表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

3



「他にも容疑はある!」

「教科書と暴言でございましたっけ?」

「そうだ!」

「その教科書はございますか?」

「当然だ!」


 ばさりと教科書が投げつけられた。私を狙ったようだが、真横を通り過ぎた。

 まだ近くにいたミゲル先生が拾ってくれる。ついでにパラパラとページをめくっていた。


「ははぁ。これですな」


 破られたページを開いて、私に見せてくれた。

 確かに破れている。破れているが、問題はやぶられていない部分だった。

 ひどく幼稚な絵が描かれていた。

 これはフランツ様とフルール???ハート模様が飛び散っている。


「きゃー、見ちゃだめ!」


 真っ赤になって、教科書を奪い取った。タイミングが悪く、先生との間で、さらに教科書がビリビリと破れる。

 なんとも残念な雰囲気が漂った。

 授業中に、何を妄想したんだか「きゃー(ハートマーク)!!!」と顔を真っ赤にして奇声を上げて、教科書をビリビリにしたのを、クラスの違うフランツ様は知らなかったようだ。


「教科書の事は、不問にしますか?それともこれ以上……?」

「もちろん不問よ!もう聞かないで!」


 フランツの顎がガクンと落ちそうだ。この男、こんな間抜け面だったかしら。


「えーと、それとなんでしたっけ?暴言でございましたね。

 いったいどういった言葉なのでございましょうね?フルール」


 フルールは「えっと」「その」とかしか言えずにいる。


「フルールは、心が傷つくような言葉をこんな人前で思い出したくないだけだ!」


「フルール、あなたと私は三年間親しい友達でいたはずよ。もしあなたが傷つくような事を言ってしまったのなら、謝るわ。でもこれは女同士の話よね。

 だとしたら、二人で話した方がいいのではなくて?」


 フルールは、コクコク頷く。


「何を言っている!

 心優しいフルールをそなたと二人きりになどさせられるか!」

「まさか、女同士の話に男が顔を突っ込むつもりですか?」


 周りの女性達がフランツ様を睨みつけ、男性が首を振る。

 フランツ様は、えっえっと周りを見回す。


「さて、問題は片付いたようですが、何の御用でございましたっけ?」

「え???

 ……………あっ。

  マリーベル・ストラウス伯爵令嬢。私はお前との婚約破棄する。

 そしてここにいるフルール嬢と婚約する 」

「はい。

 婚約破棄、承りました。

 そして新たなご婚約おめでとうございます」

「え……」

「今度こそ、何か他にございますか?」

「いや……」

「では、失礼いたします。

 フルールは、こちらに来てください。

 フランツ様はご苦労様でした」


 中庭の出口を指差せばフランツ様は「あれ?あれ?」とつぶやきながら、フラフラと中庭を出ていく。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