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エンジェルゲート  作者: マーティー木下
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第3章ー3

 畠山市の市街。その中に幾つかある電気屋でも一際目立つ“大型チェーン家電量販店マサシ電気”。レミの気に入るような電化製品もここなら見つかるだろう、と輝希は思う。


 電車から降り立ったミカと輝希。次々と駅のホームを駆ける人だかりを掻き分けて改札口へと向かう。


「ほらいくよミカ」


 人込みを器用に避けて歩く輝希。それに比べて天使である彼女はこういった経験はやはりないのだろうか。ミカは時々人にぶつかりそうになりながら、ぎこちない足取りで彼の少し後ろを歩んでいた。


「まっ、まってください増田さん」


 と慌てた様子で輝希を呼ぶミカ。その姿はヒラヒラのついたワンピースに包まれており、とても可憐な美少女にみえた。輝希は適当にジャージとTシャツを選んで着て来たのだが、もう少しオシャレしても良かったかもしれない。と考えた。が、


「お腹すいたんでキヨ◯クでおにぎり買って来ていいですかっ」


 はい、一瞬でただの食いしん坊に見えてきましたね。ちなみに市街は輝希の家から二駅しか離れていないので家を出てから30分程しか経っていない。輝希は振り返らずに、


「……我慢しなさい。後で付き合ってくれたお礼にご飯奢ってあげるから」


「え? 本当ですか? やったー」


 両手を上げて大げさにミカは喜んだ。やれやれ、これでしばらくは大人しくしているだろう。そう思いながら僕たちは改札口へ、ってーー


「待て待て、そういってなぜキヨ◯クへ向かおうとする」


 明らかに改札口とは逆方向へ向かおうとするミカ。輝希に肩を掴まれて、はへ? という顔をした後に、


「あ、そうなんです? 駅ってほとんどこないから間違えちゃいました。てへ」


 いや絶対わざとだろ。


 


「へえー、これが下界の電鬼屋でんきやですかー」


 マサシ電気。畠山駅の北口からすぐの所にその畠山支店はあった。そして休日という事もあってか、その店内には多数の店員とお客で賑わっている。自動ドアをくぐり一歩店内に足を踏み入れただけでも、そこにはテレビ、オーディオコンポ、あと、なんだろこれ? 脱毛器具?等の特設コーナーがあり、この品揃えならレミの気に入るような物も見つかるような気がした。   


 やはりレミやミカ達の住んでいた天界、そちらの電気屋とは色々と違いがあるのだろう。初めてその店内を見渡して感心した様子のミカ。そしてその手にはおにぎり。結局彼女は駄々をこねてエビ天むすびを購入、満足した顔で頬張っている。ちなみにレミとミカは下界の通貨を持っていないので輝希の金で買ったものだ。やれやれ、この調子だと今日だけであと何件買い食いに付き合わされることやら。


「ああこの辺だったら一番大きな電気屋だよ。ここならレミが欲しい物もあるだろ」


「そうですねー。モグモグ」


 一緒に選んでくれるんだよね? と疑問に思う程適当な返事だった。


「よし、じゃあいこうか」


「え、い、いくんですか?」


 さっきまでのニコやかな笑顔はどうしたのだろう。ミカは急に不安そうな様子で入り口で立ち止まった。


「そりゃここまで来たんだし入るよ。どうしたの?」


 溜め息を吐き後ろを振り返る輝希。すると彼女は意外な一言を放つ。


「いや、私、いま手持ちがないんですけど」


「手持ち? ああいいよ。僕が出すからさ」


 なんだそんな事か。というかさっきのおにぎりだって僕が払ったんだけどな。だからそんな事で遠慮する必要ないのに、と輝希は思う。


「ホントですか? すみません」


「いいって、いいって」


 いつにもなく謙虚な姿勢のミカに笑顔を返す輝希。というか意外だな、ミカでもそんな事を気にするなんて。と思っているとーー


「丁度、手持ちの防具がなくてですね」


「電気屋にそんなの持って来るわけないだろ」


 どこまでも期待を裏切らないミカだった。もう返しの予測すら出来ない。ってか武装して電気屋来るやつなんているわけないだろ。


「えっ? 増田さんも丸腰ですか! じゃあ何しに電鬼屋に来たんですか!」


「家電を買いに来たんだよ!」


 何と問われれば当たり前だが電化製品を購入するのが目的だ。しかしミカの顔を見る限りふざけている様子はない。その顔には純粋な驚きが見えた。あれ? これはもしかして何か誤解しているのかな。輝希は確認で、


「え? 電気屋だよね?」


「はい? 電鬼屋ーー生活に役立つ鬼を販売、もとい放し飼いにしてる所ですよね」


 ああ、そういえばミカがさっき天界の家電ーー下伝は色々な事を手伝ってくれる鬼の事だって言ってたな。なるほどー。だからそんな警戒してたのか。ていうか販売もとい放し飼いってなんだよ。輝希は想像して少し身震いがした。


「大丈夫。ここはそんな物騒なとこじゃないから。防具なんていらない、いらない」


「ホントでしょうね」

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