隠された真実 ~湯煙の向こう側~
******* 下ネタ注意 *******
すみません、思いつきで書いた、非常にお下品なネタでございます。
下ネタ嫌いな方は左上の←矢印で戻ってください。
お綺麗な言葉で書いてますが、最終的にお下品です。
書いてて、自身の心も抉ってしまった残酷な作品です。
知っているようで人は世の中の普通を知らない。
また、知らないほうが幸せなこともある。
しかし、思わぬきっかけで知ってしまうこともあるのだ。
それを悲劇というのか、喜劇というのか。
豪奢な城の一室で第一王太子と王太子妃に関する大事な話し合いの場が設けられた。
王と王妃、そして宰相と王城の全てのメイドを統括するメイド長、王太子妃付きの侍女、そして王族専属の医師が渋い顔をして、一つのテーブルを囲んでいた。
つい先日、第一王太子は幼き頃より婚約していた公爵令嬢とめでたく結婚の議が行われた。
美男美女の二人は婚約する前からの幼馴染で、王命とはいえ二人でしっかりと愛を育み二人でいずれ国を支えるためにと清く正しく、己に厳しく、人にやさしくと頑張ってきていた。
それは周りも知るところで、非の打ち所がない二人に憧れこそ抱くものの、表だって妬むようなものはいなかった。
そんな理想の王太子と王太子妃は将来は王と王妃になるだろうと誰もが思っていた。
公爵令嬢は幼き頃、婚約が決まってからというもの乳母であった侍女と二人で王城に住み、日々厳しい王妃教育を受けてきていた。
朝、起きてから、夜、ベッドの中に入るまで、常に侍女と王室付きの護衛、王妃から派遣された様々な教育係やベテランのメイドに囲まれ、夢の中以外、一人で過ごす事さえ許されなかった。
そんな厳しい日々も、王太子の支えもあり、乗り越えて先日の結婚式となったのだ。
また王太子も文武両道と切磋琢磨し、学業も剣術も学園トップであり、王に代わっての外交も5人いる王太子の中で最も積極的に行い、隣国の王族や貴族からの覚えもめでたい。
国内の貴族にもよく気を配るので第一王太子派は各ある派閥の中でも最も高位貴族の人数が多かった。
そして身分の高さに関係なく、男爵や騎士達、はては国民にも気遣いがあると下の者からも人気が高かった。
では兄弟の間はというと、王子たちはそれなりにライバル視はすることもあったが、第一王太子の秀でたところに一目置き、そう仲は悪くはなかった。
そんな全てが順風満帆に見えた二人に先日から、とある問題が出てきたのだ。
あり得ないことだが、王太子妃の不実問題である。
「いったい、どういうことなのだ? ありえないことがあるとは、このことではないのか?」
重苦しい空気の中、王が言った言葉に皆、頭を抱えていた。
「しかし、王太子妃様には常に5人もの侍女やメイドなどの女性と6人もの護衛の騎士がおりました。
寝室の周りでも騎士団から精鋭の影がおりました。
まさか、全ての影さえも欺いて寝室にはいるなどとても考えられないのですが。」
そう答えたのは王太子妃の侍女。幼き頃より、常に彼女のために影となり、時に表に立って彼女を守ってきた。
だからこそ、今のこの場が信じられないのであった。
「陛下、私からも申し上げます。
王太子妃さまはどのような場でもお一人でおられませんでした。
例え、花摘みの時でさえ、メイドを必ず共させるほどです。」
キリリと結い上げた髪のメイド長も信じられないという体で答える。
「私からも同じです。
全ての影が王太子妃さまはお一人で誰かとお会いになるようなことはこの十数年をもってありませんでしたと証言しております。
陛下もご存知の通り、影は常に5人組で王太子と王太子妃を見守っておりました。
寝る時もでございます。なので、よもやはあり得ないと断言いたします。」
屈強な肉体をその服の下に隠した王族専用の騎士団長は眉根を寄せて苦しげな顔をしていた。
しばらくの間、沈黙が続いた。
それを破ったのは王妃であった。
「こうなってはあの者たちに話をしてもらったほうがいいのではないか?
ヘムレット医師よ・・・」
「そうでございますね。最後の手段とは思いますが、彼女たちなら何か、わかるのではないかと。」
そう答えたのはずっと沈黙を貫いていた医師であった。
王妃と医師の言葉に皆、驚愕した。
自分たちの知らない何かがあるのだというのか?
