒマワリ自身も残念がって「仕方ないね。次はマスター絶対来てもらうからその時によろしく」とだけ言ってきた。
「ラリちゃんはどうするー?」
「え、えっと、私も今回はこれで帰ります」
えええ、とメンバー達の見事な大合唱になった。
戦争ゲームを女子がやってること事態少ない。
そう言った意味でも貴重な女子成分だから仕方ないのだろう。
おまけに美少女と来ているから、あわよくば仲良くしておきたいのだろう。
下心が見え見えだ。
「ラリちゃんが今回の主役みたいなもんなんだから最後まで参加しないと!」
「いつの間に主役になったんですか……。でも今帰らないと終電ギリギリなんですよぉ……」
「いいじゃんいいじゃん! みんなでオールしようよ!」
ヒマワリ達がしきりと引き止めてきたが、瑠璃子も瑠璃子で普段のおどおどした形ではあるが断固として認めなかった。
結局、瑠璃子も帰ることになり渚と一緒に、適当に挨拶してその場を後にしたのだった。
先程まであれこれと騒がしかったのが嘘みたいに静かになった。
繁華街からは少し外れた路地だからか、自分たち以外の人通りがない。
そんな暗い夜道を背の低い少女と高い少女の二人が歩いていくのだった。
「今日は楽しかったですね」
「おい、それは嫌味か?」
「ゴメンナサイ」
ギロリと睨む渚と、その瞬間に謝る瑠璃子だった。
「でも今日は本当にびっくりしました。世界ってなんて狭いんでしょうね」
「まったくだ。どうしてこうなっちまったのか訊きてぇよ」
「実を言うとゲームですけど、私はネギさんの事尊敬してたんですよね。いつも華麗に指揮を飛ばすネギさんて素適だなって思ってたんですよ。だから今日会えるって聞いて楽しみにしてたんです」
「ほー。じゃあ、オレが男だったら抱かれたかったか?」
にやりと笑いながら答えた渚だった。
『素適』だとか『会うのを楽しみにしている』などモデル級の美少女が言ったらその相手に好意を寄せているようにしか思えなかったのだ。
普通であれば期待してしまうだろう。瑠璃子は慌てて否定する。
「そ、そんなんじゃないですよ! どうしてメンバーさん達もそうですけど、そっちの方向に話を持っていくんですか!?」
「んなの決まってんだろうが。お前がいじりやすいからだよ」
「えーそんなぁ……。どうしたらいいですかね……?」
「知るか」
落ち込む瑠璃子だった。
だが気を取り直して再度話し掛けてくる。
「でも尊敬していたのは本当です。だからその人がナギさんだと知ったら、ちょっと嬉しくなりました」
「何だぁそりゃ?」
「同じ人だったからですよ! 剣道で初めてすごいと思った人がナギさんだったんです。そしてゲームでもすごいと思ったのがナギさんですし、私がやってる物で両方とも尊敬した人がナギさんなんですから。これってナギさんと出会うのは運命だったんだ! って思ったんです」
「……。何だぁそりゃ……」
瑠璃子はいつもこうだ。
夢見がちの少女とはまた違う独特の言葉を使ってくる。
『素敵です』だとか『運命です』だとか歯が浮くようなセリフを平気で言ってくるのだ。
そして今回はさらなる爆弾を投下してきた。
「改めて好きになりました!」
こんなことを臆面もなく言ってくるのだ。
(告白かよ!?)
喜べばいいのか笑えばいいのか分からない。
どう返していいかさすがの渚も考えたのだが、それも一瞬のことで、すぐさまいつもの意地の悪い顔をしてにやりと笑うのだった。
「なら抱いてやるよ」
「はえっ!?」
瑠璃子のリアクションは無視して、パッとその手を取った渚だった。
それをそのまま反転させ一瞬にして瑠璃子を建物の壁に押し付けるのだった。
自分よりも背の高い瑠璃子を、苦もなくあしらうのはさすがとしか言いようがなかったが、そうなると瑠璃子もじたばたと藻掻く。
だが、そんな抵抗も何のその。
空いたもう一方の手も取り、それもガッチリと壁に押し付けた。
さらに、自分の足で瑠璃子の足の間を割って侵入する。
そうしておいてから瑠璃子の豊かな胸にトンと顔を押し当てるのだった。
いくら人通りが無いからとは言え、ここまで大胆なことをされるとは思っていなかった瑠璃子は驚きと、恥ずかしさのあまり目を見開いた。
そんな様子が手に取るようにわかる渚は、さらに一歩踏み込み体全体で瑠璃子を押し付けるのだった。
これで完璧に密着することになり、相手の動きを完全に封印した。
この体勢がこれから何をするか分からない程、瑠璃子は鈍感でも順でもなかった。
必死に藻掻きながら、しどろもどろに「ダメです私たち女同士なんですよ! それに私初めてなんです!」などと可愛いことを叫ぶ。
だが、渚は一向に聞き届けない。
最後の仕上げとばかりに、長身の瑠璃子に対して上目遣いを使って言ったのだった。
「こういう時は、目を閉じるのがマナーだぞ」
どんな人間であろうと、渚にここまでされたら堕ちない奴はいないだろう。
そう思わせるほどの破壊力がそれにはあった。
実際、あれほど激しかった瑠璃子の抵抗もピタリと止まり、今では渚の作り出したこの雰囲気に酔っているようだ。
瑠璃子は目を閉じた。
それを確認した渚は背伸びをし、ゆっくりと顔を近づける。
その気配を察したのだろうか?
