オヤツ
猫可愛いなぁ──
猫を飼っている。
モフモフの茶色い毛並み。少し肉の付いた腹。人間みたいな表情をする、ふてぶてしい顔……そして──
「ニャー」
俺の顔を見て、一鳴き。
これだけなら、まだ可愛いかったかもしれない。
しかし、この猫。人を見る。
母さんと父さんには、素直で可愛い猫。
なのに……俺には強情でわがまま。
クソー。なんだこの差は!
「ニャー」
「なんだよポン」
「ニャー」
「なんだよ」
ポンは、俺を見上げてただ鳴いている。
ちなみにオスだ。
「言いたいことあるならちゃんと喋れよ」
「フー……」
なんだそれ! 俺には期待してないみたいに目逸らしやがって!
「ナーン」
「オヤツか?」
「ニャン」
「フッ。残念だったな。そろそろ夕飯だからオヤツは──イタッ! ちょ、バカ、痛いだろ!」
ポンが爪を立てて、足を触ってくる。
めっちゃ痛いぞ!
「ニャア〜」
「鳴けばいいと思ってんな?! コイツ!」
「ミギャー」
「イタッ! ちょ、タンマタンマ!」
「フシャーッ」
「ギャーっ!」
「ちょっと、夕飯前はポンにオヤツあげちゃダメって言ったじゃない──」
「違うよ! ポンがねだって……」
「そんなこと言ってぇ。ポンのせいにしないの──ねえ、ポン?」
「ニャ〜」
ポンは、これ見よがしに母さんの足に頭をつけて、懐いてますよアピールしてくる。
腹立たしい──!
計画通りみたいな顔しやがって!
だがしかし、こっちだって手はある──
「ゴメンなポン〜。母さん、ポンが太ったら嫌だよね?」
「まあそうね。できるならこの体型を維持したいわね」
「でしょでしょ? じゃあ、夕飯ちょっと減らそうよ。ポンの為にもさ──」
ポンがこっちを見ている。
はははは。ざまあ〜!
「そうね、そうしましょ。でも、ポンにオヤツをあげたのは達紀だから、達紀はデザート無しね──」
「何で?!」
「あたりまえでしょ?」
「そんなぁ……」
ポンは、フッと鼻で笑った。
まるで、しょうもないと言わんばかりに……
クソ腹立つ──! 覚えとけよ?!
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