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やみつき  作者: 虹ぱぱ
2月14日
6/9

5話:HRと授業

『Ⅰ-A』

それが僕と桜花さんのいるクラスだ。

1学年で4クラス。A~Dのクラスに分かれる。

Aから順に入試の成績によって分けれている。

学年が変わる時に総合の成績でクラスメイトが入れ替わる。

下のクラスは必死に上を目指す。上のクラスは必死に下に落まいと努力する。

成績という面ではだけど、単純だけど、それなりに効果を発揮していた。全体で見るとだけど。

勿論、問題はある。

例えば、現在Aクラスの者が学年が上がった時に、下のクラスに行ってしまうと肩身が狭くなる。そして元Aクラスのプライドが邪魔をする。持ち崩した者はそのまま堕ちる。底辺まで。

3年間で最も退学者が多いのは元Aだという事らしい。


「おはよう」

短い挨拶共に教師が入ってきた。

初老の男性教師が僕らの担任だ。


「委員長」


「はい。」

桜花さんが立ち上がる。桜花さんの号令で一日が始まる。


「起立。礼。着席。」

号令に合わせてみんなで動作を行う。


「では、出席。明智」


「はい」

出席番号1番。特に嬉しくない一番だ。何事も基本、最初にする事になる。出席に体育の実技の順番だとか。まあ大した内容ではないけど色々損した気分にはさせられる。

あずさと特に揉めたのが注射の順番。

最初だと心の準備が出来ない。別に怖いわけではないのだけど、、、。やっぱりちょっと嫌なのだ。

対してあずさは真秀(まひで)。出席番号後ろの方だ。「待ち時間長いと無駄にドキドキすんじゃん!吊り橋効果で注射に恋しちゃうじゃん!!」と。「最初にぷすっとやってもらった方が無駄に考えなくていいからいいじゃんよ!」と。

大して僕は「ふざけるな!最初ってことは注射をするやつの情報が入ってこないんだぞ!下手だったら最悪死ぬんだぞ!?」と。「ドジっ子新人ナースなら笑って逝けるかもしれないけど!プルプルしたじいさんとかだったら死んでも死にきれないよ!」と。

僕らの口論は平行線だった。これは永遠に解けない命題なのだろう。

僕とあずさの口論を聞いた母さんに僕の反論の方が雑で、チキンで、ゲスいと言われたけど。僕の意志は曲げられない。


出席番号順に出席確認が進む。桜花さんの返事する綺麗な声だけは聞き逃すまいと耳そばをたてる。


それが過ぎてから、授業中も含めて、教師の授業を片手間に聞きながら、ぼーっと桜花さんの事を考える。

今日の桜花さんは格別に可愛かった。恋は女を綺麗にするとは言うけどあれ程とは、、、。

そう。恋だ。頭に色々言い訳が浮かんだけど、認めよう。そうでなければ普段で最高に綺麗で可愛い桜花さんがあそこまで限界を超えてなお美しく輝く訳がない。まさに天元突破。女の子は心にドリルを持つのだろうか?男はこか、、、、。おっと危ない。まだ上目使いの衝撃から意識が回復出来ていないようだ。混乱に乗じて最低の下衆な考えをするところだった。


てか、恋だ。僕が彼女を想うように、彼女も誰かを想っている。彼女の情報はクラスメイトの会話から拾ったりしながら集めたりもしたけど、「彼女に想い人がいる」と言うのは予想外だった。そんな浮いた話は聞いたことがなかった。だから平和ボケして安心していた。


違うな。僕は踏み込む勇気を持てなかっただけだ。花壇の手入れを手伝って少しの会話で満足して、それ以上先に進まなかった。

間違いなく僕の心にドリルはないな。

ならば駄目元で今から告白する?、、、答えはノーだ。彼女に想い人がいると知ってなお、彼女を困らせる選択肢は選ばない。まだ迷いも未練もあるけれど。


告白する事で僕が傷つくのはいいんだ。

だってそもそも桜花さんがいるから来た学校だ。母さんを怒らせたり、悲しませたりするかもしれないけど、学校という場所に僕は未練がない。今はそれなりにうまくいっているけど、、、。まあ将来、やっていくだけなら道はいくらでもある。世の中を舐めていると思うけど。

そうゆう時位は、僕の記憶力も役にたってくれてもいいだろう。

父と呼ばれる人が残したあの醜悪な最後の、、、。まあ、それはいいか。忘れたくても忘れられないのだ。

怒りも悲しみも。

それと彼女に対する喜びと感謝と感動を。気持ちごと覚えている。

気持ちと覚悟があるから、結果として僕が傷つくのはいい。彼女が気まずくなるなら、学校を辞める事も出来る。けど、美化でも誇張でもなく彼女は優しい。僕と昔した些細な約束を忘れていない彼女が、自分の所為で、学校を辞められたりするのは、気に病むに決まってる。

絶対に。僕の告白を受ければ、思い悩む。彼女に心労を煩わせるのは本意じゃない。


言い訳みたいだ。けど、本心だ。


僕は彼女が好きだ。盲目的なまでに。盲目的だと自分で自覚はしている。

あの昔にあった『学級裁判』の以前から、それ以降も変わらずに彼女は憧れで僕のヒーローで、恋する人なのだ。


あずさにはアイドルに心酔しているような一過性の物だと言われたこともあるけど、違うのだ。この世界が変わるような恋をあずさはまだした事がないからそんな事が言えるのだ。


まだまだ思う事も、未練も、嫉妬もあるけれど。

ずっと変わらず彼女が好き。

たとえ僕が愛されなくても、誰かを愛する彼女を愛そう。


朝に見た、彼女の笑顔を思い出しながら、心に決めた。


そんな事をぐちゃぐちゃに考えながら一日が過ぎた。

この日決めた、決意も、気持ちも忘れない。生涯。


今日は機械のように動いて過ごした。ずっと考え事をして過ごした。折角、好物の炊き込みご飯もあんまり味わってない。勿体無いことをした。けど、必要だった。気持ちを整理するのに。


現在は15:40。さあ、とっとと裏門に行こう。


セリフがほとんどない心理描写でちょっちしんどいかもですがご容赦ください。

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