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朽ちた校舎でよくあること  作者: ツヨシ×高山由宇×IDECCHI51
3/7

第3幕

「C! どこだ、C、おーい!」

 旧校舎の中には淀んだ空気が立ち込め、足を踏み入れた従兄たちに重くまとわりついてきた。

「C! Cーっ!」

「待って、Kさん。Tさん、明かりをお願いします」

 暗闇の中を一人ですたすたと歩いて行こうとする従兄を制し、Y先生は懐中電灯を手にしたTさんに声をかけた。

「うん。ちょっと待ってね」

 そう言いながら、Tさんは暗闇の中、懐中電灯のスイッチを手探りで探す。

「あれ、あれ?」

「もう、何しているんですか?」

 一向に明るくならないことに苛立つY先生の声が聞こえた。その声は、寒さかあるいは恐怖のためか、少し震えているようだった。

「よし、ついた!」

 Tさんの声とほぼ同時に、辺りがぱっと明るくなる。従兄とY先生は、ほっと安堵のため息をついた。しかし、Tさんだけは、これでもかというほどに目をかっと見開いて、従兄とY先生を凝視していたのだ。



 いや、違う。



 あれは、従兄とY先生に向けられた視線ではない。その奥……二人の背後に向けられたものであったのだろうと、従兄はのちにそう言っていた。


「Tさん……」

 Tさんの尋常でない様子に、Y先生は顔を引き攣らせながら震える声で呼ぶ。

「Tさん」

 強い口調でY先生が呼ぶが、目を見開いたままTさんは動かない。

「Tさん!」

 今度は、従兄がさらに強い口調で呼びかけた。すると、Tさんははっと我に返った様子で、

「あ……ああ……」

と、よくわからない声を上げていた。

「Tさん、どうしたんですか? まさか、何か見たんですか……?」



 Y先生の声は明らかに震えていた。

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