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夢オチ

 クルルの罠にかかったせいで起きるに起きられず、ペタペタと身体を触り回されてしまう。

 むず痒くこそばゆいような、なんとなく気持ちがいいような妙な感覚。


 シャルは少しずつ遠慮がなくなっていき「ふひひ」と口にして俺の腹に頬擦りまでし始める。


「……えへへ、大好き、大好きです。ランドロスさん」


 薄目を開けて見てみると、俺にへばりつきながら、これでもかとばかりに頰と口元を緩ませていた。


「……シャルってかなりアレだよね」

「ん、何ですか?」

「ムッツリスケベ」

「ち、ちがいますっ! これはその……好きな人と肌同士で触れ合うの、気持ちいいじゃないですか」


 それは言い訳ではなく自白だと思うぞ、シャルさん。


「というか、クルルさんが言えたことではないと思いますけど」

「私はちゃんと、ランドロスとそういうことしたいって言ってるもん。それにね」


 クルルの手が俺の首を撫でる。こそばゆさに軽く息を漏らすがシャルは気づかないでいてくれたようだった。


「私、ランドロスが好きなんだ。初めは無愛想でぶっきらぼうなのに変に優しくて不思議な人だと思ってたんだけどね。弱くて、強くて、弱いから強くて、強いから弱くて。……いつもどこか悲しそうで」

「……分からなくはないですけど、ランドロスさんの一番いいところは頑張り屋さんなところですよ」

「寂しそうな顔で笑うの可愛くない?」

「平気なフリをして頑張るのがかっこいいんです」


 ……クルル、起きてることに気がついているんだから、この恥ずかしすぎる会話はやめてくれ。羞恥で死んでしまう。


 そう願っていると、クルルはクスクスと笑ってから俺の鼻を摘む。


「よく寝てるね。よっぽど疲れてるのかな」


 それから今度はペタペタと脚を触られ、クルルの手が俺のズボンとベルトにかけられる。


「く、クルルさん、それはダメですよ」

「シャルも気にならない?」

「き、気になる気にならないではなく……その、流石に目を覚ましてしまうかもですし……」

「……まぁバレたらシャルが困るもんね」

「それに添い寝してあげる約束なのでちゃんと寝ないとダメですよ。寝ましょう。ほら」

「はーい。夜寝れなくなったらどうしようかなぁ」


 やっと体を触り回されるのが終わり、シャルは俺の腕を抱き枕にしてすーすーと寝息を立て始める。昨日一昨日と心配をかけていたせいだろう。


 反対側のクルルも少し眠たげだ。まぁ……一昨日にバレた交際について、クルルも色々と聞かれたことだろうし、気疲れしていたのだろう。


 やっとゆっくりと休めると思っていると、クルルは眠そうにしながらも俺の脚の間に手を入れてすりすりとなでる。

 ……問題になるところは触っていないが、そこにちかい神経が刺激されるせいで反応してしまいそうになってしまう。


 シャルを起こさないよう、潜めた小声でクルルに話しかける。


「クルル……あまり触るなよ」

「えへへ、もうギルドも公認で結婚出来るんだからいいでしょ」

「いや、結婚するからと言ってな……」

「夫婦なんだからいいんだよ」


 そういうものだろうか……。まぁ俺は父親を見たことがないし、夫婦の関係ならそういうものなのかもしれない。


 いや、だとしてもだな……と考えていると、クルルは俺が困っているのを見て手を引く。

 安心するとそのまま意識が落ちていき、久々の深い睡眠に身を委ねた。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 不意に、廊下で足音が聞こえて目が覚める。空間把握で扉の前を探るとギルドのシャルやクルルと同じくらいの年齢の子供が俺の部屋の前に立っていて、少し立ち惚けた後に去っていく。


「……なんだったんだ? 用があったわけじゃないのか?」


 窓を開けて外を見れば丁度昼時だが、まだまだ眠いので寝直そう。

 嫁以外の足音が聞こえたら目が覚める悪癖は治したいが……まぁ仕方ないか。


 隣にシャルはおらず、物音から隣の部屋の掃除をしていることが分かる。

 少し寂しい気持ちになるが、無理に一緒に寝てもらうのも負担になるか。俺にひっついているクルルに手を伸ばし軽く抱きしめてからまた目を瞑る。


 クルルの体、柔らかくて気持ちがいいな。特に太っていたりはせずむしろ細身なのに妙に柔らかいのは何故なのだろうか。


 愛している少女を抱きながらの睡眠は心地よく、すぐにまた瞼が落ちていく。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「ね、ランドロス。さっきも言ったけど……夫婦だったらあれぐらいの触れ合いは普通だよ?」


 クルルの言葉に目が覚め、彼女の方を見るとベッドの上で膝立ちになっていた。

 彼女は俺と目があったことを確かめると、ワンピース型の寝巻きの裾を親指と人差し指で摘み、ゆっくりと持ち上げて白い脚を俺へと見せる。


「く、クルル……」


 俺の反応を見たクルルはイタズラな笑みを浮かべて、スカートを捲る手を止める。


「……見たい?」


 クルルの脚は白く細い中でも柔らかそうな質感や子供らしいふにふにとしていそうな雰囲気を持っており、そんなものを前にして冷静でいられるはずもなかった。


 ごくり、と恥も外聞も捨てて生唾を飲み込んで頷くと、クルルは俺の性欲を煽るようにスカートを脚の付け根の直前まで持ち上げてから、ゆっくりと下す。


「おしまい。……でも、ランドロスがめくるのは止めないよ?」


 性欲を煽られた俺は、その言葉に我慢出来ずにクルルのスカートを握って…………。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「……ロス? どうかしたの? 私の名前を呼んで」


 目の前に眠たそうな瞼をしたクルルの顔が映った。


「ん……? あれ……?」


 俺が思わず疑問の声をあげると、クルルはクスリと笑う。


「どうしたの? あ、もしかして私の夢を見てた?」

「あ……夢か」


 ……夢か……いや、夢で良かった。うん。せっかく夢なら最後まで見たかったが……。

 寝ぼけ頭を掻いて、クルルの脚の方に目を向ける。


 少し丈の短いスカートから伸びる白い脚。それは夢で見たものよりも一層に魅力的に映った。


「……起きたばかりなのに、ランドロスのえっち」

「…………それ、クルルが言うのか?」


 夢での出来事は別としても、身体を触り回されたのは事実である。

 窓の外を見ると昼を少し回ったころだ。まだまだ眠気は取れていないが、そろそろ起きないと夜寝れなくなるかと思って身体を起こす。


 それから布団を手繰り寄せて自分の腰に掛ける。


「どうしたの?」

「……いや、その……急に目が覚めたからか体が冷えてな。少し落ち着いてからベッドから出る。先に行ってていいぞ」

「せっかくのお休みなんだからランドロスと一緒にいるよ」


 いや、それだと体が落ち着かないんだが……。と思いながら今日の予定を考える。

 ……とりあえず、ヤンに謝るのと、カルアに頼まれていた像作りをするか。

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