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ずっと一緒にいるために

 レイナに諭されて、アカリもヒナタの隣、布団に入って眠りにつく。すぐにウトウトとしはじめて、眠ってしまったアカリ。ヒナタと一緒に聞こえる二人の寝息にレイナがクスッと笑う

「アカリ、ヒナタ……」

 二人の名前を呟きなながら、二人の頭を交互に撫でていると、ヒナタの側に本が置かれていることに気づいたレイナ。ヒナタを起こさないように、そっと本を取ると本を開くことなく、ただじっと本を見つめていると、静かにコンコンと扉を叩く音が聞こえてきた



「レイナ様。外出の用意が出来ましたが、いかがなさいますか?」

 アカリとヒナタが寝ていることに気づいた家政婦が起こさないように、小声でレイナに話しかけた

「……そうね。アカリも今眠ったところだし……。時間もまだあるから、もう少し待ってね」

「わかりました。では、私達はお庭の掃除をして参りますので……」

「ええ、お願いね」 

 二人を見つめたまま、振り向くことなく返事をすると、家政婦が、お辞儀をして、そっと音をたてないように部屋の扉を開けた。パタンと扉が閉まる音が聞こえると、ふぅ。とため息をついたレイナ

「ヒナタの新しい本……。前よりももっと……」

 ぎゅっと震える手でヒナタの本を見つめていると、隣で立っているレイナの気配に気づいたのか、ヒナタがうっすらと目を開け、ゆっくりと体を起こしはじめた

「……お母様ですか?」

 目を擦りながらレイナに声をかけたヒナタ。険しい表情をしていたレイナ。慌ててニコッと笑い、ヒナタの方に振り向いた

「あらあら、怖い夢でも見たの?」

「アカリは?」

「隣で寝てるわよ」

 そう言われて、振り向くとぐっすりと寝ているアカリを見てすぐ、勢いつけてレイナに抱きしめた

「お母様はどこにも行かないよね」

 顔を見ることなく、声を震わせて話すヒナタに、レイナが優しく抱きしめ返す

「どうして、そんなこと言うの?」

「お父様は……」

 と、ヒナタが何か言おうとした時、寝ていたアカリが寝返りをうって、ヒナタが隣に居ないことに気づいて、慌ててキョロキョロと辺りを見渡すと、すぐ側でレイナを抱きしめているヒナタに気づいて、慌てふためき思わず叫んだ

「ヒナタだけズルい!」

 と、叫ぶなりヒナタとレイナの元へと駆け寄り、二人をぎゅっと強く抱きしめたアカリ。レイナとの時間が終わって寂しさからレイナを抱きしめているヒナタの力が更に強くなっていく


「ちょっと、二人とも苦しいわ」

 力比べをするようにレイナをお互いどんどん強くなっていくアカリとヒナタ。身動きが取れなくなって、少し困ったように二人に話しかけるレイナ。だが、その表情はどこか嬉しそうに二人を見つめている

「離さないもん。ねっ、アカリ」

「うん。お母様もヒナタもずっと一緒。離さないし、離れないもんね」

 三人、楽しそうに抱き合っていると、コンコンと扉を叩く音が聞こえて、まだ二人が寝ていると思っている家政婦達がそーっと扉を開けると、ベッドの側でレイナを囲んで、はしゃいでいるアカリとヒナタを見つけてクスッと笑う。家政婦達が来たことに気づいたレイナが、二人をほんの少し落ちつかせると、今度はレイナから二人をぎゅっと抱きしめた

「それじゃあ、二人が元気になったみたいだし、お出掛けに行きましょうか」

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