そしてなぜ、王妃と医師だけしかそれを知らないのか。
多くの疑問が頭に浮かんできた。
怒りと焦りの表情の王が叫んだ。
「彼女たちだと? 誰だ?
その者たちは何か知っておるのか?
ええい、ともかく、ヘムレット!
すぐにその者たちを呼んでこい!」
医師はすぐに立ち上がり、小走りに部屋を出ていった。
ほどなく、パタパタと何人かが部屋の扉の前まで小走りにやってくる音がした。
「医師、ヘムレット、湯係10名、入室いたします。」
部屋へ入ってきたのは、ヘムレットと彼によく似た女性が二人、そして王がよく見る湯係の女性数人だった。
「これはどういうことだ? なぜ、湯係などがここに来る?」
王は不満げにそう聞いた。
「陛下、これには今まで隠されてきた湯係の真実を知っていただかねばなりません。
王妃様、よろしいのですか?」
ヘムレットと女性たちは頭を下げたまま、王妃からの返答を待った。
少し間をおいて王妃が口を開く。
「いたし方ありません。 王妃と医師のみが知る湯係の真実です。
この場で聞いたことを他言してはなりませぬ。
もし、この場の話がほんの少しでも外へ漏れたときは、たとえ誰であっても病死せねばなりませぬ。」
そう言って、王妃は一つ大きなため息をついた。
「もし、自信がなければ、この場を退席しなさい。許します。」
王以外の全てに確認をするように顔を見た。
病死・・・ それはこの国では合法的な王命の処刑である。
そこまでの秘密なのかと、皆が息をのんだが、誰もが沈黙を守ることを誓った。
王妃はそれを受け取り、話し始めた。
「この国では医師によって王族、貴族の健康が守られているのは皆さまのご承知の通りでしょう。
しかし、真の健康は湯係によって、守られているのです。」
「な、なんと?本当か、妃よ。
ただ、王族や貴族の湯あみの世話をするだけのものではないというのか?」
その事実に王は驚き、声を上げた。
「はい、王族であれ、貴族であれ、素肌を誰かに見せることなどありませんよね?
王族も高位の貴族も裸を他のものに見せるということは絶対にありえません。
男同士、女同士であっても・・・
肌を見せないこと、それが高貴なるものの嗜みですから。」
王妃が問うかの如く見回すと誰もが黙って頷いた。
「医師であっても診察の時、裸になれということはありません。
しかし、病気の兆候というのは全身をくまなく観察しなければ、わからないのです。
医師から裸になれといって、全身を診られたり、触られたりするのは男性でも臆することではありませんか?
しかし、湯あみをするときには誰でも迷うことなく、裸になりますよね。
だからこそ何の躊躇もなく、肌に触れ、全身を診ることができるのは湯係だけなのです。」
そこまでを一気に話して王妃がふぅっと大きな息をついた。
「王妃様、続きは私が説明いたしましょう。
実は王族の湯係とは全て高位貴族医師の娘です。」
おぉ!と感嘆の声が上がる。
今まで湯係とは末端貴族の娘が行う、いわば汚れ仕事と思われていたのだ。
家の名を名乗ることなく、湯係は湯係以外の仕事に就くことがない。
それに風呂場では濡れてしまうため、化粧もできず、濡れる前提の制服も質素で簡単なものだ。
それゆえ、メイドの中には湯係なんてなるくらいなら、辞めてもいいというものがいるくらいなのだ。
それが実は高位貴族医師の娘とはどういうことなのだろうか?
