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第二話:戦争は止められるのか

信長、ガンディーに続き、さらにもう一人の偉人が登場します。


それぞれがまったく異なる「戦争観」を持つ中で、

主人公は“どの考えも捨てずに使う”という選択をしようとします。


理想か、現実か、それとも別の何かか。

少しずつ物語が動き始めます。

「壊さねば、終わらぬ」

「壊せば、続くだけです」


 信長とガンディー。


 その対立は、世界そのものの縮図だった。


 「……どっちでもない方法を探すしかない」


 俺は言った。


 だが、その言葉はあまりにも軽かった。


 「ほう。ならば問う」


 信長が一歩踏み出す。


 「貴様は、戦をどう終わらせる」


 答えられない。


 外交官だったはずの俺が、何も言えない。


 そのときだった。


 空間が、三度目に歪んだ。


 これまでとは違う。


 圧力がある。


 空気が、張り詰める。


 「……またか」


 信長が、わずかに笑う。


 光の中から現れたのは、一人の男だった。


 軍服。


 整った姿勢。鋭い視線。


 そして、異様な“合理性”をまとった存在。


 「戦争を止める、だと?」


 低い声だった。


 「……ナポレオン」


 俺は呟いた。


 ナポレオン・ボナパルト。


 戦争を知り尽くし、勝ち続けた男。


 「愚かな問いだ」


 ナポレオンは周囲を見渡した。


 ドローン、爆音、遠くの炎。


 「戦争は止まらない」


 その言葉は、断言だった。


 「人は争う。国家は拡張する。恐怖は連鎖する」


 一歩、こちらに近づく。


 「戦争とは“状態”だ。終わるものではない」


 ガンディーが静かに言う。


 「それでも、人は非暴力を選べます」


 ナポレオンは、わずかに笑った。


 「理想だな。だが、現実は違う」


 「現実を変えるのが人です」


 言葉がぶつかる。


 信長が口を開く。


 「どちらも甘い」


 二人の視線が信長に向く。


 「戦は、構造だ。人の意志では止まらぬ」


 そして、俺を見る。


 「だから壊す」


 ナポレオンが肩をすくめる。


 「壊せば、別の構造が生まれるだけだ」


 ガンディーが首を振る。


 「壊す限り、暴力は続きます」


 三者三様。


 どれも、正しい。


 どれも、間違っている。


 俺は、拳を握った。


 「……だったら」


 全員の視線が集まる。


 「全部、試すしかないだろ」


 沈黙。


 「壊す方法も、守る方法も、管理する方法も」


 息を吸う。


 「その中から、“終わる方法”を見つける」


 ナポレオンが、興味深そうに目を細める。


 「実験か」


 信長が笑う。


 「面白い」


 ガンディーが静かに頷く。


 「人は、試すことでしか学べません」


 そのとき、通信が入った。


 「緊急報告!中東地域で衝突拡大!民間人多数巻き込まれています!」


 モニターに映る映像。


 瓦礫、炎、逃げ惑う人々。


 その中に――


 一瞬、彼女の姿が重なった。


 リナ。


 胸が締め付けられる。


 「……ここだ」


 俺は言った。


 「最初のケースにする」


 ナポレオンが即座に返す。


 「無理だな。すでに戦局は崩壊している」


 信長が言う。


 「ならば一気に叩く」


 ガンディーが言う。


 「まずは対話を」


 俺は、目を閉じた。


 そして、開く。


 「……三つともやる」


 全員が、こちらを見る。


 「状況を制圧しながら、対話を入れて、さらに構造を変える」


 ナポレオンが、わずかに笑う。


 「欲張りだな」


 信長が言う。


 「だが、それくらいでなければ終わらぬ」


 ガンディーが静かに言う。


 「難しい道です」


 「……わかってる」


 俺は、モニターを見つめた。


 もう、失いたくない。


 「これは――」


 言葉を、噛みしめる。


 「ただの戦争じゃない」


 誰に向けたわけでもない。


 「終わらせるための戦争だ」


 炎が、画面の中で揺れている。


 そして――


 その炎の中に、小さな人影が映った。


 子供だった。


 泣いている。


 助けを求めている。


 「……時間がない」


 俺は言った。


 「やるぞ」


 偉人たちは、何も言わなかった。


 だが、その沈黙は――同意だった。


 戦争は、止まらない。


 だが――


 止めるための戦いは、始められる。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


信長、ガンディーに加えて、ナポレオンが登場しました。

それぞれがまったく違う「戦争の捉え方」を持っており、

この先も簡単にはまとまりません。


主人公はすべてを使おうとしますが、

それが本当に正しいのかどうか――次話で試されることになります。


次は、最初の「交渉」です。

そして、おそらくうまくはいきません。


引き続き読んでいただけたら嬉しいです。

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