スライム
草原を歩く魔術師と、剣士がいる。
「おっと、こんな所でスライムとエンカウントだ」
歩いていた足を止め魔術師の青年が地面を指差し言う、青年の指の先には、透明なのか水色なのか分からない色をした液体の中に水色の宝石のようなものが入った不定形な粘度の高い液体がある。
「こんな所って、町からも結構離れてるし魔物と当たってもおかしくはないだろ」
黒髪黒目の身長175程の剣士の青年がそう言うと、黒髪黒目の身長160程の自分よりも大きな杖を持った魔術師の青年が不貞腐れたように言う。
「そうですけど、少しぐらい乗ってくれてもいいと思うんです、グラディウスは意地悪です」
「はいはい、そうです、ね!」
そう言いながらグラディウスは腰に下げているファルシオンを抜き、一閃、その一閃でスライムの中にある宝石のような物を真っ二つにする
グラディウスは剣に少しついたスライムをはらい鞘に戻すと、腰にあるバックから瓶を取り出しスライムを入れ始める。
「スライムはひどいです」
スライムを瓶に詰めているグラディウスに魔術師は言う。
「一応聞いてやる、何でだ?」
「ひどい言い草! ま、まあ、話してあげましょう」
そう言うと魔術師は、コホンとわざとらしく咳ばらいをする。
「冒険者の収入って、大きく分けると二つじゃないですか」
「ああ、素材と魔石だな」
「そうです、でもスライムを倒すには、スライムの中にある魔石を砕かなくてはなりません、そして魔石は少しでも欠けると魔石の保有魔力が大幅に減って売れなくなります、つまり、スライムは冒険者の稼ぎを半減させています!」
「なるほどなー、でもスライムは美容液になるとかで高く売れるから稼ぎは減ってないんじゃないか?」
そう言いながらグラディウスは瓶に入れ終わったスライムをカバンに入れる。
「それはそうですけど~、やっぱりスライムよりもグラディウスの方が意地悪です」
「はいはい」
そう言うと二人は歩きだした。