11話彼女が救えなかった者
今回はエルの過去回です!ここからの話は前回までのオーガ戦とは少し違った雰囲気となっております!
「私は自分でいうのはとても恥ずかしいですが、優秀でした。ですが、慕われていたわけでもありません。現実はその反対、いつもいみ嫌われ、いじめなんて日常茶飯事でした。ですが、1人だけ自分と話をしようとしてくれた子がいました。名前はクミル。その子とはいつも一緒にいて、毎日一緒に遊んで、勉強を教えたりしていました。ある日、図書館で一冊の本を見つけました。ですが、その本をなぜ見てしまったのかと今では後悔がやみません。クミルはその本を気に入ってしまい、毎日毎日暇さえあればその本に書かれている詠唱を覚えていました。クミルは頭は良くはなかったですが、なにか1つにやりたい事を絞りこんだ時の集中力は私以上でした。そしてある日、森に行ってみないかと誘われました。当然森にはモンスターが居るので行っては行けないとされていました。ですが、その時すでに気づいているべきだったのです。彼女の様子がおかしいと」
『どうしてこんなところに来たのクミル?』
『んー?それはね、1つ試したい魔法があるからだよー』
『どんなの?』
『説明だとモンスターになって、恨んでる人だけを倒すんだって。面白いよね!』
『え、クミル?何を言ってるの?』
『私ね、ずぅーとモンスターになってみたかったんだ。しかも強いやつ!そうすれば私をバカにしたりする人を見返せるんだもん!』
「クミルは、私と一緒に居たせいで、周りから良くは思われず私と同じような扱いを受けていたそうです」
『待ってクミル!止めて、他のことで皆を見返そうよ!ね?』
『あなたに私の何が分かるの?確かに同じ扱いかも知れない、だけど私は落ちこぼれ、あなたは優秀この差だけはどうやっても埋められない!私のどこを治せばこの扱いを止められる?分からない、分からないよ。ねぇ答えてよエル...』
『それは...』
『やっぱり、答えられないよね...』
『待ってお願い!』
『我、モンスターに転生を望むもの。この人間としての生をやめ、モンスターとして生きる道を選ぶ。狂ったモンスターのように暴れこの世界に破滅をもたらさん。ケイオス・リンカーネイション!』
「その時のクミルの姿は見れていません。私は彼女を救えなかった、いや救えたはずなのに救わなかった。そこから私はパーティなどを組むのをやめました」
その時、エルの瞳は涙ぐんでいた。
「でも...それは違う。まだそのクミルがなったモンスターは見つかってないんだろ?」
「はい。最初は捜索されましたが、今は打ち切られています」
「でも...まだ救う方法はあるかもしれない。だってさ、まだ全部試した訳じゃないんでしょ?」
「そうですけど...私は多分、彼女と会ったら足がすくんで立ち上がれない...」
「その時は俺が助ける!俺が君の手となり、足となろう!それでも君は何かが足りないかい?」
「いえ余るくらいです」
エルの瞳から涙が流れていく。
「それならよかった!それで、相談なんだけど...俺とパーティー組まない?」
「もちろんです!ルクスさんには私の手となり足となって貰わなければいけませんからね!」
「ははは...お手柔らかに頼むよ」
エルは泣いていた、しかし笑顔は消えていなかった。