胸の高鳴り
「とりあえず、雪と大和と合流するか」
容姿はリアルを元にしたから、どちらかが気づけばはやいのだが..チャット機能を使うか。多分名前はYamatoだろうな、メニュー欄を開きチャット機能を使い打ち込んでいく。
>「大和繋がってるか?」
>>「繋がってるよハルト。雪ちゃんも一緒だから一回合流しよう」
>「どこに行けばいい?スタート地点人が多すぎて見つけられないぞ」
>>「北に少し歩いて来てくれる?少し歩いてる来たら人も居なくなってる」
>「わかった」
そうして北に向かって少し歩いてみる。少し経つと住宅街に差し掛かり日本人の俺から見たら、ヨーロッパの街をイメージした光景には芸術的に感じる。
「綺麗だろ?」
リアルとほとんど変わりのない大和がほくそ笑む様に後ろから声をかけてきた。
大和の後ろには雪もいる。
「リアルとそっくりだな」
「お兄ちゃんはどうやって髪色変えたの?」
気にしてなかったが言われて見ると、リアルとは全く違う金髪になっている。だが染めた様な金髪ではなく、物語に出てくる古風な騎士を思い出させる様な色だ。
「ランダム要素じゃないか?ってか摘むの止めろ」
「ごめんごめん羨ましくてね。」
「とりあえず、フレンド登録とパーティー組むか」
どのゲームにもある機能なので、だいたいでシステムは分かり。ほう、パーティーは8人までか、雪が魔術士に大和がタンク型剣士か。
俺含めて近接2遠隔1か回復系1人居たらとりあえず完璧な構成だな。
「そういえば、晴人は結構時間かかってたけど何かあった?」
「レアな職業あると思ったらタダのバグだった」
「新しいゲームにバグは付き物さ、気にせず楽しもう。とりあえず狩りに行く?」
「そうだな待ちきれないし」
武器はアイテムBOXにあった〈クレイモア〉を装備していく、同じ様に大和と雪も装備していく。
初期の町を北の門から出る、サービス前の話では東の方が効率が良いらしいが今更行ったとしてもMOB取り合い合戦の真っ最中だろう。
それならば、少し効率は落ちるが北の門から出た場所で3人で狩る方がずっといいだろう。
「良しやるか」
Level1・2の草食獣モンスターに向かって駆け出す。大和は剣を振り回し次々に斬り倒し、雪は炎の球打ち出す。負けじと俺の大剣でモンスターを斬り真っ二つにする。
それからしばらく狩りをいそしんだところ、ポーンと高い機械音と共にLevelが上がった事が知らされた。
他のメンバーも同じ様になっている。パーティーでの経験値は今の所均等に分けられている。
Level2になったからと行って変わった所はない、このゲームは能力値を重視したゲームではなく、Levelを基本としている。
「続けるか、」
確認し終えた所で戦闘を再開しようとするが、足を止める。少し遠い所だが他のモンスターとは違う大きな牛のモンスターが居る。
Level10 グレートバッファロー
どうやら他のモンスターとは違い、このエリアで1体だけしか見られない。
Level10どう考えても、Level2の俺達じゃ勝てない、でも行きたい。
横を見てみると笑顔の大和、同じ事考えているな、雪はまだ状況を読み込めていない。
「雪少しここで待ってて」
困惑の表情を見せる雪を置いて、大和と二人でグレートバッファローの前に立つ、Level差8もありながら誰が2人で挑むだろうか。
だが、誰も挑まないからこそ、俺達が行くんだ。冒険とは人それぞれ、100%勝てるモンスターより俺達には敗色濃いモンスターを倒せた時の勝利がほしい。
「負けるなよ大和」
「お互いにね晴人」
俺達の雄叫びと共に戦闘が始まる。
俺の大剣がバッファローの顔を上段斬りつける。だがHPバーは1割も減らない、バッファローが俺に向かって突進してくる。
それを避けると共に大和が足を斬りつけるが先程の俺より減りが低い、片手剣ではあまりダメージを期待出来ない。俺がメインで行くしかない。
「大和肩借りるぞ」
大和の肩をかり飛び斬りをした後に連続して攻撃する。やっと1割、この緊張感、、、攻撃を避け、俺達は連携しながらカウンターを食らわせていく。
HP5割を切った頃いきなり攻撃パターンを変えさっきの倍のスピードで牙を振りかざして来た。これは避けれない...
「晴人ガード」
「わかってるよ」
大和は盾で俺は大剣の表面を盾に模試ながら模しながら攻撃を受け流す。
耐える事には出来た、だが防御成功したにも関わらず俺のHPは8割、大和は6割削られている。
「理不尽過ぎだろ...」
「でもそれがいい」
お互いに笑みを浮かべながら、走りだしバッファローに立ち向かっていく。斬りつける事に胸が高鳴る。
攻撃を避ける事に緊張感が増す。
あぁ...分かる...この感覚どのゲームでも味わえない、俺達が求めていたものだ。
「晴人決めろ!!」
上段から斬りつけると共にバッファローのHPバーが全てなくなり、モンスターが粒子に消えていく。
LevelUPの音がした。
「流石にLevel10倒せば上がるか」
「そうだな」
大和が拳を突き出し近づいて来る。俺も拳を突き出しハイタッチ感覚では合わせる。あぁ楽しかったな
「お兄ちゃん!」
二人で余韻に浸ってる所に、落雷が落ちてくる。それは妹と言う大きな...大和に目をやると逸らされた
逃げたな...くそこうなれば...
「ごめんごめん。次からちゃんと説明するよ」
そう言って頭を撫でる。
妹を落ち着かせる手段①これは結構万能なので重宝している。横では仲いいね〜と他人事の様に言う馬鹿は後からしめるとして妹に許してもらわねば
「今回だけだからね。心配したんだから...」