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近未来SF短編集 in United Corporation of JAPAN  作者: あのワタナベ
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なんでも屋たちの再武装

くそ!

ここもだめか。

いくつかの優良な客に連絡をいれてみる。が、ダメだ。なんの仕事もない。

次こそは。

「いよう、調子はどうだい?」

『ご機嫌伺いなんかしてる余裕があんのか、何でも屋よう?』

「どういうこった?」

『お前さん、大手に喧嘩売っちまったんだってな。一応この回線はセキュア(・・・・)だけど早めにケリをつけなよ』

「……もう流れてんのか」

『通販大手の情報戦やってる部門が動いてるぞ。あんたに仕事任せた連中は、まあ義理もあるから情報流すようなことはねえと思うがよ、時期が悪いや。下手にあんたに仕事を任せると飛び火しかねねえ』

「そうか、ありがとよ。ご忠告痛み入るぜ」

 仕方ない事とはいえ少しだけ怒りがこみ上げる。彼にではなく通販企業に、だ。いつだって奴らは商売と商売敵の排除にだけは熱心すぎる。


『どうしてもって時はクルマの調達くらいはやってやるけどよ。足跡はそっちで消しなよ』

「そうさせてもらうわ。こないだはトラックありがとな。おかげで話題の相手に喧嘩を売れたぜ」

『アレ、あそこ相手の襲撃に使ったのかよ……くっそ。こっちもやべえかもな』

「まあ俺に何かあっても追えないようにはしたつもりだがよ。万が一ってこともある。不安の種はきっちり潰しておいたほうが安心じゃねえか?」


 ゆさぶり。優良な顧客であり、優良なショップでもあるこいつはクルマ屋。足のつかないレンタ車両を用意できる貴重なやつだ。申し訳ないが引きずりこんでおこう。


 しばしの沈黙。

『何が必要(いるん)だ?』

「そっちからの仕事があればと思ってたんだけどな。それどころじゃなさそうだ。前と同じように使える移動基地局を引っ張るパワフルな長距離向けトラックヘッド、コンテナ用、トレーラー、偽装ナンバーとそれに合わせた発信なしのECUくらいだ」

『また大層に物入りだな』

 無意識にため息が出る。

「情報戦屋が相手ってんなら移動拠点が欲しいからな。コンテナはこっちで用意する。40フィートか20フィート二つ、両方に対応したトレーラーにしてくれ」

『ちょいと時間がかかるぞ。20フィート用トレーラーとオープンのフルトレーラートラックなら在庫モノはある。即納とはいかんが10日で整備と情報マエ消しできる』


 ならそれでいいか。事を起こすまではオープンのトラックで仕事ができる。ゴミ拾い達(スカベンジャー)を使ってリサイクル業でもやればいい。どうせつなぎの仕事だ。トレーラーをひっぱるクラスのトラックだと大きすぎるかもしれんが。まあ本職からの買取品を運ぶならそれくらいのサイズも当たり前。


「そのトラックはユニック(クレーン)ついてるか?」

『そいつは手元にないな。取引先にユニック付のトラクターヘッドがあったと思う。小型で大した重さも持ち上げられなかったはずだが在庫確認して連絡しようか?』

「たのむ。在庫情報はメッセで。あとユニックがついててもおかしくないオープンの小型トレーラーと40フィートコンテナ用のトレーラーも探しておいてくれ。見つかるまではオープン優先で。それが見つかるまではつなぎの仕事ランすらできねえ」

『あいよ』

 通話越しにキーボードを叩く音が聞こえる。


「ユニック付のトラックでトレーラーも引っ張れるならそっちでも構わん。早いほう優先で頼むわ」

『OK、OK。仕事熱心で感心するわ。……追加の架装とか希望は?』

「今は特に思いつかんな。現物を受け取ったらこっちでどうにかするよ」

『じゃ見つかったらスペックと値段を送るよ。一蓮托生とは言いたくねえがしかたないな。今後ともご贔屓に』

 これで荷運びの足はどうにかなりそうだ。つなぎの仕事道具としては上等だ。



 年単位で借りているコンテナヤード。その一角に置かれた40フィートコンテナ。それ自体は錆が浮いて塗装の一部が剥げかけ古びてはいるが錠前だけが新しい。

 ドアをあけると中にはヒシイのロボットが八台。前回使わなかった残りの機体だ。それが壁に沿って設置された固定ハンガーに金属アームで固定されてずらり。どれもがほとんどキズのない製品だ。一部のパーツにはビニールカバーや保護シールがついたものまである。廉価モデルの極上中古品やデモ機あがりのほぼ新古品などに新品部品で整備され、メーカーで塗装しなおしたものだが、ここまで揃うといい値段がする。売って金に変えたい欲求が湧きだす。

 が、それを無視する。これらは金があるだけじゃ買えない貴重な兵力だ。個人で持ってるやつなんかほとんどいない。一部の田舎に拠点を持つ民兵ミリシアや、廃棄部品や払い下げジャンクから組み直すようなマニアはいるかもしれんが、これだけの数と質は無理だ。例外は大手の下請けをしている中堅企業の警備系か。それでもあって数機のボロい中古品程度だ。


 ロボット(ジャーヘッド)を整備して遠隔警備・戦闘ロボット向けの小改造を施す。

 普段はルーチン通りの警備行動。異常があったら通知。それに応じて用心棒が遠隔義体として操作。一度の稼働で一、二機程度ならテック系中堅企業や一部の投資家がサポートしているブートアップ企業が持っててもおかしくはない。それでも使い古した型落ちの中古だが。それっぽく見せるために外装をボロく見せるために錆が浮いたのをごまかしました風にウェザリングを施そう。


 敷地外の金網ごしに見える距離でそれっぽく見えれば十分だ。ある程度は弟子に任せてもいいかもな。

 そんなことを考えながら調達屋に送る必要資材の注文メッセージを書き始めた。


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― 新着の感想 ―
ご無沙汰しております、そして再武装どころか明日の飯も怪しいようで。 まあ、企業が本気で出張ってくると防衛撤退戦が基本ですからねぇ。 それでも「生き延びている」だけでも優秀なんですが。 そして「売った」…
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