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近未来SF短編集 in United Corporation of JAPAN  作者: あのワタナベ
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用心棒となんでも屋の弟子

 いいかげん引きこもり生活も飽きてきた。


 さすがに三ヶ月引きこもってなんでも屋の手伝いをしたりビールを呑んだりタバコを吸ってるだけの生活だとつらい。とはいえ外出したらいつ襲われるか分からない。武器を持っていなくても生身(スッピン)一人なら楽に倒せるが、複数人に襲われたり離れた所から銃撃されたらたまらない。

 という訳で数少ない楽しみの一つが食事だ。

 なんでも屋が美味うまいものを買ってきてくれたときはいいが、それでも比較的安価な合成品なのだが。これがなんでも屋抜きで飯となると買い置きのランチプレートか、それも無ければ放出品のレーションとなる。

 レーションは論外だ。レトルトパウチのメインディッシュにインスタント飲料とクラッカー。レーションセットに水とコップがあれば温かい飯が食えて食後の一杯も飲めるが不味(マズ)い。

 たまに当たりのレーションもある。ニホンの防衛軍向けレーションの民生品版だ。カレーや鶏飯、牛飯、果ては赤飯まで。これも水さえあれば温かくて美味い飯にありつける。が、めったにない。

 どっちもレーション・ヒーターとパウチを防水袋(ジップロック)に入れて水をそそげばあったまる。俺は何かの時のためにレーションヒーターを使わずに湯煎(ゆせん)することもある。加熱剤と水を混ぜると水素ガスが出るからな。いざって時は燃やせるんじゃないだろうか。


 という訳でいつも通り、冷凍ランチプレートをレンジで温めて食う。だいたいは弟子の小僧と一緒になる。二人前を一気に温めるのが良くないのか、合成肉は熱が入りすぎて硬くなるし、添えてある野菜のかけらは凍ったままだったりする。

 圧縮形成したプレートの飯を食いながら他愛もない話をするのがいつもの飯だ。


「やっぱり電源が安定しないね」

「盗んだ電気だからな」

「さすがにこのローテーションも飽きてきたよ」

「このメーカーのラインナップは全部試したからな。比較的マシな味のやつをケースで注文したとか言ってたからまだまだ続くぞ」


「なんでも屋のおっちゃんは食えればなんでもいいみたいだからね」

「お前さんだって似たようなもんじゃなかったか?」

「前は食えないときの方が多かったけど、慣れちゃうもんだね。最初は温かいってだけでさ、すっごいごちそうに思えたもん」


「俺も仕事で食うことがけっこうあったが、どうしても海外メーカーのやつよりニホンのやつのほうが美味い。その分値段が張るんだけどな。海外の期限切れの放出品やアウトレットのほうが安いし出回ってるからなぁ」

「これ、おなかは膨れるけどカロリーばっかり高くて栄養バランスはぜったい考えてないよね」

「食い終わったらビタミン剤を飲んどけ。それでどうにかなる」


「前は完全栄養食とかいうのを買い込んでたけど、得体の知れない牛乳もどきを飲んでるみたいで食べた気がしなかったんだよね」

「あれか、これさえ飲んでりゃ死にやしない、って売り文句の。あれはどうもなぁ。製薬会社が作ったチューブで流し込むヤツに味をつけただけのやつだな。ありゃ人間の食う物じゃねえよ」

「ホント、そう思うよ。最悪だ」

「……いや、最悪は静脈に直接ぶち込む栄養点滴だ。血糖値をガツンと上げて戦えるようにする、クスリみたいなもんだ。ありゃやべえ。強制的に空腹感を消し去ってくれるから気力が削れる。それを補うために、さらにバトルドラッグでごまかす悪循環が待ってる」

「うへぇ……。もう人間というより機械だね」

「サイボーグになった警備部の戦闘部隊なんてそんなもんさ」


 ああ、合成じゃない自然(ナチュラル)の肉が食いてえ……。

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