始末屋4
そっちにある部屋を使え。そういってアゴで部屋の一つを示す。
とりあえず良い所出身らしい少女を預かることにする。こっちに押しつけてくれた調達屋には文句の一つも言わねえとな。
「今まであったこと、思い出せる限り全部書き出しておけ。端末は用意してやる」
「あの、おくすりは……」
そういやこいつは薬中だった。減薬しつつ状況を聞かないと。
「今日の分はさっき使っただろ。明日の分は明日だ」
「分かりました。出かけたりしたいときはどうすれば?」
「俺に声をかけろ。手があいてたら連れてってやる。忙しい時はここにいろ。なにか質問は?」
「大丈夫です」
「じゃ、俺はこれから出かけてくる。そこの冷蔵庫にあるものは好きに飲み食いしていい。そこの机には触るな。誰か来ても無視しておけ。端末は預かる。代わりにこれを使え。うちの無線環境につながってる。誰かにメッセージ飛ばしたり、SNSに書き込んだり通話したりするな」
必要なことを一気に言ってテーブルの上に中古の端末を置く。そしてワゴンに載ったままになっていた少女の手荷物。自由にさせていたらマズいものをいくつか掴んで大きめのチャック付きバッグにまとめて入れる。
渡した端末は調達屋から買ったものを足がつかないよう技術屋に設定を弄ってもらった物だ。貴重な予備だがしかたない。
「あの、いくらお支払いすれば……」
「全部だ。とりあえず通帳と財布は預かる。必要経費と対価はそこから受け取る。うちを出ていく時に残りを返してやる」
チャック付きバッグにまとめた通帳と財布、鍵を金庫に突っ込む。
「それで全財産なんです!! これからどうやって暮らしていけば……」
「それをなんとかするために今から出かけてくるんだ。すぐに解決できるわけじゃない。最低でも一ヶ月くらいは覚悟しておけ。夜には帰る」
そう言ってバッグをかつぐ。
立ち上がろうとすると、少女に裾を引っ張られ。
「帰ってきますよね?」
「当たり前だ。俺の家だぞ、ここ」
この小娘、親が出かけてそのまま死んだんだったな。幻影を追うな。俺はお前の親父じゃねえ、そう言いかけてやめる。
「今日は調べ物をするだけだ。晩飯はなにがいい?」




