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近未来SF短編集 in United Corporation of JAPAN  作者: あのワタナベ
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始末屋の考察

 闇医者とヒシイ系以外の埋め込み端末デバイス取り扱い企業に解析を依頼してしばらく経過した。まだ最終結果は上がってこない。


 自室のソファで端末を眺めながら各所から届いたメッセージを読む。サイドテーブルに置いた未開封のボトルウォーターを開けて口元に運ぶ。


 コネのある情報屋からの報告メッセージ。闇医者と解析屋を監視情報。情報流出などはなさそうだ。別の情報屋に組の情報とフロント企業「ミハマ」の監視や提携先、ヒシイ系列の医療デバイス専門の情報収集も任せているので、そちらの動向も問題ない。

 ヤクザ連中は跡目問題でいまだにゴタゴタが続いているし、内部抗争の準備なのか資金集めで若頭、代行の双方ともに忙しいらしい。おかげで小娘の方は放置されている。

 ちょっとだけ怖いのは小娘の周りの動きだ。どうでもいいと思っているならともかく、市場に出回る前の端末を小娘に埋め込んでいる事や、それらしい端末が新製品として出回っていない事実。

 市場に出すための製品テストじゃないならなんのために自分の娘を使ってまで市場に出回らない新端末を使っている? それになぜ若頭が娘のことを放置できる? 奪われる心配はないのか。むしろ殺されたりしたほうが都合がいいとでも?

 分からないことで疑心暗鬼と不安が広がる。


 埋め込み端末、その分析の途中報告では視線入力の試作品らしいが、まだ分かっていない機能が半分以上。日々進化する端末だが、彼女に埋め込まれたモノの演算能力は2年前の段階で現用機器のハイエンドより数段上の性能だという。ただのマン・マシンインターフェイスじゃない。

 だが小娘が持っていた接続先のハンドサイズ端末自体は当時としてはハイエンド。しかし今じゃ型落ち。現行のミドルハイ、普段使いよりちょっといい程度のものだ。普通すぎる。メインはやはり体に埋め込んだ端末のほうだろう。


 これはヤクザ絡みの何かというよりフロント企業の提携会社の実験台みたいだ。勢力を伸ばしている若頭はヒシイと組んでいるのか? ならヒシイ系列の監視が?

 俺はそれなりにトラブル慣れしているつもりだ。だが企業国家相手にバチバチやり合えるほどの無鉄砲でもない。あくまで個人やチンピラ、地方組織相手の立ち回りが限界だ。今回ばかりは万全の始末はあきらめた方がいいのかもしれん。


 ボトルの水を飲み干すと、それを握りつぶしゴミ箱に投げ込む。

 「参ったな」

 ソファに深く座り直すと深いため息をついた。


PCがぶっ壊れてるので初めてスマホだけで書きました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 背後情報が読めないから、こちら側ですら推察しかできないという。 というか、出元が一緒だとするとどれだけばらまいたんだよと(乾いた笑い)。
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