318話最速ですら
「やっぱり習得してやがったか...」
「当たり前だ。いつまでも、ルクスの後ろを追いかけてる訳にはいかないからな。というか気づかなかったのか?」
「いや、感づいてはいたんだが...お前魔力隠してだろ。隠された魔力を、わざわざ見つけようなんて思わないだろ」
流石...としか言いようがない。もちろん、魔力を隠す技もルーカスから教わったものだが、並大抵の実力者なら魔力を隠していたことにすら気づかない
「そういえば、お前は一段階目でいいのか?」
「当たり前だろ。二段階目まで使ったら、お前どころかこの森が消え去るしな」
「確かにそうだが...後悔すんなよ?」
「俺に勝てるつもりか?やめとけやめとけ。今のお前じゃ無理だ」
「やってみなくちゃ分かんねーだろ。目標は...常に高く!」
剣をルーカスの後ろの木に向かって投げ、瞬時にライディングを発動させる。移動を終えた後も、ルーカスの視線は前を向いていた
だが相手もギルドマスター...深くは当たらない。そう確信させるほどの実力を今まで見てきた
だからここは...
「ライディング!」
もう一度剣を投げ、ルーカスの正面に移動する。予想通りルーカスの剣は、後ろの木に向かっていく。ルーカスが、後ろに俺がいないことに気がついた一瞬、少しの動揺が見えた
その一瞬を見逃さないようにスキルを発動させる
「月渓獣牙!」
二本の剣が光りだす。剣の描く軌跡が光るほど、俺の中で最速の攻撃...のはずだった
その攻撃は、ルーカスの足一本によって防がれてしまった。ふくらはぎの側面に当たった攻撃は、少量の血すら出すことができずに、動かなくなってしまった
「魔力も上がってる、攻撃力だって最初とは見違えるほどだ。だが、お前は力の使い方を知らない...いや、知っているがリミッターをかけたままってところか」




