閑話:「感の良いガキは嫌いだね」
少しさかのぼり。
ここは――異世界。
アレフ大陸の東の王国「チロオ」、首都マト。
3人の冒険者が、カフェテリアのテーブルを囲んでいた。
「サクッとみんなレベル15だな!」
パパーンが笑うと、ディードとクレリが顔を見合わせた。
「あー。戻ってきてからの翌日、今までてこずってたモンスター相手に無双だったからな」
ディードは誇らしげ。
「でもさ、そのまた翌日にはレベル上がった分しかステータス増えてなくて普通に戻ってたけどな」
クレリがぼそりと返す。
「それなー。バフの切れ、早すぎだろ」
3人は同時にため息をついた。
彼らは数日前、謎の“バグ”で「ギンザのバー」とかいう場所に転移した。
そこでは“ビール”とか“ツマミ”とかいう不思議な食べ物を口にし――
結果、チート並みのバフがかかっていたのだ。
「もう一度行きたいんだよなぁ。あの泡立つ黄金の液体……」
「ビールってやつだっけ?」
「うん、あれ飲むだけで俺TUEEEE状態だもんな」
3人の視線が、ディードの手元に集まる。
そこには、例の転移魔道具。
「でも、前回のはテスト用だろ? 修復してねぇじゃん」
「試してみる価値はある」
「やめとけ、またバグって上半身だけ転移するぞ」
……しかし。
「いくぞ!」
パパーンが強引に魔道具を起動。
地面に魔法陣が展開し、淡い光が足元を包む。
――その瞬間、
どこからか
3人の脳に直接
>
『感が良すぎるガキは、嫌いだね。』
3人「!?!?」
次の瞬間、魔法陣はブツンと音を立てて消えた。
風が吹き抜け、何事もなかったかのように静寂が戻る。
「バグのバグだな」
「いや、あれは警告だ」
「ていうか、またあのバー行きたかった……」
3人はしばらく空を見上げたあと、
結局そのままギルドへクエスト求め行った。
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一方そのころ――
ギンザのバー「葦原」では、キラキラ女子2人組がミャウリに占ってもらっていた。
恋愛運、ファッション運、行動力。
すべてに小さなバフが乗る。
神々しいエフェクトがふわりと二人を包み、
鏡の前の自分たちを見て、思わず顔を見合わせる。
「……いけそう♡」
「今夜は勝てる気がする♡」
彼女たちは颯爽と夜の街へと消えていった。
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ミャウリはカウンター越しに、
ゆらゆらと尻尾を揺らしながら呟いた。
「ふふ、感の良い素直な女子は、好きにゃ♡」




