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第壱話:どうしてこうなった!?

⋯⋯起きるとそこは、大自然の真っ只中だった。


木々が生い茂り、様々な果物が実り、

鳥の鳴き声がこだまして、晴れ渡った空がひたすらに天に広がっていた。

日本でもこんな場所はなかなかないだろう。

そう思わざるを得ない状況だったが、それ以上の衝撃が俺を襲った。


「ここどこだよ!?」


日本のどこなのかではない。第一、俺は屋外にいた覚えはない。夜普通に、布団で寝たはずだった。

しかし今はここにいる。そうじゃなくても五感の全てがこれは現実だと訴えかける。

視覚で壮大な景色を。

嗅覚で草の香りや、風の匂いを。

聴覚で鳥のさえずりや、木々のざわめきを。

触覚で大地に立つ確かな感覚を。

そして味覚で、これは何も感じないが。

とにかくこれは現実なのだ。


俺、平均を下回るぐらいの高校生である兵頭は、見知らぬ皮の服で見知らぬ大地の見知らぬ大自然の中で立ち尽くしていた。


「おいおい⋯⋯これはどうゆうことだよぉ!?」

「ヤバいヤバいヤバい! わけがわかんねえ! 意味もわかんねえ!! この状況がわからねえ!!!」

「よし、取り敢えず落ち着け~」

「スーハースーハー」

「ふー。まずはゲンジョーのカクニンってやつだ。ラノベじゃだいたい決まってる展開だ。」

「確か、夜は⋯⋯」


◤◢◣◥◤◢◣◥◤◢◣◥◤◢◣◥◤◢◣◥

⋯⋯自分の部屋の中、布団の上にて。


「ふあぁ。このスマホゲーム面白すぎだろ。容量でかいけど全然問題ないほどハマるな~。」

眠気で集中が軽く切れて、不意に枕元の時計が目に入る。

「ん? うわっ! もうこんな時間かよ。やべえ、明日実習じゃんか! もう寝ないときついな。」


「とりあえず今日のとこはこれでおしまい。このクエストのクリアは、ここの祠をタップしたら⋯⋯よし! これでクリアだな。」

布団を被って、心地よい感覚の中でたわいもないことを考える。

「はあぁ~。俺もこんな冒険が出来たらな~。」

そんなことはありえない。現実を見ようと思って、今すべきことはやっぱり寝ることだと再認識して目をつぶる。

疲れていたため、すぐに眠気に意識を奪われる。

「スースースースー」

久しぶりにいい夢が見れそうだと思って、すっかり、ゲームをしたい気持ちは諦めた。

「スースースースー」


◤◢◣◥◤◢◣◥◤◢◣◥◤◢◣◥◤◢◣◥

⋯⋯大自然の真っ只中


「特におかしいことはしてないはずだから⋯⋯可能性としては、出来たらな~、って思ったとこか?」

「ってことはゲームん中かよ! ここ!!」

ふとした拍子に思い出す、ゲームの光景。

あのゲームはかなりの高画質で、テレビゲーム並みのグラフィックの良さが売りのひとつだった。

「確かになんか見たことがある場所だぞ、ここ。」

「いや、でもあのゲームだとここは敵は出てこなかったと思うぞ。」

「とりあえずは安全ってことか。」

安全だと知って思い出す、途方もない失敗感。

「は~。なんかやっちまった感がデカ過ぎる。」

しかし、これがゲームなら話は違う。

「でもまあ、俺は読書家! ラノベでこのタイプのやつはいくらでも読んだことはあるんだ!!」

「まずはログアウト。」

ある小説のとおりに額のあたりに意識を向ける。その小説だと、これでメニューが出ていた。

「⋯⋯⋯⋯」

「まあ、想像通りにメニューの類はでないな。」

そもそもその後、その小説ではログアウトの項目は消えていた。意味のないことをして余計に落ち込む。

「次は⋯⋯死んだら、転生ってパターンとか?」

「いや、死ぬのは今は試せないよな。流石にそんな度胸ねえよ。」

死ぬことで戻れる小説は読んだことがない。生き返ることが大半だ。

「他はどっかの場所まで行ったり、アイテムを使ったり、カードを集めたり?」

「全部、今出来るタイプの事じゃねえな。」

しょうがないのでログアウトは諦めて、今ここで寝ることを考える。

明るかったのはもう終わり、夕焼けのおかげで大自然の色は緑から紅に染まる。

「あれ? ゲームの中とはいえ、敵はいない。」

「何より、自然があって、誰もいない。」

となれば出来ることはひとつ。

元の世界でできないことをするだけ!!


