当選
世界で最大の人気を誇るVRMMO【アヴァロン】アヴァロンには数々の伝説がある。その中の1つ最強のギルド『A』少人数ギルドながらもギルド戦において1000個のギルドの中から優勝を勝ち取り最強のギルド名前を物にした。Aは世界中に名を轟かせ全てのプレイヤーの憧れへと。
この物語は『A』が有名になるよりもっと前の【アヴァロン】に出会い冒険する少年のお話。
「お兄ちゃん当たったよ当たったよ‼︎」
「何かは知らんがおめでとう。そのお兄ちゃんはまだ寝てるんだ静かにしてくれ妹よ」
「アヴァロンだよアヴァロン。今日の朝発表なんだよお兄ちゃん」
「先に言ってくれよ」
VRMMO【アヴァロン】基本的にゲーム内容は他となんら変わりのないオンラインゲームだが世界中から注目されている。
それは近年の技術で発達したVRシステムによって体験可能な仮想空間の構築を実現した。
この技術が色々な分野に利用され、世間に認知され始めた頃、世界大手ゲームメーカーがVRを利用したMMOが公式発表された。その日は世界のゲーマーが胸を高鳴らせただろう。
正式サービスは1年後、人数の多さにより混乱を招くため国によってサービス開始人数が決められ日本は20万人。
この募集人数20万人に対して応募予約数は200万人、倍率5分の1だ。たが、これはまだ良い方あまりゲームが認知されていない国は募集人数が少なく倍率が20倍とかになってるらしい、
俺こと、進藤晴人と妹の雪で一生に応募していた。正式サービスは日本時間8月27日20時、学生に優しく夏休み前から開始だ。
今は8月20日朝8時、ゲームの抽選の発表日は1週間前ぐらいと発表はあったが具体的に決められていなかった。当選は全員にメールによって知る事が出来る。
「お兄ちゃんはやくはやく」
妹の雪にせかされ飛び起きて、パソコンをつけ、すぐさまパスワードを打ち込んでメールを起動させる。
新着メール1件
VRMMO【アヴァロン】抽選のお知らせ
この度VRMMO【アヴァロン】にご応募ありがとうございます。
厳選なる抽選の結果、当選したことをお知らせします。
当選者番号No1
「よっしゃぁぁぁぁぁ」
「やったね!お兄ちゃん」
興奮のあまり抱き合う。
当たってるぞ雪よ!中学生2年生になった妹は大人への成長が出始め、胸はあまりないが顔立ちは整っており学校で言う清潔美少女。
そんな雪はお兄ちゃんと呼び俺の事を何かと慕ってくれるのだが何かした訳でもない。
お互い興奮も収まり体を離す。雪は名残り惜しそうに見てくるが俺の気が持たない。
「お兄ちゃん大和さんに聞かなくていいの?」
「そうだな聞かなくちゃな」
小さい頃からの親友 七条大和
中学生の時、1週間で5人に告られた伝説持ちの男。頭も良くイケメンなのだが、性格がゲーム一筋と言う悲しさ。
大和も俺と同じゲーマーで今まで色んなゲームをやってきた相棒的な存在、大和もこの【アヴァロン】に応募しているので当選していてほしい。
大和の携帯に電話をかけてみても繋がらない・・何回かけても繋がらない。
「電話繋がらないな、、落ちたかもな、、、」
「まだ分からないよお兄ちゃん。寝てるだけかもしれない元気だして。」
雪は優しく励ましてくれる。
そうだ、今日は夏休みの始まりの終業式だ。いつもより遅く始まる学校ならまだ寝ていてもおかしくない。
「ありがとう雪。御飯食べようか」
「どういたしまして!」
朝食はいつも雪ととっている。両親は共働きもあり、家を出る時間が俺達よりはやい、そんな事もありラップのされた朝食が毎日机に並べられている。
雪は手慣れた動きで朝食を温め並べていく最後にトーストを焼き完成だ。
「「いただきます」」
朝食を食べ終え、もう一度大和の携帯に掛けてみたが繋がらない。
ゲーマーにとってお目当のゲームが手に入らない事は最大の不幸を意味する。
(少しはやいが学校に行って慰めてやるか)
支度を終え学校に向かう。
学校は家から徒歩10分の場所にある、私立神城高等学校に俺と大和は入学時から2年同じクラスになっている。
教室に着いた時間は9時、始まるのが1時間後な訳で流石に人はいない。
「ハルトかな?」
教室のベランダで空を見上げてた男が俺に気づき振り向く。こいつ当選したな・・・いつもイケメンオーラ出しまくりの大和が今日は2段階上がって見える。
「お前も当選したのか、ってか電話出ろよ」
「ごめんごめんメール見て嬉しくてね。携帯家に置いていつもの時間に来ちゃったんだよ」
「遠足待ちきれない小学生かよ。だがこれで全員当選か、待ち遠しいな」
「雪ちゃんも当たったんだね。今日僕の家で当選日会するかい?」
「誕生日会みたいな日を作ってるじゃねぇよ。けどそうだな俺と雪も誘っていいか?」
「勿論だよ。じゃあ3時に家来れる?」
「OK。持ってきて欲しいものとかあるか?」
「料理は家で作るから手ぶらで来て良いよ」
話も纏まった所で雪に電話掛け、2つ返事の承諾を得る。それを大和に伝え、たわいもないゲームの話をいつもの様に語り合う。