全て教えてさしあげましたわ。
最終話になります。ちょっと長めです…
「未来の国王陛下__」
「おっ、叔父上っ!?」
「王弟殿下っ!?」
そんな順番に驚かれなくてもいいですわ。余計に煩いし。こちらの方はライアン王弟殿下ですの。もちろんちゃぁんと招待状をお送り致しましたわ。
叔父、と呼ばれるには若くて、まだ25歳。若くして病弱な国王陛下に代わって政治をなさっております。
国王陛下の父である先代が早くに亡くなられ、第一王子であった今の国王陛下が即位されたのですが、病弱すぎてその座をライアン様に譲ることを決められましたの。そしてそれが決まった時にわたくし__
「叔父上っ!リエラがもう王族とはどういうことなのだっ!」
大事な時に邪魔しないでほしいわね。
「そっ、そうです!リエラ様は私に酷いいじめを_」
「ギャンギャン鳴くな、愚物が」
「ぐっ、愚物…っ!?」
あらあら、彼の目の前でわたくしを侮辱なさるなんて、なんて命知らずなの?
「たかが男爵令嬢如きが私のリエラを貶めるなど、冗談もほどほどにしてくれ」
「私の、リエラ…?」
わたくしの婚約者様がきょとんとなさっているわ。
あら?もう["元"婚約者]でしたわね。
「そうだ。リエラは私の妃となり、この国の国母となる者。そんな女性をお前たちはくだらん茶番で侮辱し、罵り、貶めようとした。もちろん許されることではない」
「でっ、ですがリエラは私の婚約者ではっ」
「安心しろ。お前みたいな恥の塊との婚約など、随分前に解消している。もっとも、お前には伝えていないがな」
「そっ、そんな、まさか!?」
そのまさかですの。ライアン様の王位継承が決まった時、わたくし熱烈に求婚されまして。最初はレオンバート様との婚約を理由に断っていたのですけれど、レオンバート様の除籍が決まった瞬間、折れましたわ。
「そう、そのまさかだ。分かったらその煩い口を閉じろ。阿呆が鳴いているのをいつまでも聞いていたくないわ」
あらあら、だいぶお怒りのライアン様ですわね。
ここで私からもう一つお伝えするとしましょう。
「レオンバート様」
「なっ、なんだ?」
「先ほど牢獄行きだとお伝えいたしましたが、その理由がまだでしたわね」
「そ、そんなの王族である私が行くわけなかろう!」
「いいえ、貴方は王族からの除籍が決まっており、ただの平民となりますわ」
「はっ?」
「そちらのシェリル嬢ですが、パーンス家は違法な薬物の売買と、禁止されているはずの奴隷の所持が判明し、一家もろとも牢獄行きですわ。もちろんその血族も同じく」
「そ、そんな…!」
シェリルさん、さっきよりも真っ青ね。青リンゴよりも青リンゴよ。
レオンバート様はまだギリギリ生気があるかしら。
「それからレオンバート様。貴方はこれまでの横暴で自己中心的な行動、言動、身勝手な権力の乱用などが報告であがっており、調査の結果それらが認められましたので、王位継承権の剥奪と、王族の籍からの除外が決まっておりますの」
「なっ、私はそんなことっ」
「いい加減認めろ。レオンバートよ。お前の父上であり私の兄上でもある国王がお前を見放した。もう耐えられないとのことだ。国外追放にならなかっただけマシだな」
牢獄行きの方が辛い気がしますが…まぁ、そこは置いておいて。
「私はライアン様との婚約をすでに結んでおりまして、来月にはもう式を控えておりますの」
「と、いうことだ」
そういってライアン様が私の肩に手を置いてきますわ。大きくて温かいこの手が、わたくし大好きですの。レオンバート様よりも凛々しいお顔立ちは、うっかりすると涎が出そうになるくらい好みでして。
「衛兵さん達、このお二人をお連れしてあげて」
すぐさま彼らは拘束されて連行されましたわ。
まったく、ポンコツのせいで私のパーティーが台無しよ。最後の最後まで迷惑かけられっぱなしですわ。
そろそろパーティーを再開しなければなりませんね。
「皆様!お見苦しいところをお見せいたしましたこと、お詫び申し上げます。さぁさ、パーティーを楽しんでくださいませ!」
会場の雰囲気が元に戻ったところで、ライアン様が何やら小さな箱を取り出しましたわ。
おまけに膝なんてついてしまって。
「リエラ」
「はい」
「…こちらの愚物が大変失礼した」
もうあの人愚物に改名する方が良さそうね。
「ライアン様のせいではございませんわ」
にっこり笑ってお返事すれば、ライアン様の頬が少し赤らみましたの。
「改めてにはなるが、私の求婚を受け入れてくれてありがとう。王としても、君の夫としても、必ず相応しい男になると誓おう。これからは、私と人生を歩んでほしい。…私の妃となってくれるか?」
小箱を開けると、ルビーの輝く指輪が姿を見せましたわ。返事なんて、分かっていらっしゃるくせに。
「もちろんです。ライアン様。不束者ですが、よろしくお願いいたします」
ライアン様は嬉しそうな、でも少し泣き出しそうなお顔をされていらっしゃいます。きっと私も同じ顔をしているのね。
優しく手を取られ、丁寧に指輪を左手の薬指へと嵌められれば、それはもう嬉しくて嬉しくて。
気付けば彼の腕の中ですわ。
「愛してる。リエラ」
「…誰かに見られてしまいますわよ?」
「別にいいだろう。私のものだと知らしめるチャンスだ」
「ふふふ」
「で、君はどうなんだ?」
「わたくしだって、愛していますわよ」
「必ず、幸せにしてみせる」
「楽しみにしていますわ」
「釣れないなぁ、君は」
「気は強い方でして」
見つめ合えばどちらかともなく笑みが溢れて。
これからの二人に想いを馳せながら、ずっとこの幸せに浸っていたいと、心から願いましたの。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
ちなみにライアンは、仕事をしないレオンバートの代わりに働くリエラを見かけて一目惚れしました。
一緒に仕事をする時もあり、二人は仲を深めていました。ライアンはレオンバートとリエラの婚約を解消するためにレオンバートの悪行をかき集め国王に頼み込み、解消を認められた瞬間にリエラに求婚しました。
リエラは密かに慕っていたライアンからの求婚に、宮殿では侯爵令嬢としての面子を守り断りましたが、帰ってから嬉しさに大発狂して家の者全員が腰を抜かしたそうです。




