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エンジェルゲート  作者: マーティー木下
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第1章ー7

 聞き慣れないゲームのような単語が複数出て来たが、二人に冗談を言っている様子はない。輝希は頭を整理しながら、


「とにかく君達が天使だってのはわかったよ。僕の魂を迎えに来たってのもね。で今は何が問題になってるの?」


 輝希の言葉に一度俯くレミ。気難しい顔をしながら、


「ふむ……まあ死者とこうゆっくりと話した事がないから解らんが……別に禁止されてる訳でもない。話しても構わんか」


「そうですね、むしろそこから打開策が生まれるかもしれませんし。この増田さんに事情を説明してさしあげましょう」


 そう言い顔を見合わせるレミとミカ。二人は頷くとレミは床に女座り、ミカは正座をして輝希の方を向き直る。そして少し気だるそうな顔をしてレミは指を顎に当てながら、


「そうだな少年。いや増田よ」


「なんで急に呼び捨てなの。いや増田だけどさ」


「気にするな、これは私なりのフレンドリーさの表れだ。ほら私不器用だから」


「そうですよ増田さん、レミちゃんの気持ちを汲んであげてください」


「ありがとう。ミカよ」


「えへへ」


 そう言い笑うミカと、なぜだかうっすら頬を赤くするレミ。これが天使達にとっては当然のノリなのだろうか、輝希は若干ついていけない。と同時に彼女達に全く威厳とかがないので、まるで普通に同級生と話している様な気分にさえなる。たまにこういう天然な子達っているよな、と思いアハハ……と愛想笑いする。


「で増田よ、私達は君の魂を回収しに来たと言っただろう」


「うん、言ったね」


「私達天使は人間が事故、安楽死、病気、なんらかの理由で一生を終えると死亡報告を受けるのだ。そして下界……この世界へと降りて遺体から魂を取り出す。そしてそれを天界に届ける。その作業を私達は日課、いや仕事としておこなっているのだ」


 天界、それはレミ達の住む世界で人間が天国と呼んでいる場所らしい。どうやらそこには人間界によく似た文明があり、天使達は各々の仕事を持ち各々の生活をしているとの事。そしてその仕事の一つがこの回収作業。天界には人間の心音を聞き分ける機械があり、その機械が誰かの心臓停止を感知する→複数の団体に分かれた天使達に死亡報告として伝える→報告を受けた天使達の誰かが回収に向かう。というあまりにも夢のない話だが、なんだかとても現実的な真実だったのですんなりと受け入れる事が出来た。しかし未知の生物等に憧れを抱いていた少年期があるだけに輝希はちょっとショックだった。なんだかどんどんイメージが崩れていく気がしたのでこれ以上天国について質問するのはやめにしようと思う。


「じゃあ別に僕の事を迎えに来たのは特別な事じゃなくて、いつもやっている事なんだ?」


「ええそうですね。多い日に一人頭10から20、有名な所(回収業者)なら日に500個はいきますね」


 この質問にはレミではなくミカが答えた。その数だけ人が死んでいる事になるのだが、彼女の口調は至って軽いものだった。やはりそこは天使と人の価値観の違いなのだろうか。仕方のない事かもしれないが僕は物みたく扱われる事にムッとした。輝希は少し皮肉を込めて、


「そんなよく売れる饅頭みたいにいわれてもなあ」


「まあ、とにかくそれだけ簡単な事だと言う意味だ。気にするな、彼女に悪気はない」


「? 何がですが」


「えっ、いや、別に」


 驚いた。この少女がまるで自分の心を呼んだかのような発言をしたからだ。そしてふと見せた少女とは思えない、大人びた悟ったかのような表情にもだ。言い終わるとレミはまた天井を見上げながら、


「とまあそう、その作業はすぐに終わる事で……例えばだ、例えば定時に終われば“赤いトラクターシリーズ”を通常放送で見れる時間に家に帰るとこさえ余裕で出来る、そんな仕事なんだよ」


「? はい?」


 急に意味不明な事を言い出すレミ。やっぱ変わってるなこの娘。するとミカはきょとんとした顔で、


「あれ? ご存知ありません? あ、下界ではやってないんですかね。赤トラ。この前30作目がテレビで放送された人気サスペンスですけど」


「ご存知ありません。ってかテレビとか言わないで。さっきから僕の夢とかワクワクが壊され続けているから」


 相変わらず色々な意味で空気を壊していくミカ。天界で圧倒的人気を持つ赤いトラクターシリーズ、通称赤トラ。天国の女優(別に死んだという意味ではない)片平・アイリスの代名詞的作品らしい。内容は魂の回収業を営む好奇心旺盛な主人公が、理不尽な殺され方をして下界に霊とし残る人間を成仏するさせるためにさまざまな事件を、トラクターに跨がり解決していく物語。と、ホントにどうでもいい情報をありがとミカさん。レミは徐々に感情を露にして、


「とにかく私は油断していた。その日もすぐ終わるとな……そして不運は重なったのだ。私はその日……録画を忘れていた!」

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