「高位貴族医師に娘が生まれると長女以外は秘されます。
同じ高位貴族医師同士と王妃にだけ知らせが入ります。
そして同じ年頃の娘がいれば、連絡を取り合います。
5歳から10歳までのあいだはその女子だけで勉強をし、11歳になるとき、かの医療大国、イーダイへ 密かに留学するのです。」
医療大国イーダイ、医療の最高峰といわれる機関を持ち、高い水準の医療を行っている。
そして敬虔なるリリア教の教えに従い、博愛の精神からよその国からの留学生を受け入れている。
そのため、身分を偽って留学する彼女たちも医学を学ぶことができるのだ。
「留学に当たっては代々、王妃様が密かに手配をしてくださいます。
この留学のことを知るのは極々一部の特別な影のみです。
なので今お集りの皆様はご存じなかったのです。」
「なぜにそのように秘匿せねばならぬのか?」
黙って聞いていた宰相が疑問を投げかけた。
「もし、王族の皆様や高位貴族の皆様は湯係が毎日、あなた様の身体を触ることで何かをチェックしているとわかったら、身構えませんか?」
「なるほど・・・確かに。
しかし、下位貴族であっても湯係はおる。
それは違うものなのか?同じなのか?」
「下位貴族の湯係も似たようなものですが、留学はいたしません。
しかし、優秀な下位貴族の医師の娘であり、留学した高位貴族の湯係から厳しく教えられ、認められたものだけがなっております。
もちろん、彼女たちも秘匿されております。」
「なるほど。程度の差はあれ、貴族であり、医学の心得があるものが湯係になるのか。」
ヘンリットとのやり取りで納得した宰相は感嘆の溜息をはき、深く椅子に座りなおた。
「だからなのですね。長年の謎が解けました。」
そう話しだしたのはメイド長であった。
彼女は中堅の貴族の出であったが、父を早くに亡くし、家のためにと王宮勤めを始めた。
前王妃の目に留まり、ずっと王族付きのメイドを任され、15年前にメイド長として王宮の全てを任されていたのだ。
ただ、一点を除いて。
「私は14の頃から王宮におりますので、王宮で働く女性たちのほぼ全てを知っております。
しかし、ずっと湯係だけはどうやって選ばれるのか、わかりませんでした。
いつの間にか、湯係はそこにいます。謎だったのです。
でも、今、やっとその理由が分かった気がいたします。」
彼女もまた大きなため息をついた。
王は何も言わない。いや、言えなかったのだ。
湯係は毎日、王の体を洗い、手入れを施す。
時に肩こりや腰の痛みにも対応したマッサージをしてくれていた。
それが医療行為につながるものとは露ほども考えていなかったから。
実は王は湯あみの時に
『今日の湯係は美人じゃ、なんとなく嬉しいのう。』だの
『今日の湯係はマッサージ上手だのう。たまらん』だの
『今日の湯係はびっしょり濡れて、色っぽいのう。手を付ける気はないが、眼福じゃの』
なんてことを思ってたりしたのだから、心の中で『しまったーーー!』と青くなっていたのだ。
「さて、本題に入りましょう。
湯係はこういった事情で王太子様や王太子妃様の身体についてもよく知っているのです。
何か、思い当たることが無いかと思い、王妃様がお呼びになられた次第です。
お前たち、今回の件は知っておるだろう?」
医師のヘンリットによく似た女性が進み出た。
「王様、王妃様にご挨拶申し上げます。
ヘンリットが妹、ミラージェと申します。
この度の件、私たち湯係においての意見を述べさせていただきます。」
湯係の制服ではなく、清楚なワンピースドレスで綺麗なカーテシーで挨拶をする。
「そうか、ヘンリットの妹なのか、どうりでよく似ていると。
そなたも秘匿された娘なのか。申し訳ない。」
王はミラージェに労いの言葉をかけた。
「有難きお言葉。
医師の家に生まれたものは、皆、その運命を理解しております。
影ながら、国のために仕えられるのですから、光栄でございます。」
「わしらの方こそ、感謝しておる。
ところで、心当たりがあれば、忌憚なく、全て話してほしい。」
ミラージェは王の言葉に一度、しっかりと目を瞑って、何か決心したように深呼吸をした。
「はい。この度の件、私共、湯係はこうなることをわかっておりました。」
ミラージェの言葉に王をはじめ、そこにいる湯係と王妃以外のもの全てに動揺が走った。
「王妃様、お話ししてよろしいのでしょうか?」
ミラージェが王妃に伺った。
王妃は何も言わずに頷いた。
「まず、今回、王太子様と王太子妃様の初夜の件でございますが、王太子妃さまは紛れもなく乙女でございます。
