パーティー
午後3時大和家の前に俺は佇んでいた。いつ見てもデケェ...大和父はIT会社の社長という事もありそれなりに裕福な家庭で育っている。
それなのにゲーム一筋のイケメン息子、俺が親だったら泣くぞ。だが七条家は大和に好きに生きたらいいと息子を尊重している。
インターホンを押したら大和が迎えてくれた。
「いらっしゃい晴人、雪ちゃん」
「よろしくお願いします大和さん」
リビングにはホールケーキを中心にデザートが沢山並べられている。
「どう考えても今日作った量じゃないだろ」
「さすがにスイーツ作りが趣味の僕でも1日でこれは少し無理だね〜。1週間前って発表があったから少しずつ準備してた。」
逆に考えたら少し無理をしたらコレが作れるのか...恐ろしい才能。
「ってか落ちたらこれどうする気だったんだ」
「......」
「考えとけよバカ!」
「何事も失敗する事を考えちゃ駄目なのさ」
絶対忘れてただけだな...でもいつ見ても完成度は趣味の領域を超えている。雪も色とりどりのスイーツに見惚れて、作り方まで聞いている。
「晴人そろそろ食べよう音頭とってくれないか」
「わかった。それじゃあグラス持ったか?全員のアヴァロンの当選を祝うと共にこれからのゲームの活躍を祈念して 乾杯!」
「「乾杯」」
ゲームの祝賀会は前やっていたオンラインゲームで一緒にダンジョンクリアした時以来か...基本的に年に数回程度のペースで開き雪の都合も良かったら3人で集まっている。
祝賀会も中盤に差し掛かった頃、俺の携帯と大和携帯が同時になった。
この情報だけで俺達は内容を予想出来た。この着信音は【アヴァロン】公式からのお知らせだ。
「大和ノートパソコン」
「分かってる」
さっきまでの和やかな雰囲気が一気に変わる。
リビングに持ってきたパソコンでメールの内容を確認する。
「職業の選択方法について?」
「自由選択じゃないのか...」
内容は次の様に書かれていた。
・職業は自由選択ではなくAIが適正診断した後に選択出来る
・診断は細かい物ではなくだいたいのカテゴリーに分けられる
・診断の結果によってはレアな職業も選択出来る様になる
・転職はカテゴリーを跨いで出来ない
・職業によっては1人しかなれないものがある
「中々厳しいな...俺達は3人でPT組むとしても野良だとレア職業の取り合いか」
「そうだね...晴人と雪ちゃんはどんな職業とかになりたいか決まってるの?」
「私は魔法系か回復系のどちらかを狙ってます」
「俺はアタッカーなら近接、遠隔どちらでもいいな、大和がタンクやってくれると思ってたからなー」
前のゲームでも俺がアタッカーで大和がタンクをしてパーティーを組んでいたから今回も同じ風に出来たらなと考えていた。
「そうだねーレアなタンクの職業ってあるのかな?上級職に上げる時にもレアあったりして」
「上級職?」
意味が分からない言葉に雪が聞き返す。
【上級職】とは現在の職業の位置する職業のこと
例えば剣士で始めてLevel40で上級職になれるとする。剣士でLevel40になってもっと仲間を守りたいなら防御力が高くなるナイトへ攻撃よりにしたいなら二刀流などなど色々な選択肢が存在する。
名称などゲームによって違いがでるが、どのゲームにも大体、上級職のシステムが存在する。
雪への説明を終えた頃には夏と言えど少し暗くなって来た。食べ終わり片付けをした後に今日は解散となった。
「また来てね」
「ありがとうございます大和さん」
「今日はありがとうな」
「どういたしまして」
少し照れながら俺達を見送ってくれた。