涙色の月を探して
武頼庵様主催「恋の詩企画」参加作品です。
ひとつふたつ鐘の音響く
あなたとあの子を祝福する
チャペルに響く幸せの音
私はひとり遠くで眺める
フラワーシャワーの溢れる笑顔に
私の頬に溢るる涙
どうしてこうなったんだろう
どうすれば良かったんだろう
答えのない答えを
私はずっと探してる
出会いはなんてことない
入った会社であなたは先輩
私が後輩
ただそれだけ
ホントに最初はそれだけだった
だけどいつからかな
気付けばあなたを目で追う私
だけど
ただ何もせず動けずにいた
そんなあなたからの好きですの言葉
私はぼんやり頷いたのかな
喜ぶあなた
泣き出す私
慌てるあなた
謝る私
そして、笑い合う2人
笑うとくしゃっとなる顔も
美味しいねと笑うあなたも
すねて口を尖らせるとこも
映画で泣いたり寝ちゃったりなとこも
優しい言葉で月が綺麗だと言ってのけるところも
そんなぜんぶが愛しくて
そんなぜんぶを抱きしめて
そんな私のもとを
あなたは去っていった
ありがとうなんて言って
笑顔で
私もそれにありがとうなんて返して
無理やりな笑顔で
好きって言ってほしかったのに
月が綺麗だと言いながら抱きしめてほしかったのに
遠ざかるあなたを追うこともせずに
遠ざかる私を追いかけてくれることもなくて
あなたの隣には輝くような笑顔の幸せそうなかわいい花嫁
私を式に招待したことは褒めてあげる
行けるわけないのに
そこにいたかった私なのに
そこにいたことも出来た私のはずなのに
もう届かない手を私は必死に伸ばす
誰も見てなんていないのに
もう手遅れと知りながら
時よ戻れと私は祈る
いまは見えない涙色の月を探して
月のしずくに祈りを捧げる
私はあなたに届かない声を謳う
月が、綺麗ですねと