これは紛れもない事実でございます。」
ミラージェの言葉に、皆が驚いた。
王妃だけはため息をついていた。
「今回、初夜が行われていないのではとも思われたようでございますが、実は湯係は閨の確認係でもございます。
こちらもしっかりと確認済みでございます。
つつがなく初夜が行われたかどうかを確認し、無事、ご懐妊するように導くのも湯係の使命でございます。
よって、閨の確認は影よりも慎重に確実に入ったかどうかまで確認いたしております。」
ミラージェの言葉に皆が、エッ?!!という顔をする。
実は王妃もこの件は初耳だったらしく、激しく動揺していた。
湯係の女性以外が唖然としている中、ミラージェは続けた。
「この度の初夜も確実につつがなく、行われております。
しかし、なぜ、破瓜しなかったのか。
それにつきましては、私だけでなく、妹のリランジェと共に説明してまいります。」
「王様、王妃様にご挨拶申し上げます。
ヘンリットとミラージェが妹、リランジェと申します。
この度の件、説明させていただきます。」
ミラージェと色違いの清楚なワンピースドレスでこれまた綺麗なカーテシーで挨拶がなされた。
「閨の教育でご存知の通り、破瓜とは乙女の扉をこじ開けてしまうことです。
しかし、乙女の扉とは聖なる通り道があるため、完全に閉じられているわけではないということもご存知かと思います。」
年頃になれば貴族であればこの程度の性教育は必ず受ける。
皆、うんうんとうなずいていた。
「そしてそれがどういうことかと言うと・・・」
どこからともなくリランジェが数個のドーナツが載った皿を取り出した。
そして一個のドーナツを手に取った。
「乙女の扉はこのようなものだとお考え下さい。」
「そして、殿方の聖なる剣とは、このようなものです。」
今度はミラージェがどこからともなく、野菜の入ったバスケットを取り出した。
「そもそも破瓜とはこの聖なる剣が、乙女の扉に無理やり通ろうとするためにおきるものです。
このように・・・」
ミラージェはキュウリを手に取り、リランジェの持つドーナツの穴に突き刺した。
当然の如く、ドーナツは割れる。
皆、それを見て、顔を赤くしていたが、湯係の女たちは皆、無表情だった。
淡々とミラージェとリランジェは続けていく。
リランジェが新しいドーナツを手に取る。
「今回、王太子妃様はこのドーナツのように乙女でございました。
そして・・・・」
ミラージェを見て、頷くとミラージェはバスケットに手を伸ばす。
「そして、王太子様は・・・ 王太子様はこちらの・・・ アスパラガスでございました。」
ミラージェが言いよどみながら、バスケットから取り出したのは春先の若いアスパラガスであった。
「つまり、この度の初夜は、このドーナツとアスパラで行われましたので、聖なる道をすんなりと通ったのです。」
そう言って、ミラージェがリランジェの持つドーナツの輪にすっとアスパラを通した。
真っ赤な顔の女性陣と真っ青な顔の男性陣の中、湯係たちだけが無表情なまま、沈黙が流れた。
そしてしばらくして、王がその沈黙を破った。
「その、そういうことなのだな・・・
私が王妃と結ばれた時のようにキュウリとドーナツのような訳にはいかなかったということか・・・」
王の言葉に無表情な湯係の中で、年かさの女が前に出てきた。
若いころからずっと、王太子時代から湯係をしている女だった。
「いえ、王様の場合、こちらでした。」
そう言って、女はホワイトマッシュルームを手にした。
そして新しいドーナツを手に取ってマッシュルームを中にねじ込む。
ねじ込む際に少し内側の部分が削れたように崩れ、ドーナツの欠片が落ちた。
「ですので、王妃様の破瓜は少しでした。」
騎士団長が両手で顔を覆っていた。
宰相は天井を見つめている。
メイド長は真っ赤になって下を向き、侍女は茫然としてあんぐりと口を開いていた。
王妃様の顔はアルカイックスマイルが貼り付けられていた。
そして王様は椅子から崩れ落ちるように床に手をつき、項垂れていた。
その後、王太子妃は王太子そっくりの男の子を3人産んだ。
王太子が次の王となるまでの間、何故か、王の食事にマッシュルームを出すことが禁じられていたのはコック長しか知らない話。
どっとはらい。
先日、某お笑い番組を撮り貯めてた分を家で見ておりまして、○○ろっくさんに大笑いして思いつきました。
書いてから、自分自身の心も抉ってしまった感じで、ギャグで書いたのにどこか悲劇になってしまいました。
♪~大きな〇〇をくださいーー~♪。