第二話 第一夜 2
ウゥー
ウゥー
近所の人が連絡したのだろう、消防車が駆けつけ、すぐに野次馬の整理を始め、すぐに消火活動を始めた。
下がって下さい。そこっ、下がって、危ない。そこ、近づかないでっ。
圧上げろっ。2番ホース、放水開始。
何よりも三人とも無事だったのが良かった。消火活動の声を後ろに三人は少しだけ落ち着いた。
「こうしてみると」
じっと二人を見ていた山川が、真面目な顔で言った。
「二人とも手をつないで、親子みたいですね」
身長差だけ見れば、親と娘に見えなくもない。
でも、親子な訳ないじゃない。子供扱いしないで。
優乃はちょっぴり怒った。
「おい、山ぁ」
安がそれはないだろうと、声を上げた。
「どうせなら、兄妹ぐらいにしてくれよ」
!
優乃はびっくりした。親子もイヤだけど、兄妹ってのもないわ。。お兄さんにするなら、山川さんだって悪くないって思ってるのに。
「あ、そっちの方が良かったですか」
「そりゃ、どうせならな」
二人は顔を見合わせて笑った。
もうっ。
「からかわないで下さいっ」
優乃は顔をちょっぴり赤くして、安に握られてない方の手で、二人を叩く仕草をした。
バサッ
あっ、これ。
手元を見ると、あわてて持ってきたのは今日二人からもらった花束だった。
「ごめん、優乃ちゃん。からかったりして」
山川が謝った。
そんな、急に謝られても。
「俺も、ごめんね。でも花束を持ってきてくれたんだ。ありがとう」
安も頭を下げた。
困る、困る。そんなつもりじゃないし。
「私、別に怒ってませんから。これは夢中だったから。自分でも何持ってきたのか気付かなくて。こちらこそごめんなさい。二人がくれた花束でぶったりして」
花束で二人を叩いた訳ではないのだが、なりゆきで優乃は謝った。
やだ、どうしてこれ、持ってきたんだろ。芝居の本とか、教科書とかもっと大事な物あったのに。近くにあったからかな。でも近くっ言ったら、枕じゃない。違うって、近くっていったら枕よりも布団よ。布団持ってこればよかった。うぅん、布団持ってくるぐらいなら、段ボールよ。段ボールの一箱でも持ってくるんだった。
優乃がまたよく分からない事を考えている間に消火活動は、ほぼすんだようだった。
三人が振り返ると、火はもう消し止められていて、白い煙だけが、で愛の荘の一角から出ているだけだった。幸いにも火事は、で愛の荘の一角を焼いただけですみ、他への移し火もなかった。




