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朽ちた校舎でよくあること  作者: ツヨシ×高山由宇×IDECCHI51
4/7

第4幕

「何かって、僕たちの後ろに何かいたんですか?」

 そう言いながら従兄が振り返ろうとした時、

「振り向くなっ!!」

 Tさんの怒鳴り声にも近い声が、旧校舎内に響き渡った。従兄が、Tさんを知るY先生にあとから聞いた話では、これほどまでに激昂したTさんを見たのは初めてだったという。


「あの……」

 しばらくは無言で旧校舎内を歩いていた従兄たちだったが、Y先生が突然に話し出したので、従兄もTさんも歩きながらY先生に目を向けた。

「どうして、今さらだったのでしょうね」

「何がですか?」

 従兄が尋ねる。

「警察ですよ。普通、子供が3人もいなくなったなら、すぐに捜索するんじゃないですか?」

「うん……」

「3人の親御さんは、みんなして警察に届けを出さなかったのかしら。でも、どうして……?」

「すぐに戻ってくると思ったからじゃないですかね? いなくなってすぐに警察沙汰にして、実はちょっとした家出だったということもあるかもしれないから」

「でも、1週間ですよ? 小学五年生の子供が3人、1週間も行方知れずなんですよ? 1週間経って捜索に出た親御さんも行方不明になって、ようやく警察が動き出すだなんて……行動が遅くはないですか?」

「まあ、田舎ですからね。住民も警察も事件慣れしてないんですよ、きっと」

 その時、懐中電灯の明かりが大きく揺れた。


「どうしたんですか、Tさん?」

 Y先生は震える声で尋ねる。

 もともと、旧校舎に行くことを提案したのはY先生だ。そんなY先生には、霊や暗がりに対する恐怖心などないのだろうと従兄は思っていた。しかし、旧校舎に入ってからのY先生は、ちょっとしたことに過敏に反応し、常に落ち着かない様子だった。

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