アレス訓練に励む
今日も無事更新できました。
次からが面白くなるところです!!
アレスは順調に育っていき、5歳になった
この世界では5歳になった際に、魔力測定を行うことになっている
アレスと同じ5歳児が町の広場に集められ一人一人魔力測定を行う
取り仕切るのは、神殿から派遣される神官である
その神官が町の広場の中央で叫んだ
「おい、平民どもさっさと魔力測定しろよ」
「全く最高神官様もこんなしょうもないところに魔力量が高いやつなんかいたためしがないのに、なんでわざわざ神官を派遣するのかねー」
皆黙ったままだった。それもそうだ神官と言えばエリート中のエリート、英雄たちには及ばないが、それでも国内ナンバー2の権力と実力をそなえているからだ
もし逆らおうものなら片手間で平民なんて死刑にできるのだ
「まぁ一応仕事だしやっていくか」
「さっさとやれ」
ここで子供たちの魔力を図るための水晶を神官はポケットから取り出した
この水晶は触れたものの魔力を正確に測ることができるもので、その値段は1つの豪邸が建てられるほどの金額である
この水晶に触れた瞬間、水晶には数字が浮かび、それが子どもたちの最大魔力量の数値とされている
実際に子どもたちが一人づつ水晶に触れていく、子どもたちは内心自分は例外ではないかと期待して、水晶をさわるも、表示される魔力量は300、700、と最高でも1100程度であった
皆一応にがっかりしていた
「ほらな、どうせごみダメにはごみしかないんだから来る意味ないだろう
来年からは絶対に来ないように最高神官様に言っとかないとな」
最後に測定したのはアレス
「どうせしょうもない数字だからさっさと触ってくれ
もう帰るから」
言われたままアレスが水晶に触れようとすると、水晶に手を近づけるごとに水晶が“カタカタ”震えている
「おいおい、こんな時に水晶の故障か?ふざけんなよ、めんどくせえ
もうそのまま触れろ。替えをもってくるのめんどくせえから」
「本当にいいんですか?」
「さっさとしろ」
アレスは言われるまま水晶に手を伸ばした
そして水晶に手が触れた瞬間“パリンッ”
水晶が粉々に砕けてしまった。こんな事は今まで一度もないことで、神官も驚いていたが水晶の断片には0と書かれているのを神官は見た
「おいおい、うそだろ。水晶が割れるなんて今まで一度もなかったぞ
まぁそれもそうか。だって今まで魔力量が0のやつなんていなかったからな
傑作だなこりゃ。はっはっはっはっは」
「やっぱりごみダメにはごみしかねえな。前代未聞の魔力量0のやつもいたし、どうやったらそんな子供が生まれるんだよ。くっくっく」
「じゃあお前らそのまま平民として俺らのために頑張って働けよな」
といって神官は帰ってしまった
神官は気づいていなかった
水晶に表示された数字が0だけでなく、飛び散った破片にも数字が書かれていたことに
魔力量の測定後、アレスは家に帰った
「母さん、おれ魔力量0だった。ごめんね」
「えっ、そうなの.. ごめんね。もっといい生まれだったらそんな苦労かけずに済んだのに」
「いいんだ。おれ、母さんのこどもでよかったとおもってるから。
これからバカにされないように剣術をみがきまくって、世界で一番の剣豪になる!」
そこに狩猟から父が帰ってきた
「おーう、アレス。魔力量測定はどうだった」
「魔力量が0だったんだ。ごめんね」
「そりゃ珍しいな。 まぁでもいいんじゃないか」
「怒らないの?」
「ん?なんで怒るんだ?魔力量なんて神様が与えるものだから、人間がどうこうできる問題じゃない。それで怒ってもしょうがないだろう」
「ありがとう。父さん
僕がんばって剣術で世界に名をはせるよ!」
「おう!応援するぞ。頑張れアレス」
「うん!」
その日からアレスは一日も休まず、剣を振り続けた。
毎日毎日苦手だった早起きまでして、ランニング30km、素振り1万回、筋トレ2時間、このメニューをひたすら繰り返した
普通の子供であればきっとやめていたであろう。大人でもできないことだ。
それでもアレスは毎日毎日ひたすらに繰り返し、自分を高めていった
それから5年たったある日アレスは異変に気付いた
今まで修業が終わるのが夜だったのにも関わらず、今では夕方に終わっていることに
その日からアレスは余った時間で読書をすることにした
それも毎日10冊読むというものだ
本を買うお金などはなかったため、ランニングのついでに片道10kmの王都に行き、国立の図書館で本を毎日読んでいた
最初は、入館を断られたが何度もお願いしていくうちに、司書が折れてくれたのだ
その日からアレスは毎日、国立図書館に通った
そんな日々をさらに5年続けた
アレスは15歳となり、今年で成人を迎える
成人すれば、王都で騎士団試験を受けることができる
それを目標にアレスは今まで頑張ってきた
しかし、実際に王都に行き、騎士団試験を受けようと受付に行くと
「えっ、騎士団試験を受けたいって?無理だよ。
毎年、騎士団に選ばれるのは貴族だけ、平民は帰って畑でも耕してな」
「なんとか受けることはできませんか?お願いします!」
「無理だって」
「そこをなんとかお願いします!」
「しつこいな。無理なもんは無理なの!さっさと帰りな!」
「いいじゃないか」
そこである男が乱入してきた
体格のいい、ひげを生やした男だった
「騎士団長様!どうしてこんなところに?」
「いや、私の部下となる者たちを選ぶ日に私がいないのでは、面子がたたんだろ」
アレスは驚いた
まさか騎士団長がいるとは思っていなかったからである
とっさにアレスは騎士団長にお願いをした
「騎士団長様、私は平民ですが騎士団の試験を受けたいのです。なんとかお願いできませんか?」
「わかっている。先ほどもいいといったように試験を受けてみるがよい」
「だめです騎士団長様!そんな平民が騎士団の試験を受けることなど前代未聞です」
「貴様、私が決めたことに反対するのか? それは、私への反逆とみなすがいいのか?」
「いえっ、そういうつもりで言ったわけではありません。申し訳ありませんでした」
「ふん、次はないと思え」
「はい!」
「それでは、アレスといったかな。君を騎士団の試験会場に連れていこう」
アレスはどうしても騎士団長様に聞きたいことがあった
「どうして平民である僕を助けてくれたんですか?」
「騎士団は本来強いものがいるべき場所だ。実際に貴族の方が強いやつが多いのは事実だ。
その一方たまに平民でも貴族以上に強いやつもいる。そういうやつがいるかもしてないのに門前払いをしてどうする。私はこの目で見て物事を判断したい」
アレスは衝撃を受けた
今までがそうであったように、貴族は平民を軽視しているとばかり思っていたが、この騎士団長様は違うようだ
「あの、騎士団長様のお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「ああ、そういえば名乗っていなかったな。私の名前はアーサーだ。もし試験をクリアできれば君の上司になる。今日の試験頑張ってくれ」
「はい。ありがとうございます!」
そういってアーサーは立ち去ってしまった
ようやくアレスが、晴れ舞台に立つ日が来たのだ