瑠璃子はピクリと身じろぎし「っん……」と淡い声を漏らす。
そして……。
ペチン!!!!
派手な音が静かな通りに響き渡るのだった。
「いったぁぁいっ!!」
「ふははは! こんな時のお約束だよな! デコにピンってよっ!!」
今にも腹を抱えて転げ回りそうな渚に対し、涙目におでこを摩る瑠璃子だった。
キスをされると思い、身構えてたところを思いっきりデコピンされたのだ。
食らった方は堪ったものではない。
相当痛かったのだろう。
「うぅー……」と唸りながら未だにおでこを摩る瑠璃子だったのだが、それもおさまると渚を睨み「もう知りませんっ!」と一人でスタスタ行ってしまった。
「ちょっと待てって。なーに怒ってんだよ」
そんなことを白々しくも聞いてくる渚。
「知りません! 普通あんなことされたら誰だって怒ります!」
怒りをあらわに怒鳴る瑠璃子だったのだが、明らかにこれは新たなネタを提供してしまった。
「あんなことぉ? あんなことって何されると思ったんだよ?」
しっかり見逃さず、さらにニヤニヤしながらさらに追い詰めていく。
瑠璃子は「もう本当に知りません!」とプイッという感じに行ってしまったのだった。
「なーおい。機嫌なおせよー。しょうがないから続きしてやるよ」
「別に続きなんていいんですよ!」
「なんだよ。その気だったくせに」
「そ、その気なんて……。大体ですね、女の子同士だなんてふしだらです!!」
そういって顔を真っ赤にして言ってくる。
本当に耐性が無いようだ。からかい甲斐がある
「女同士ねぇ。じゃあ女同士じゃなかったら、したのかよ?」
「それは……。まぁ、そう、ですね……。でも、それはナギさんが男の人だったらっていう話しです。ナギさん以外の人とはちょっと考えられないです」
またコイツは……。
こういうことを平気で言うのだ。
完全にこちらの心を煽ってきているだろう。
「ならいいな?」
「え?」
「オレが男だったらいいんだな? なら問題ないだろ」
「え、それってどういう……」
意味ですか? とは最後まで言えない瑠璃子だった。
急に渚が首だけをぐるりと動かして、彼方を見つめたからだ。
その異様な雰囲気に瑠璃子は押し黙らざるを得なかった。
そうして急に動き出す。
あろうことか先ほどと同じように、瑠璃子の手を取りまた壁に押し付けたのだった。
「キャッ!! ナ、ナギさん何するんですか!?」
またからかわれると思ったのか、瑠璃子は拒絶するように暴れる始める。
だが、そんな瑠璃子を大人しくさせる迫力で渚が言うのだった。
「シッ黙れ! いいかよく聞け。って暴れんなよ! いいから聞けって!! 今、オレ達つけられてるぞ」
最初は暴れていた瑠璃子だったが、渚にそんなことを言われて目をパチクリするのだった。
明らかに脳まで伝達されていない様子だ。
「……はいぃ? つけられてる、ってどういう意味ですか?」
いきなりそんな事を言われても理解が追いつかないのだ。
だが、それも次の言葉で理解させる。
「だから、つけられてんだよ! 変質者、異常者、ストーカー。とにかく、ろくな奴じゃねぇのは保証する」
そんな保証をされても困るが、ここは繁華街にほど近い、静かな夜道である。
美少女が二人歩いていれば狙われるのは当然の成り行きだった。




