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光と影のシンフォニア  作者: シャオえる


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二人の為なら構わない

「うたを唄うのですか?」

 クロスからの突然のお願いにアカリが戸惑っている側では、ヒナタがグッと歯を食い縛って顔を背けていた

「そうだよ。いつもの素敵なうたをここで聞かせておくれ」

「でも、どうして?」

「アカリとヒナタのうたには、不思議な力があるからだよ」

 そう言いながらヒナタの方に振り向いたクロス。視線を感じて顔を少し上げると、いつもの優しい笑顔でヒナタとアカリを見ていた


「ヒナタはもう分かるだろう」

「お父様の言いたいことは分かります……だから私は嫌です……唄いたくなんか」

「そうか。残念だ。二人のその本とは、さよならになっちゃうけれど……」

 ヒナタとクロスの会話に、一人理解できていないアカリが二人の顔を交互に見て、うろたえている

「その本って……。フタバとさよならするの?」

 側で浮かんでいるフタバに目を向け手を伸ばした。その伸ばした手が触れそうな距離になって、慌ててアカリから離れてくフタバ。触れられず、しょんぼりとして、うつ向くアカリを見て、クロスが少し困ったように、ふぅ。とため息ついた



「そうだよ。アカリとヒナタが唄わなければ、その本は、ここにあった本達と同じように消えてしまうんだよ」

「どうして……私、フタバとさよならしたくない。せっかく仲良くなれたのに……」

「そうだね。だから、早く……」

 そう言うと、そっとアカリとヒナタに向けて手を差し出したクロス。それを見たヒナタが突然立ち上がりクロスから離れて叫んだ

「私は嫌です。イチカと離れたくないけど、アカリとも別れたくない!」

 ヒナタのその声にイチカが背中に隠れて、震えている。同じくアカリもその叫びに、また戸惑いうろたえている


「ヒナタ、なに言ってるの?」

「大丈夫。二人のうたがあればきっと……」

「そう大丈夫よ。ヒナタ」

 クロスの話を遮り、ヒナタの背中からそっと抱きしめたレイナ。耳元から聞こえてくる優しい声と温もりに、少し後ろを振り向いた

「お母様……」

 少し震えた声のヒナタに呼ばれ、抱きしめていたヒナタの体をぎゅっと寄せて、そっと頭を撫でてまた耳元で優しい声で話しかけた

「そんなに怖がらないで。私も一緒に唄うのだから、二人は悲しい想いなんてさせないわ」

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