「今夜はここで野宿だ!!!!」


元の世界⋯⋯日本では警察の補導や山火事の警戒で、“自然の中で火を起こす“なんていう行為は高校生には厳しい。

なので必然的にこの状況は元の世界では絶対にできない野宿をするのに最適なのだ。

「はは! ゲームの中も悪くないなぁ。」

「なにせ、野宿の知識っていうか、サバイバルの知識は頭に入ってるし、食べ物も果物があるし。」

「わからない果物は多いけど⋯⋯これはリンゴで、これも明らかにブドウだし! ⋯⋯これはパイナップルだろ!?」

青色のトゲトゲしいものや、明らかに怪しいどす黒い球体の果物かも謎なのもあるが、それに混じって見覚えのある食べられそうなものは確かにある。

「あとは⋯⋯焚き火?」

弓ナントカ方式とかもあったが、やっぱりこれは試してみたい。

「魔法で火は出せないのか?」

ゲームの中なら火を出すのも出来るかもしれない。

流石に手のひらは怖いので地面に右手をかざして火を出そうとしてみる。

ちょうど焚き火ぐらいの燃える火をイメージする。


ボワッ!!


イメージどおりの火が点いて、地面の上でメラメラと燃える。

「おー! すげえすげえ!!」

なんだ簡単だと思いながら火を見ていると嫌な予感がした。

「うっ!」

ふいに訪れた吐き気と、とんでもないレベルの頭痛。同時に全身がガクガクと震えて全ての関節が不調を訴える。

「ヤバい! これは⋯⋯火か!?」

咄嗟に火が消えるイメージをする。

少しの間を置いて火は綺麗に切れてしまった。

数十分後に多少落ち着いて楽になった頭で考える。

(火を出したのが原因? 一酸化炭素中毒? それとも魔法か?)

理由はよく分からないが、とにかく暫く魔法については触れないことにして、日暮れと体感時間でだいぶ遅い夕食を取る。

「味がないとか、とんでもなく不味いとかは勘弁だぞ?」

まずはリンゴ(のようなもの)から食べてみる。

シャクッ!

「!!」

驚いたことに普通のリンゴだ。元の世界でも食べたことのあるあの味だ。

「なんだよ! 普通に美味いじゃんか!!」

驚きながらブドウも食べてみる。

パクッ!モグモグ⋯⋯

「美味い!これも普通にブドウだな。ん? というかこれは⋯⋯」

不思議なことに気づく。例の謎の不調が少しずつ楽になるのだ。

「なにが原因かわからないが⋯⋯とにかく助かったな。」

一通り食べて腹を満たした後で空を見上げる。

「おー。」

少しでも人工の明かりがある世界とは違う本当に自然なままの星空が広がっていた。

「わからないことは多いけど、とにかくやるしかないな。」

分からないことだらけでなにがなんだかわからないが、ここにその世界はあるのだ。

「起きたらこのゲームから抜け出せるかな?」

そんな全く信じていない希望を考えながらこの世界での初めての眠りについた。



⋯⋯これはこの世界で、ある一人の人間がほかの人間とは違う、特別なことをしていく物語の始まりの1日である。


始めたばかりで分からないことだらけなので色々意見お願いします!!

途中で色々設定が食い違うことがあるかもしれないのでその時も指摘をお願いします。

※なお、この物語では前半はともかく後半はインフレが激しさを増していくつもりです。あらかじめそのつもりで考えておくことをおすすめします。


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